読書の部屋からこんにちは!

読書の部屋からこんにちは!

2009.06.30
XML
カテゴリ: エッセイ
今日ご紹介する本は、私の大好きな小川洋子さんの、読書案内です。


もともと私はプロが書いた読書案内が大好き。
このブログでご紹介してきた中にも、 林真理子の「20代で読みたい名作」 斎藤美奈子の「趣味は読書」 柴門ふみの「恋する文豪」 などがあります。
「20代で読みたい名作」は、あまり本を読まない人に読書を勧めるために、読み上手が料理しておいしそうに書いた読書案内。
「趣味は読書」は、社会背景や世相まで言及したベストセラー案内。
そして、「恋する文豪」は、一般の読み手の飾らない感想を書いたもので、私たち本好きの感想文に、いちばん近いものだと思います。

それぞれに好きですが、この小川洋子さんの本は、彼女の小説と同じように、しみじみとした幸せに包まれるような読み心地のいいエッセイでした。


たとえば、川上弘美の「蛇を踏む」についてはこう書かれています。
「普通小説は、ある到着地点をめざしてそこに着陸します。ところが川上さんの場合は、着陸するどころか、どんどん遠くへ、果てのほうまで行ってしまう小説です。たとえ読者がおーい、待ってくれと叫んでも、川上さんは聞こえないふりをして、勝手に足の赴くままに去って行ってしまう。そのような独特な読後感もあります。」


村上春樹の「風の歌を聴け」についてはこうです。
「それまでずっと私は、心の傷との葛藤を描くことこそが文学だと思っていました。その傷とどう向き合うか、どう克服してゆくかという問題と格闘することが文学だと。ところが村上さんは、そんなことは言葉では書けないのだという大前提に立って書いている。そこがいままで読んできた小説とまったく違うところでした。」


また、作家としてだけではなく、母性で読むという彼女の母親としての側面も垣間見えて、小川洋子ファンとしては、ほんとうに満足できる本でした。
変身、こころ、アンネの日記、悲しみよこんにちは、星の王子様、走れメロス、たけくらべ、車輪の下、銀河鉄道の夜・・・・・・・・・
かつての文学少女、文学少年ならば、誰でも甘酸っぱい思い出までがよみがえってきそうな、書名の数々。本好きさんには自信を持ってお勧めできる、すばらしい本です。





ところで余談です。
小川洋子さんは岡山市の出身ですが、私も転勤族だった父について、子どもの頃、岡山市に住んだことがありました。小川洋子さんの出身小学校は、なんと私も当時、1年間だけ在籍していたんですよ。もちろん年齢が違うので、私が6年間在籍していたとしても同時に通うことはなかったんですけど、なんだかうれしいですねえ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.07.01 06:03:25
コメント(10) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: