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2005/05/18
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: 音楽
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 モニカ・セッテルンド(Monica Zetterlund)という1人のスウェーデン人女性の死が、5月15日(日)の朝刊各紙でひっそりと報じられていた。67歳とまだ若い。死因は何かと読めば、「自宅マンションで起きた火災で」とある。共同通信による記事は、火事の原因について「ベッドでの喫煙が原因とみられる」とも伝えている。 Monica Zetterlund With Bill Evans

 日本では、彼女の名はほとんど知られていない。だが私にとっては、大好きなジャズ・ピアニスト、ビル・エバンス(Bill Evans)と共演し、デュオ・アルバムを残した唯一の女性ヴォーカリストとして記憶に刻まれている。

 1964年に発表したアルバム( 写真左 =日本国内での発売は74年)は、エバンスのあの名曲「Waltz For Debby」をスウェーデン語で歌った「Monica's Vals」(モニカのワルツ)をおさめ、話題となった。

 アルバムは、エバンスの欧州ツアー中に、ストックホルムで録音された。モニカはこの時27歳。本国ではすでに「歌姫」として有名だったが、エバンスにとっては、きっと未知の女性だったに違いない。

 モニカの歌はお世辞にも上手いとは言えない。ストレートに歌っているが、ハスキーで、ややけだるく、冷たい感じにも聴こえる。しかし、ヴォーカルと対等に語り合うように奏でたエバンスのピアノは、彼女の歌をリリカルに引き立て、実に自然で、温かい雰囲気すら感じられるアルバムに仕上がっている。Monica2

 エバンスの演奏のノリも、とてもいい。よく聴いていると、あのヴィレッジ・バンガードのライブの時のような、複雑かつリズミカルなコード弾きも、随所に見せている。女性とのヴォーカル・アルバムをこの1枚しか残さなかったのが、返すがえすも悔やまれる( 写真右 =モニカの初期の代表作「Make Mine Swedish Style」。北欧ではヒットしたが、米国内や日本ではあまり話題にならなかった)。

 モニカは90年代前半まで現役で活躍した。新聞では、モニカの肩書きを「ジャズ歌手」と紹介していたが、スウェーデンでは舞台や映画で活躍する女優としても有名だったという(と言っても、私は出演作のタイトルを一つも知らなかった。今回WEB上でいろいろ検索して、初めて知った)。

 生涯に、ヴォーカル・アルバムを10枚以上も発表したモニカ。しかし、結果的に「Waltz For Debby」を超える評価を勝ち得た作品はなかった(そういう意味でも、伴奏したエバンスの存在は大きかったのかも…)。Monica3このアルバムは、今も彼女のヴォーカル。アルバムの中でも最高傑作と位置付けられているが、後年、ジャズの歴史に残るレコードの一つになってしまうなんて、二人とも思ってもみなかっただろう。

 今なお、ジャズ・ヴォーカルの名盤として衰えぬ人気を持つ「Waltz For Debby」。そして、このアルバムの存在で、日本のジャズ・ファンにも忘れられない名前になってしまったモニカ・セッテルンド( 写真左 =22、23歳頃の初々しいモニカ。デビューは19歳だったという。 (C)Sveriges-Radio.se )。

 そんなモニカが、寝タバコによる火事で死ぬなんて、なんと悲しい、情けないニュースだろうか。久しぶりにモニカのCDをかけ、その歌声を聴いている。喪失の悲しみを、私はウイスキーで紛らわすしかない。

 PS.スウェーデンから、いつもこの日記を読んでくださるYSOさん、スウェーデン本国では、モニカの死はどう報じられたのでしょうか。新聞やテレビでも、やはり破格の大きな扱いだったのでしょうか?






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うらんかんろ

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Comments

kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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