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May 30, 2014
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カテゴリ: 教授の映画談義
 ジュゼッペ・トルナトーレ・トルナラトッテミーロ監督の『鑑定士と顔のない依頼人』という映画を、昼間の三越映画館で観てしまいました。もうね、昼間の三越映画館って、妙齢のおば様しかいないの。おじ様がちらほら混ざるだけ。その中で、唯一の若い男性がわ・た・し。超目立つ~!

 あ!

 客観的には私もおじ様だった! 主観的には若者だけど!

 それはともかく、この映画。面白くないわけではないですが、見終わってどーんと気が滅入るというか。

 粗筋を書いてしまうと、この映画をこれから観る人に申し訳ないので、それは書けないのですけれども、幾らなんでも、人間、やっていいことと悪いことがありはしないかえ? と言いたくなるような筋書き。なんとも後味の悪い思いを抱きつつ、映画館を後にしたのでした。

 そういえば先週、アメリカ映画論の授業でフランク・キャプラ監督の『スミス都へ行く』を見せたのですが、やっぱりいい映画なんですよね。こんなの作り物のハッピー・エンドに過ぎないと言う人もいるかも知れませんが、『鑑定士』と『スミス』を比べて、どっちを取るかと言われたら、私は間違いなく後者を取る。別に映画観てまで、いやな気分になりたかぁないわ、って感じ。それに、そもそもトルナトーレなんて、『ニュー・シネマ・パラダイス』じゃないの。パラダイスはもう撮ったから、今度は地獄で行こうってことか?


 さて、映画でお楽しみの後は少しお勉強。今日はバーバラ・エーレンライクの『ポジティブ病の国、アメリカ』と言う本を読んでいたのですが、これはアメリカに蔓延する自己啓発(本)ブームへの批判の書。

 20世紀後半から21世紀の初頭にかけて広まったポジティヴ・シンキングの波が、いかにアメリカをダメにしたか、ということを指摘する警告の書なんですが、例えばポジティヴ・シンキングの流行のお陰で、ネガティヴな考え方をする人というのが社会から疎外されてしまったと。で、「こんな楽観的な見通しでローンとか組めちゃって、やばいんじゃないですか?」ってなことを言うと、「このネガティヴ野郎! お前みたいに悲観的なこと言う奴はアメリカから出てってもらおう」的なことを言われてしまう。で、その調子でネガティヴな考え方が徹底的に排除され、社会が危険なレベルまで楽観化された結果、サブプライム・ローン危機も起こったのじゃ! とエーレンライクさんは主張しております。



 つまり、アメリカを生んだピューリタニズムがあまりにも厳しかったため、その反動で「ニューソート運動」というのが出てきた。で、ここからクリスチャン・サイエンスなんてアメリカ的な宗教科学も誕生したし、ウィリアム・ジェイムズのプラグマティズム哲学や、エマソンの超絶主義も出てきたと。で、遥か下って今日の自己啓発ブームも、元を質せばこの辺りに起源がある。ま、若干私流に言葉を補ったところもありますが、大まかに言えば、エーレンライクさんはそんな風に考えているご様子。

 つまり、ネガティヴ過ぎるスタートを切ったアメリカだけに、その反動も大きく、今日のポジティヴ国家が誕生したのだと。

 そう、かもね。

 とにかく、たかが自己啓発、されど自己啓発。なかなか、根が深い問題ではあるようです。そんなことを勉強しながらの、今日一日でございました。





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Last updated  May 30, 2014 11:32:43 PM
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釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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