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この巻での光源氏は露骨で、その上とても図々しいのですが、
どこか可愛さがあって、憎めないのです。
たとえば空蝉がお付きの女房である中将の君を呼べば、
「近衛の中将」である源氏が「私をお呼びになったようですので」と応じたり、
紀伊の守には、父親は若い後妻に「かしづくや」
つまり「若い後妻の尻に敷かれて、やにさがっているのだろう」とからかってみたり、
「年が近いからといって、そなたたちの妻として下げ渡すわけにいくまい。
それに、父親はなかなか洒落男だぞ」と言ったあたりなど、
向かうところ敵なしの、若く生意気な貴公子像が出ていて可愛く、
とても面白いと思ったので、そのあたりを意識しながら帚木の巻を訳してみました。
このブログの最初の読者は家人なのですが、
書いた文章を読んで聞かせても「ふふん」と鼻で嗤うだけ。
どうもその反応が腑に落ちず、私はとても残念に思っています。
しかし書物の面白さというものは個人の感受性に依頼しますから、
そこにジャスト・ミートしなければ、致し方がないのかもしれません。
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