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2006.03.05
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カテゴリ: びしびし本格推理
小説家・有栖川と助教授・火村コンビのシリーズもほとんど読み切りかけていて,ごく最近に出版されたこの本を読んだ。

○ストーリー
大阪を舞台に若い女性ばかりを狙った通り魔殺人事件が起きる。しかも犯人は『絶叫城』というゲームを真似て,殺人を続けていたのだった。ホラーやバイオレンスゲームに対して批判が集まる中,第4の事件が起きる。しかし犯人は警察の完璧な包囲網の中から消えてしまった。火村の暗いまなざしは,犯人の”心の闇”を見通せるのか?

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「○○○殺人事件」というタイトルで,○○○が建物名になっている連作短編集だ。似たような趣向の中編集「暗い宿」と比べると,だいぶタイトルはおどろおどろしい。では内容は?と言うと,実はこちらの方が,ずっとしっかりしたミステリー短編集だった。

本の名前や装丁がコワイ感じだけど,どうしてどうして若い頃の有栖川有栖の叙情的な部分と,近年の枯れたカンジがうまくミックスされて,とても楽しめる短編集だった。巻末の「絶叫城」はさすがにちょっとコワイところがあるが,それ以外の作品で描かれる夜の情景は,むしろ切ないというイメージが強い。

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一つ一つについて簡単に述べる。
「黒鳥亭殺人事件」:岬の人里離れた一軒家に住む有栖川たちの友人と可憐な少女,そしてそこで発見された死体の謎は?事件よりも,むしろ幼い少女の可愛さが印象に残る。



「月宮殿殺人事件」:田園風景にぽつんと『月宮殿』が浮かび上がる情景は読んでいてもわくわくする。人間よりもこの建物が主人公かな?

「雪華楼殺人事件」:ひどく寒く,不思議に優しい作品だ。この作品を,読んでいる瞬間は,読者をその気にさせてしまう,っていうのは作者の腕力だと思う。

「紅雨荘殺人事件」:なかなか大がかりなトリックが隠れているのだけど,そこまで行き着くのにやや疲れる。もう少し整理できなかったかなあ?出だしの映画のシーンと合わせて,ラストの情感の部分は悪くないけど。

「絶叫城殺人事件」:連続殺人の真犯人は?意外な結末と,その悲劇が衝撃的だ。ただ前半のホラーやバイオレンスへの考察など,やや長編にできるような重みがあった。

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相変わらす生真面目な部分があって,説教くさい表現がちらっと見えることがある。でもそれは有栖川有栖のキャラクターがにじみ出ているんだと思う。作品集としては,まとまりがあり,ミステリーと言うより小説として読み応えがある。

プロの仕事だと思った。






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Last updated  2006.03.05 15:10:25
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