私訳・源氏物語

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佐久耶此花4989

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February 21, 2012
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カテゴリ: エッセイ

さて寝ようと仰向けになったとたん、天井の大きなシミが目に入った。

ガバと起き上がって眼を凝らすと天井クロスがじわじわと濡れていて、
ダウンライトの金具からは水滴がポタポタと落ちているではないか。

床に敷き詰めた絨毯はそこのところだけ水を含んで「ずぶずぶ」になっている。

雨漏りは部屋の隅だったが、
私はサイドチェストとベッドを引きずって、なるべく遠くに避難させた。

もう寝るどころではない。

階下に駆け下りてキッチンから45リットル用のゴミ袋をひっつかみ、
洗面所からはポリバケツとありったけのバスタオルを抱えて再び寝室へ舞い戻った。

絨毯に沁み込んだ冷たい水をバスタオルで吸い取り、ビニール袋やバスタオルを敷き、
大粒が滴下する場所にはバケツやゴミバケツで対処した。

こんな時「たらい」があれば、広い範囲の水滴をキャッチできそうなのだが、
何せ洗面器でさえ浴室に小さなものが一つあるだけで、受け皿になりそうなものがない。

思案したあげくゴミ袋の口を大きく広げて、水が跳ねないように中にバスタオルを置き、
それでしのぐことにした。

「ふるやのもり」という昔話があるが、まさに築32年の雨漏りだ。

それにしても原因が分からない。屋根に穴が開いたのだろうか、
それとも家人の言う「すがもり」なのだろうか、修理費用はどのくらいかかるものだろう、
明日になったら止まるかしら......考え出すときりがない。

「原因不明なものを、今ここでいくら考えても仕方ないよ。
朝になったら修理を頼むことにして、もう寝ろ」

家人は病人で、その上金も力もなく、もとより色男でもないのだが、
私が万事に窮した時の頼もしい知恵袋であり、大きな助け手なのだ。






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最終更新日  March 5, 2017 10:25:00 PM
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