私訳・源氏物語

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October 8, 2016
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カテゴリ: 源氏物語つれづれ
へだてなく はちすの宿をちぎりても 君が心や 住まじとすらん
これは『来世で一連托生を』と源氏が詠んだお歌に対する、
嫌味と恨みのこめられた女三宮の返歌である。しかし、
大方の 秋をば憂しと知りにしを 振り捨てがたき 鈴虫のこゑ
こちらのお歌は素直な気持ちをそのまま詠んでいて好ましく、
同じ場面での同じ男性に対する返歌としては気持ちの上でとらえにくい。
女三宮という女性は、強情一点張りではないということなのだろうか、
私にはわからなかった。

源氏は冷泉院を訪れた際に中宮のお部屋に立ち寄る。
この中宮は六条御息所の娘である。

母親が物の怪となって成仏できずにいるという噂を耳にして、
供養のために出家したいと言い出すのだが、もちろん源氏はそれを許さない。
中宮は、何事につけあなたさまを頼りにし、ご相談申し上げているのに
『ふかうも 汲みはかり給はぬなめりかし』
(私の深い哀しみを汲み取ってはくださらない)と、心内で嘆いている。

ここで想起されるのは柏木の巻での朱雀院と女三宮だが、
彼は出家している身だから娘に受戒できたのであって、
源氏はそれこそ「思ひかゝづらふ ほだし」つまり「扶養家族が多い」ので、
ハーレムをほったらかしにして出家するわけにいかないのである。

中宮・秋好とて同じで、夫である冷泉院の許可なくして出家はできないはずだ。

だからこそ互いに世を厭いつつも、我が身の不自由さを嘆き合うのだろう。





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最終更新日  March 4, 2017 08:34:30 PM
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