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今年1月
(途中半年ばかり、ブログの更新もせずにソーイングに熱中した事もありましたが)
から始めた「葵」を、やっと終えることができました。
いつも1巻終えるごとに「やっと、やっと......!」と、
あえぎながら辿りつくような気持ちです。
★
皆さまご存知のように、
源氏物語にはほとんど主語がなく(全くないわけではありません)、
しかも謙譲語や尊敬語、丁寧語が溢れかえっていますので、
現代語訳をする場合どの程度主語を加え、敬語の類を省略すればいいものか、
いつも迷います。
主語を省略すれば主体が分からなくなり面白みが理解できませんので、
「しつこいかな~」と首をすくめながら恐る恐る加筆しています。
敬語や丁寧語などの類は王朝文学の優雅な雰囲気になくてはならぬ表現ですから、
現代語訳とはいえなるべく省かないようにしています。
ややこしいのは逆説的な言い回しと、
内容をはっきり表現せずひと言(しかもその「ひと言」に、たくさんの感情や意味がある)
に籠めて、かなり省略するところでしょうか。
逆説の例では「どうして迷うことがあろうか」といった言い方です。
これは「迷う事などない」が真意なのですが、こういった類がとても多く出てきます。
「ダイレクトに言えばいいものを」と思うのは、
忙しい現代に生きる私たちの直截簡明な受け止め方によるものなのでしょう。
内容をほのめかすところで代表的なのは、源氏が若紫と新枕を交わした翌朝の、
「いかゞありけむ、......をとこ君は とく起き給ひて、女君は更に起き給はぬ朝あり」
でしょうか。 このあたりの場面展開は思わせぶりで、とても粋だと思います。
★
源氏物語は冗長な物語なので、面白いと思う場面と退屈な箇所があるのですが、
出来る限り原文に忠実に、畏れ多くも「源氏物語の面白さを伝えることができたら」と、
そして私自身も毎日楽しみながら、現代語訳に取り組んでいきたいと思っています。
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