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2010.04.15
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カテゴリ: ばくばく冒険小説
森見登美彦の5つ目の作品を楽しみながら読んだ。

○ストーリー
私は下鴨家の三男の矢三郎だ。師匠で元天狗の赤玉先生の日常生活を世話し,初恋の女性で京都一の女天狗となりつつある弁天様に振り回され,従兄弟の金閣・銀閣が仕掛けてくる嫌がらせを撃退しなければならない。なぜならば,私の家・下鴨家は京都の狸の名門だからだ。

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僕は本は毎日読んでいるが,エンタメ系を中心に読んでいる軟派な読書人だ。だから森見登美彦も最初に読んだのが「夜は短し歩けよ乙女」というタイプだ。「夜は短し・・」にはゾッコンになり,森見作品を順番に読み始めて見たものの,どこか”あれ,ちょっと雰囲気違うかな?”と思い続けていた。

だがこの「有頂天家族」を読んでピンと来た。”これだ!”,ひょっとしたら,これまで読んだ森見作品で最高に楽しめたかもしれない。幻想文学の怖さは控え目,ダメダメ大学生の汚さは控え目,もてない男のガツガツした感じは控え目・・・軽妙な文体,京都を舞台にしている魅力,全体を覆う優しいまなざし・・・森見登美彦作品のいいとこ取りをしたような印象を受けた。

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森見作品の魅力と言ったら,あちこちで言われているように,京都を舞台にした独特のブンカの香り,脱力系の登場人物,絶妙にレトロな文体だろう。また作品間のゆるいリンクもあり,魅力的なパラレル京都からの定期的な便りを読むような気分にさせられる。

だが,これまで怪しげな大学生と天狗しかいなかったパラレル京都に,強力な第3勢力が登場した。それがこの作品の主人公たち,京都の狸だ。



狸の変化の術も天狗の神通力は恐れており,互いに独特の距離を保つ。天狗は人間も狸も見下しているが,現代の人間の傍若無人ぶりにはかなわない。狸は人間を化かすが,捕えられて鍋にされることは恐れている。

これにより人間,天狗,狸の三つ巴の関係が生まれ,森見ワールドの楽しみが一気に深まった気がする。京都大学の学生ばかりを主人公にしてもイロイロと差障りはあるだろうし,人間と天狗というだけでは京都の怪異を語り切れない部分があるだろうし,狸勢力の導入は正に大正解だと思う。

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もう1つ蛇足で言えば,森見作品に登場していた意中の女子学生を追い回す大学生,というキャラクターは,そろそろ賞味期限が来ていた。パラレル京大生だと思うから赦せる存在だったが,しょせんはただの引きこもり大学生なので,本人には面白みが無くて,世間とのズレ具合を大きな心で楽しむみたいな,ひじょうに玄人好みの読み込みが必要だった。

その点,人間とも天狗とも違い自由な立場の狸の視点はスッキリしている。京大生ゆえの歪んだプライドが無いので,積極的に動く主人公として物語を引っ張ってくれる。

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この作品の特に最終2章の盛り上がり方は,森見作品としてもかつて無かったのではないだろうか?第3勢力の導入で,物語に自由度が生まれ,とにかくエンターテイメントとしてサービス精神にあふれる作品に結実していると思う。

かなりのオススメだ。時間がかかっている第二部にも期待だ。







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Last updated  2010.04.17 18:56:50
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