私訳・源氏物語

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December 18, 2012
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カテゴリ: 源氏物語

たいそう年月が過ぎてしまったのですが、愛しい夕顔のことを露ほどもお忘れにならず、それぞれの女君たちのご様子をご覧になるにつけても『生きていたならば』と、

しみじみ可哀想にも残念にも思い出していらっしゃいます。

夕顔に仕えていた右近は、これといって優れたところのある女房ではありませんが、
愛しい人の形見とご覧になって可愛がっていらして、
今では古くからいた女房たちとすっかり馴れてしまいました。

須磨に流浪なさった折には、女房たちを皆紫の御方にお預けになられましたので、
右近もそちらでお仕えしています。

気立てがよく控えめな者と紫の女君もお思いになるのですが、右近の心の中では、

『もしも夕顔の君が生きていらしたなら、
明石の御方に劣らぬご寵愛を受けていらした事でしょう。

源氏の大殿は、さして深いご愛情もない女であっても除け者にはなさらず、
お世話なさる寛大さがおありですもの。

ましてご寵愛の深かった夕顔の君ですから、
身分の高い紫の上と同列ではないとしても、
この六条院にお移りの女君たちと親しくお付き合いなさったことでしょう』

と思うと、ひどく悲しいのでした。






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最終更新日  August 20, 2017 03:58:46 PM
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