私訳・源氏物語

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September 10, 2010
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カテゴリ: 源氏物語

紫の姫君が見て、たいそうお笑いになります。

「私がこんな醜い顔になったら、どうしましょう」

と仰せになると、

「いやでございます」
と、本当に染みつくのではないかと心配していらっしゃいます。

 源氏の君は拭うふりをして、

「一向に白くならない。つまらないいたずらをしたものだ。帝がどうおっしゃるだろう」

 とたいそう真面目におっしゃるのを、姫は『まあ、大変』とお思いになって、
寄り添って拭いて差し上げます。

「平仲のように、墨で黒くなさいますな。赤い方がまだ我慢できますから」

とお戯れになるご様子は、よくお似合いのお二方と見え給うのです。

 春の日のたいそううららかな日で、開花が待ち遠しい中にも
梅のつぼみがふくらんで、まるで微笑んでいるような風情があります。

 階隠の下の紅梅は特に早い時期に咲く花で、もう色づいていました。

「くれなゐの 花ぞあやなくうとまるゝ 梅のたち枝は なつかしけれど

(紅色の花というと、どうしてもあの姫の赤い鼻が思い出されて疎ましい。
梅の立ち枝は懐かしいのだけれど)
やれやれ」

 と、ため息をおつきになります。

 さてさて、これまでに登場した女人たちの行く末は、いったいどうなりますやら。






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最終更新日  March 7, 2017 04:29:52 PM
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