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2006.06.03
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西澤流と言うべきなのか,またまたSF的な設定を持ち込んだ本格ミステリーだ。

○ストーリー
高校生の僕,ロクは,友人の4人,担任のコモちゃんとともに,宇宙から降ってきた謎の壁”ストロー”に閉じ込められてしまう。”ストロー”の不思議な力とは,触れた生き物のコピーを即座に作り出してしまうことだった。自分は,そして隣にいる友人は,オリジナルなのか,コピーなのか?閉じ込められ,精神的に追い込まれてきた6人は,とうとう一線を越えてしまう。果たして殺戮を繰り返しているのは,誰なのか?そしてロクは,この空間から逃げ出せるのだろうか?

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西澤オリジナリティにあふれた作品だ。例によって,不可思議なチカラに対する説明はほとんどない。このチカラを導入することで試みられていることは,極限状態におかれた人々や社会を描くことではなく,ミステリーに新しいロジックをあてはめることだ。だから登場人物たちは,ある時点からはもう悩むことをやめ,このチカラに従い,あるいは利用しようとする。ある意味,前向きだ。

西澤保彦のこのカラーをどう表現するかどうか悩むけど,不思議なチカラや設定を持ち込んでミステリーを描く,という点では共通しているが,一方で毎回その突拍子もないチカラが異なるので,目新しさには事欠かない。また,主人公の性格や語り方が異なるためか,「死者は黄泉が得る」はホラー風,「人格転移の殺人」はSF風,そしてこの「複製症候群」は70年代ジュブナイルSF風の雰囲気があった。

よく似ているのに違う雰囲気,というのがどこまで続くのか,読み続けてみたい。

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この作品の主人公ロクとその仲間は,高校生らしい悩みを持っている。作品が進んでいくにつれ,主人公たちの行動の謎も説明されるし,悲劇も起きるだが,やはりその中心には悩みがある。主人公の年令設定と,ストーリー展開がよくかみ合っていると思う。



西澤保彦が狙ったのか,偶然なのかは分からないけど,結果的にロクたちの物語は,悩みはあるけれども,そして完全なハッピーエンドとは言えないけれども,前向きな結末をむかえ,なかなかジュブナイル小説としてきっちりとしたモノに仕上がっている。作品のタイトルをもうちょっと親しみやすいのに変えればいいのになあ。

で,だから読後感が悪くない。悪くないんだけど,イマイチ西澤マジックにまんまとはめられているような気がしないでもない。そういう不思議な気持ちにさせられる作者なんだよなあ。

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作品中にSF作家の”沢タモツ”という人物が登場する。これって作者自身かなあ?







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Last updated  2006.06.04 11:22:21
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