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2006.11.24
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西澤保彦のアームチェア探偵小説を読んだ。

○ストーリー
都会のどことも知れないオフィスで,女性たちが心の悩みを打ち明ける。それを聞き,ある時は助け,ある時は残酷な現実を突きつけるのは,”ハーレクイン”と呼ばれる美しい男だった。対話をするだけで,女性たちの心の闇を解き明かしてしまう,この人物は魔法使いなのか?それとも?

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西澤保彦の作品は,SF的な設定を導入したユーモアミステリーや,対話で日常に潜む毒があぶり出されるブラックミステリーなどの系統に分類される。そして最近では,様々なパターンを用いて,ジェンダー(性)差別の問題を問うミステリーを発表している。

この作品は2つの点で,これまでの西澤作品と異なるので,実験的なものだと僕は思っている。

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まず最初は,クライアントたちの話を聞く謎の存在ハーレクインが,通常の物理法則を超えた能力を持っているということだ。ひょっとしたら心療療法などの催眠術なのかも知れないが,クライアントたちを,意のままに過去や,本来選択しなかった”ありえたかも知れない現実”への案内する。

これまでの西澤作品でも,SF設定や超能力は登場していたが,必ずコダワリの設定があって,その法則に従った範囲で,その超常現象は起きていた。ところがハーレクインの能力は,いっさいの制限がなく発揮されるので,西澤作品の読者としては,何か欠落しているような気がしてしまう。



2つ目は,クライアントたちが女性がほとんどで,その多くが愚かだということだ。女性差別に対して警鐘を鳴らし続けてきた西澤作品では,登場人物の女性たちが,聡明,あるいは一見素直そうであっても実はしたたか,など,たいがいは男性よりは賢明な存在だと描かれてきた。

この作品の女性たちは,愚かな選択をしてしまい,愚かなままで終わることが多い。なんだかこれまでのウップン晴らしのような気がして,コワイ。

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この作品の一番の欠点は,ハーレクインという存在のあいまいさだろう。メフィストフェレスばりに,人間の魂を食らう存在ならば判るのだけれど,ある時はクライアントを助け,ある時は冷たく見放し,など一貫性が無い。

毒のある小説ならば,思いっ切り残酷でいいと思うんだけど,淡いハッピーエンドとかになっちゃうんだよなあ。このシリーズが発表された『小説すばる』の限界なんだろうか?






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Last updated  2006.11.25 09:10:21
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