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July 21, 2009
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カテゴリ: 教授の読書日記



 本書はアメリカ文学の研究者であり、超人的な本の読み手である巽孝之さんが、新聞・雑誌各紙誌の書評子として、あるいはそれ以外の形であれ、とにかく様々な本を読み、評してきた、その集大成的なものであります。

 ですから長短さまざまな形でさまざまな本を評したり、紹介しているわけですが、本書のコンセプトとしては、あくまで気軽に、喫茶店でコーヒーでも啜りながら、好きな本のページをめくるような調子で、本をめぐるおしゃべりに付き合ってくれ、というようなものなんですな。ということで、読者としても気構えずにどのページからでも読み進めることができる。

 で、私もとりあえず後ろの方に載っていた本をめぐる対談のパートから読みだしたのですけど、これがまた面白くて。特に巽さんと高山宏さんの対談がめちゃくちゃ面白い。

 ま、この対談は高山宏さんが東大の学生時代、由良君美という師匠と出会った時の話を主にしているのですが、その由良さんのさらにお師匠にあたる西脇順三郎さんのことも結構語られている。そこで巽さんは、

 「その由良先生の師匠である西脇先生のレトリックの本質はシュールレアリスムですから、もともと遠いものの連結という原理が根本ですね。結びつくものが一見違えば違うほど面白いというタイプ。なにしろ晩年夢中になったのはギリシャ語と漢語の比較研究ですから、余人には真似ができない」(287-288頁)

 と述べている。英文学者であり、かつモダニズムの詩人でもあった西脇さんが、晩年、ギリシャ語と中国語の比較に夢中になり、両者の共通性を云々し出した時、多くの人は「とうとう先生は、遠い世界に行かれてしまった・・・」と思ったでしょうが、それを、「西脇先生はもともとシュールレアリストなんだから・・・」の一言で説明してしまうセンスの良さ。確かにそう言われれば、西脇さんの晩年の行動にも不思議がなくなってしまいますからね。ま、細かく述べている暇がありませんが、とにかくこの対談には随所にこの種のきらりと光るセンスが満載ですわ。

 というわけで、まだまだパラパラとページをめくり始めたばかりですけど、こりゃ、面白いぞという感じがありあり。とりあえず現時点で、教授のおすすめ!と言っておきましょう。

これこれ!


想い出のブックカフェ


 さて、私ですが、実はのんびりもしていられない。明日は「衛生管理士(二級)」の資格を取るべく、愛知県産業貿易館まで出張して講座を受講しないといけないのでありまーす。さて、久しぶりに授業を受ける側に回る気分はいかがなものでしょうか? そういう意味ではちょっと楽しみなワタクシなのでありました。

 ではお休みなさーい。





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Last updated  July 22, 2009 02:08:27 AM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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