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先月初め「源氏物語を原文で楽しむ」というコミュニティに、一つのトピを立ててみた。
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はじめてトピを立てさせていただきます。
現代語訳をしながら源氏物語を読んで、ぼちぼちとブログに上げています。
只今「薄雲」の巻ですが、紫の上が明石の姫を愛おしげに懐に抱いて
「御乳をくゝめ給ひつゝ、たはぶれ」るところがあります。
原文:
何事とも聞き分かで されありき給ふ人を 上は「うつくし」と見給へば、
をちかた人のめざましきも こよなく思し許されにたり。
「いかに思ひおこすらん。我にて、いみじう恋しかりぬべきさまを」
と、うちまもりつゝ ふところに入れて うつくしげなる御乳を くゝめ給ひつゝ
戯れゐ給へる御さま 見どころ多かり。
拙訳:
明石の姫君はこのような事など知る由もなく、無邪気にはしゃぎまわって
いらっしゃいますので、紫の上は姫可愛さに、あちらの女君への不愉快なお気持ちも
すっかり消えてしまうのでした。
『あちらではきっと姫を心配していることでしょうね。もし私だったなら、
ひどく恋しく思うでしょうに』 と、姫君を見つめながら懐に入れて、
可愛らしい御乳を口に含ませて戯れていらっしゃるご様子は、いじらしいのです。
原文で紫の上の「御さま」について「見どころ多かり」と表現されていますが、
私には捉えどころがなく何とでも解釈できる、この「見どころ多かり」を、
どのように訳したらいいものかと思案しております。
私は「御子のない紫の上」が、
「戯れに自分の小さな乳首を姫のお口に含ませようとしている様子」
がピンとこないというか、はっきり言うと「ちょっと厭だな~」といった感覚になるのです。
それで「御子のない」ことを第一に考えて、あえて「いじらしい」としてみましたが
、
「きゃっきゃと戯れている感じかもな~?」と思ったり......。
ちなみに谷崎源氏では「あでやかさ」、
与謝野源氏では「外から見ても美しい場面であった」、
田辺源氏では「まるで、絵のように美しい母子にみえた」と訳されています
(瀬戸内源氏は読んでないので分かりません)。
御子のない紫の上が、自分の小さな乳首を姫のお口に含ませようと戯れている
「御さま」(姿・様子)をどのように捉えるか、だと思うのですが、
皆さまならどのように解釈なさるでしょうか。
ぜひご意見をいただきたく存じます。
よろしくお願いいたします。
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