架空世界の放浪者ランドの「冒険日記」

2005/08/02
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カテゴリ: 大航海時代
コミュニケーションは難しい。大切なことであるのは、みんなわかっているが、実際にそれを上手く出来ているかと問われると、「No」という答えしか出てこない。
特に、お互いの思いの強さ、見ている方面が違うと、目指しているところは一緒なハズなのに、話せば話すほど、時間をかければかけるほど、上手く伝えようとするほど、遠ざかっていく。これほど、歯痒いことはない。

先日、インドのカリカットで海事訓練をしていた私に、「こんにちわ」と直通連絡が入った。
その人物に記憶はない。しかし、私のように航海記を書いている場合、読者から応援のメッセージを貰うことがあるので別に気にすることではない。「こんにちは」と差しさわりの無い挨拶をして、相手の次の言葉を待った。読者なのか、何かの依頼なのか、知り合いの別人格なのか・・・。

その人物は、以前、アルカディア商会に移籍を考えていると連絡をくれた相手だった。
連絡をくれた時の名前と、今の名前がまったく違ったので、私はすぐには気がつかなかったのだ。

今から思えば、この時点で既に、すれ違いが起こっていたのかもしれない。
私は元来、匿名や偽名というのは好きじゃない。何かを発言するのなら、しっかりと自分の名を名乗るのが礼儀ではないかと思っているからだ。
ただ、相手にも名乗れない理由があるかもしれない。しかしその時には「これは○○○の理由で偽名です。」と言ったり、名前が表に公開されない連絡方法もあるので、そっちを使ったりして欲しいものだ。



どちらにしろ、偽名を使われるのは、スキじゃない。ようは、偽名はウソなのだ。相手にそのつもりは全く無くても、私自身は「だまされた」「ウソをつかれた」と感じてしまう。これから、同じ集団に入って、同じ時間を過ごし、お互いに最高の楽しみを得ようとする仲間として適切かどうか・・・・疑問に思いながら話すことになった。

それから、その人物は「なぜ、今の商会を抜けるのか」「なぜ、移籍したいのか」を話し始めた。しかし、この手の会話は危険である。私は、話を聞き、所々私なりの考えを述べていたが、「これは、まとまらないかも」と思い始めていた。なぜなら、「今の商会を抜ける理由」を話せば話すほど、現在所属している集団の悪口や、内情の暴露、リーダーの手腕の批判になってくるからだ。

その人物からすると、移籍するための理由を述べているだけのつもりだろうが、受け入れる私の方からすると、「この人は、アルカディア商会で嫌なことがあれば、ヨソの商会に移籍の話を持って行き、そこでアルカディア商会や私の悪口を言いまくるのだろう」と感じさせるのだ。もちろん、その人物は、そういうことを全くしないかもしれない。しかし、最初の偽名から生まれたすれ違いは、ここでも私の判断や感情にフィルターをかけてしまっていた。

特に、「仮入会」という形を先方がこだわっていたのが、フィルターを厚くすることになった。
「仮入会」というのは、入会する側が、集団を評価するという事なのだ。

私は、アルカディア商会のメンバー一人一人に誇りを持っている。いい仲間が集まっている商会だと自負しているのだ。それを他人から評価されるのは、いい気分はしないのだ。

アルカディア商会のメンバーとして、アルカディア商会に飛び込んでくる、大航海時代の世界はアルカディア商会で楽しむ、という気概をもった航海者なら、私は喜んで商会に迎えるのだが・・・・。

「仮」と「ここでがんばる」では、ものの見方、その場での過ごし方、他のメンバーとの接し方が全然違うのだ。

「仮」はあくまで、逃げ道を最初から確保しているとしか取れない。
それは、試験で赤点を取りそうだから、試験を受ける前に赤点を取ったときの言い訳を考えているようなものだ。私が「仮」にいい顔をしないのは、赤点の言い訳を考えているぐらいなら、試験でいい点を取るようにがんばったほうがイイと思っているからだ。

もちろん、先方もアルカディア商会の雰囲気などに不安を持っているだろう。だから、「仮入会」にして欲しいと言っている。商会の移籍をするのは、簡単な事ではないからだ。それもわからないでもない。ただ、ここでも最初の印象で出来た負のフィルターが私の判断を硬化させてしまっていた。すれちがいがドンドン広くなっていく。



極めつけは、先方の「考えさせて欲しい」との一言だった。

私は、この言葉を聴いて、2つの感情を抱いた。一つは、「やっぱり、こういう展開になってしまったか・・・」という自嘲と、もう一つは、「ああ、この人もか」という苦笑いだ。
そのため、私はつい、「考えさせて欲しい・・・かw」と「w」をつけて発言してしまった。

それが、相手の怒りを買ってしまった。私が真面目に話をしていないという印象を与えてしまったのだ。もちろん、「w」一つだけで怒りを覚えたわけじゃないだろう、今までのやり取りでの積み重ねがここに来て爆発したのかもしれない。
その後、「不真面目だ」と指摘された私は、お詫びをしたが、もう壊れた関係は戻らない。



一つは、話の流れが険悪になっていっているので、いつかはこうなるだろうと思っていたからだ。
もう一つは、ここにも一人、「考えさせて欲しい」を使う人がいたとおもったからだ。

私は、正しい答えの無い問題を話しているときに、「考えさせて欲しい」という発言は、相手を軽んじる時以外は使ってはいけない言葉だと思っている。自分だけの都合で強制的に話し合いを終了させ、相手に無駄な待ち時間を与える禁じ手の一つだからだ。

特に、「考えさせて欲しい」という人は、ほとんどの場合、すでに答えが出ているものだ。実際には、考えているのではなく、出ている答えを引き伸ばしているだけにしか過ぎないのだ。

チェスというゲームで「ブリッツ」という指し方があるが、これはお互いに1手に5秒しか使ってはいけないという縛りがあるのだ。その5秒で指した手と、1時間考えた後に指した手、どれぐらいの相似があるか・・・実に86%の確立で同じ手を指すそうだ。
問題に対する答えも同じだ。すぐに出す答えと、「考えさせて欲しい」と言って数日考えた後の答えの相似は86%だという。世の中で86%の正解率というのは驚異的な数字だ。そう、すでに、答えは出ているのだ。

私に言わせれば、本当に問題を真剣に考えているなら、「考えさせて欲しい」という言葉は出てこない。「考えさせて欲しい」と言うのは、その場その場で問題を真剣に考えていない証拠だとも思っている。
問題に対する答えは、「詳しく説明して欲しい」「はい・いいえ」「交渉」の組み合わせしかないのだ。

結局、移籍したいと私に話しかけてきた航海者は、「あなたの商会に入会するつもりはありません」とアルカディア商会への入会を断ってきた。
私自身も、もし「入会させてくれ」と言われても、断るつもりでいた。この状態では、うまくいくハズがないからだ。
普段「来る者は拒まず」の姿勢で、商会の入会を認めていた私にとって、初めての経験だ。

しかし、最初からこのような険悪な雰囲気ではなかった。

最初私は、「アルカディア商会に入会して、今まで辛かったところを取り戻し、さらにこの世界で楽しんで欲しい」と思っていた。
移籍希望の航海者は、「今の商会よりよさそうなアルカディア商会に移籍し、さらにこの世界を楽しみたい」と思っていたことだろう。

道や形が違うが、最終的に、お互いが願っているところは、まったく一緒だ。
しかし、すれちがいが、すれちがいを引き起こし、最終的にはお互い嫌な気分で別れるハメになってしまった。お互い、同じ目的で合致していたハズなのに、ちょっとしたすれ違いで、ここまで関係が悪化するとは・・・。もう、その航海者が私に話しかけてくることはないだろう。新しい縁を得る機会を失ってしまった。非常に残念だ。

ああ、コミュニケーションは難しい。






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最終更新日  2005/08/04 02:22:46 PM
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