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2007.02.07
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カテゴリ: びしびし本格推理
竹本健治のシリーズキャラクター,牧場智久がミステリに復帰した記念碑的作品を読んだ。

○ストーリー
牧場智久は,17歳にして囲碁の本因坊の資格を得る。その対戦の疲れをいやすために,智久と,記者の槇村,カメラマンの相原,槇村の従妹の武藤類子は,四条家という旧家を訪れる。彼らが江戸時代からの伝説の残る村を訪れたときから,伝説を見立てたかのような殺人が起り始める。果たして犯人は,狂女の呪いなのか,それとも伝説を利用しているだけなのか?

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竹本健治がミステリに復帰して間もない作品だが,かつての「ゲーム3部作」の主人公・牧場智久が探偵役として復帰している。その上,いわゆるワトスン役は,「殺人ライブへようこそ」の女子高生剣士・武藤類子が務めており,竹本健治の80年代と90年代をつなぐ重要なリンクとなっている。

事件の道具立ては,やたらおどろおどろしくて,横溝正史風だ。地方の有力者の家を舞台にした連続殺人で,その地方には独特の伝説が残っており,事件は伝説を下敷きにしたかのように進む,という展開。これも日本では,本格推理として認知されているので,ミステリがこの意匠を継承することには異論はないのだけど,それをあえて竹本健治が行なっているようなのが,フシギだ。

だが,その点に目をつむれば,竹本作品の中で,最も日本ミステリの本流に近い作品ではないだろうか?主人公たちは,地方の旧家に招待され,その地域の因縁と伝説を教えられる。時を同じくして,旧家の遺産相続問題が顕在化され,部分的にはそれと連動し,部分的には伝説と連動した連続殺人が発生する。驚くなかれ,「凶区の爪」は,見事にそのパターンで物語が展開する。

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前作よりほぼ10年で竹本作品に復帰した牧場智久は,本因坊を奪取した天才と設定されている。一方で,「殺人ライブへようこそ」で主演をしていた武藤類子が登場し,智久と類子という,竹本作品のシリーズキャラクターの対決,という意味もある作品だ。



ますます純粋で遠い存在となってしまった智久よりも,活動的な類子の視点をメインに置いた方が作品として成立しやすい,というのは重々理解できる。

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とは言え,特にお祭の場面での,熱射病的表現など,現実だと思っていた世界が,狂気ないし気持ちの乱れにより,大きく変貌する瞬間を逐一描いており,”狂気作家・竹本健治”としての面目躍如というカンジだ。

別シリーズとなるはずだった類子を主人公にしたミステリと,智久が出演してきた正気と狂気の境目を描く作品群が,うまくミックスされ,「凶区の爪」「妖夢の舌」「緑衣の牙」の3部作を構成している。

この作品発表後の,10年後の2006年にも類子と智久をカップリングしたミステリが発表されていることを考えても,2人の共演はマチガイではなかったと言えよう。







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Last updated  2007.02.09 00:27:00
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