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全国の小中高校の教員のうち、
採用後10年までに
特別支援教育に関する経験がない教員が
全体の80%に上ることが、
文部科学省が
9月6日に公表した
特別支援教育に関する調査結果で分かった。
特別支援教育のニーズが年々高まる中、
同省は全ての教員が10年以内に
特別支援教育を複数年経験する措置を取るよう
各都道府県教育委員会などに求めており、
今回の調査結果を受けて同日、
改めて各教委に速やかに
人事上の措置を求める通知を出した。 同省の
「特別支援教育体制整備状況調査結果」
(2023年5月1日時点)
によると、
今回初めて採用後10年までの
小中高校の正規採用教員のうち、
通級指導や特別支援学級担任など
特別支援教育に関する経験が
2年以上ある教員の割合を調べたところ、
「いずれも経験なし」
の割合が、
小学校85.5%、中学校63.6%、高校92.9%で、
全体では80.8%に上った。
比較的経験者が多かったのは、
中学校の特別支援学級の教科担任の教職経験で
29.2%だったが、
その他はいずれも10%に満たなかった。
教師の特別支援教育に関する専門性の向上を巡っては、
同省は22年3月、
全ての新規採用職員がおおむね10年以内に
特別支援教育を複数年経験するよう求める通知を
全国の教委などに出している。
このため今回の調査結果を受けて、
改めて各教委に速やかに人事上の措置を求める通知を出した。 また、障害のある児童生徒への支援の在り方を検討する
「校内委員会」の設置率や実態把握の実施率など
他の調査項目については、
いずれも達成率が前年度を上回り、
小中学校では9割以上となった。
一方、「通級による指導実施状況調査結果」
(22年度通年で調査)
によると、
小中高で通級による指導を受けている児童生徒数は
全国で19万8343人と、
前年より1万4464人増えて過去最多に上った。
これは
全国の小中高校に在籍する児童生徒数の1.6%に当たる。 ただし、同省が22年度に行った調査で
「学習面または行動面で著しい困難を示す」
とされた児童生徒は
小中学校全体で8.8%となっているのに対し、
今回の調査で通級指導を受ける
児童生徒が在籍する公立中学校は
全体の約半数にとどまっていた。
このため同省は、
必要な通級指導が十分行われていない
都道府県もあるとみて、
今回の通知で、
「全ての中学校に特別な教育的支援を必要とする
児童生徒が在籍している可能性があることを前提に、
指導体制の充実に努める」
ことを各教委に求めている。 また、公立高校においても
通級指導を受けている生徒が在籍する学校が
全体の10%にとどまっていた。
同省は、高校での通級指導の制度化が
2018年度と日が浅いことなども背景にあるとみて、
各学校で通級指導の制度やその意義などを
本人や保護者に周知することを求めている。
教育新聞