特許の思想体系

特許の思想体系

2005.03.09
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カテゴリ: 01 特許ゲーム
こんちくは。

審査請求は、特許庁審査官に審査してもらうための手続きです。

手続きとしては非常に簡単なものです。

簡単ではありますが、 審査請求は特許を得たいとする意思表明です。

ならば、そこに戦略的な思考を入れるべきではないでしょうか。

審査請求期間というものがあるということを有効に利用しないという手はありません。

ということで、審査請求時に検討しなければならない点についてです。


前々回は、 「審査請求をしないとどうなるか」、「審査請求できる期間」、「審査請求できる者」

前回は、 「審査請求料の節約」 でした。

次回は、 「審査請求率等の統計」 です。



  1. 特許ポートフォリオの構築と最適化




  2. これ1件の審査請求の検討というわけではなく、全体としての中の位置づけを考える必要があります。

    企業(特許出願人)の資産価値増大にどう貢献するのか、を考えるべきです。

    審査請求しないという判断も資産価値増大に貢献する場合があります。


  3. 審査請求の時期


  4. 「いつ審査請求するか」についての検討です。

    (1)できるだけ早く特許を取りたいので、出願と同時に審査請求するというのも手です。

    特許権の存続期間は、特許出願の日から20年ですから、特許を持っている期間をできるだけ長くしたかったら早く特許を取得した方が得、ということになりそうです。

    特に、製品のライフサイクルが短い場合。特許を取得した時には、すでに製品は売れなくなっており市場から撤退。その間に他社は、その発明を使いたい放題。ということが予想される場合には、早めに審査請求すべきです。

    (2)審査請求期間の3年を有効に使うというのもありです。

    特許出願から審査請求するまでの間に状況は変化するかもしれません。

    例えば、代替技術が開発されて、出願した発明は陳腐化し、誰も使うことはないというようなものであれば、高額な請求料を支払って審査請求する必要はまったくないでしょう。

    逆に、その発明を他社が実施している。しかし、本当に売れるかどうかわからない、というような場合を想定します。その他社に実験台になってもらい、売れることが確認できてから、特許を取得し、特許権行使(「豚は太らせてから食え」)。


  5. 審査請求するか否かの判断


  6. 次に、「審査請求するか否かの判断」です。

    特許出願したのだから、特許を得たいとするのは当たり前、だから審査請求するというのでは単純すぎます。

    審査請求期間を有効に活用していません。

    出願から審査請求までの間に、その発明を取り巻く状況は変化しているかもしれません。これを考慮すべきです。

    ですので、達成目標と現状のギャップを確認する必要があります。

    まずは「特許出願時におけるその出願の目的は何だったのか」を確認する。

    例えば、他社の技術開発を積極的に邪魔するものなのか、防衛的なものだったのか、大企業に売るためのものだったのか、等々。

    次に、状況の変化を調べる。

    例えば、その発明の製品化計画はどうなったか、他社の製品はどうか、標準化技術はどうなった、技術動向、等々。


    そして、価値を見極める必要があります。たとえば、以下のようなことを検討すべきでしょう。

    (1)自社でその発明を用いた製品を販売しているか、その予定があるか

    (2)自社の製品を保護するための周辺特許になるか

    (3)他社が実施しそうな発明か

    (4)回避することが容易な発明か

    (5)他社の実施を発見することが容易な発明か

    (6)特許取得できる発明か(主に出願後に判明した先行技術からの判断)


    (1)(2)は、防衛的な意味あいの強いものです。

    (3)(4)(5)は、排他権としての使い方を重視したものです。

    (6)は、たとえ特許を取得したとしても「いびつな特許(すぐに潰されてしまう弱い特許)」にならないかの確認です。


  7. 審査請求時の補正


  8. そして、「審査請求時に補正」を検討する。

    補正は、拒絶理由通知があるまでは自由にできます。

    しかし、審査請求した後は、拒絶理由通知があるまで、その特許出願について検討するということはほとんどないでしょう。

    とすると、拒絶理由がなく、いきなり特許査定となった場合は、実質上の補正の機会がないことになります。

    一方、審査請求時には、上記のような検討を行うわけですから、補正も考えに入れておくべきでしょう。

    当初の目的を達成できるように、状況の変化に合わせて補正するわけです。

    検討の機会はできるだけ多い方がよい、と考える出願人にとっては、わざと拒絶理由通知があるような補正を行ってしまうという手もあります。



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最終更新日  2005.03.09 11:56:36
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