私訳・源氏物語

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February 10, 2013
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カテゴリ: 源氏物語つれづれ

今でもそうなのだが、私は源氏物語に登場する男たちが、
どいつもこいつも好きになれない。

光源氏は主人公のくせにどうも存在感が薄くて好き嫌いの範疇外だったのだが、
最近はちょっと考えが変わってきた。

「玉鬘」の巻で挙げるなら、源氏が右近に足を揉ませながら、
そなたが石清水八幡宮で偶然再会したのは誰かと尋ねる場面だ。

「かの、尋ね出でたりけむや、なにざまの人ぞ。
たふとき修行者を語らひて、率て来たるか」

「尊い修行者でも連れて来たのか?」と言うところ。
「ナンパしてきたのか?」といった含みに

「ユーモアがあって、とても楽しいヤツじゃないか」と思うようになったのだ。

その上鷹揚な可愛さがある。

何かにつけメソメソするのにはうんざりするが、
泣くのはそのころの文化だったのだから仕方ない。

そんな冗談を飛ばす源氏に仕える女房は、「いやですわ」と言いながらも
きっと楽しかったにちがいない。

末摘花を揶揄した彼の和歌論も面白い。

「よろづの草子、歌枕、よくあない知り、見尽くして、その中の言葉を取り出づるに、
よみつきたる筋こそ強うは変はらざるべけれ」

(書物や資料を読みつくし知り尽くし、その中の言葉を取り出して歌を詠んだとしても、
その人の作風は期待するほど大きく変わらないものだ)

これは、作者紫式部の意見なのだろうと思う。同じく、

「すべて、女は、たてゝ好める事 まうけてしみぬるは、さまよからぬことなり。
何事にも、いと、つきなからむは 口惜しからむ。
たゞよはしからず、もてしづめおきて、なだらかならむのみなむ、目やすかるべかりける」

(女が一事に熱中するのはみっともないものです。
しかし何事にも疎いというのも感心しませんね。
心の内に自分の考えだけはしっかり持っていて、
表面は穏やかにしているのこそ好ましいのではないでしょうか)

これも作者の本音であって、
この時点では花散里が理想的な女性像と言う事になるのだが、
もっと後になると紫の上を通して「女ほど身の処し方の難しいものはない」
という深い嘆きに繋がっていくように思う。






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最終更新日  March 9, 2017 08:40:04 PM
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