私訳・源氏物語

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August 13, 2012
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カテゴリ: 源氏物語

冬になるにつれ大井川のほとりの邸は心細さがつのり、
頼りなく不安な気持ちのまま毎日を過ごしています。源氏の大臣も、

「これ以上ここで過ごすわけにはいくまい。二条院の東院へ移る決心をなさい」

とお勧めになるのですが、あちらへ行って冷たいお仕打ちを受け、
辛い思いをしたからといって「いかに言いてか(泣く事もできないわ)」と、
決心がつきません。

「私には思うところがあるのだから、
姫君をいつまでも大井に留め置くのはもったいないのです。

対の人が以前から姫君の噂を聞いて逢いたがっていますから、
しばらく預けて、袴着の儀式なども盛大に行いたいと思うのですよ」

と、真剣にお話しになります。

明石の女君は、いつかはそうなる事と覚悟していたのですが、
胸のつぶれる思いがしました。

『養女として貴い身分になったとしても、身分の低い生母のことを人が漏れ聞いたならば、
きっとお困りになるのでございましょう』

と思うと、姫君を手放し難いのです。それは道理ではあるのですが、

「『継子扱いされて辛い思いをするのでは』とお疑いになってはいけませんよ。

あなたより年上ですが可愛い子もなくて寂しく思っていますので、
あまりお歳の違わない前の斎宮女御さえ、自分の養女になさったほどです。

ましてこのように幼く可愛らしい姫君ではありませんか。
ほんとうに子ども好きな人なのですよ」

と、紫の女君が理想的な母親であることをお話しになります。






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最終更新日  March 4, 2017 11:16:01 PM
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