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2010.05.12
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カテゴリ: びしびし本格推理
新本格ミステリーの始祖・島田荘司の最新ミステリーを読んだ。

○ストーリー
ボスニアで発見された死体は,すべての臓器が取り出され,金属や木の代用品が押し込まれていた。果たしてこの事件は,中世クロアチアの救世主である機械人形「リベルタス」の伝説をなぞっているのか?かつての自由の国は,民族同士の憎しみで満ちていた。

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2007年に発表された「リベルタスの寓話」は分厚いハードカバーだ。それに恐れをなして手を出せずにいたところ,ようやく新書版で発売されたので読むことにした。不思議と新書版ではフツーの厚みで,むしろ島田荘司の作品としては薄い方に入るぐらいだ。

現在,島田荘司は講談社Boxにて大河ノベル「Classical Fantasy Within」を執筆中なので,この作品が,島田ミステリーとしては最新の作品となる。

この作品は,長編「リベルタスの寓話」の前編・後編と,それに挟まれる形で中編「クロアチア人の手」が収録されている。どちらも旧ユーゴが関連するが,直接のつながりは無い。

「これを読んでしまうと島田ミステリーも打ち止めだ」という感慨を持ちつつページをめくった。

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特にひどいのが中編の「クロアチア人の手」の方だ。この作品の密室トリックを読んだときは脱力感に襲われた。トリックを成立させるためだけに,不自然な舞台を準備しているのも良くないと思うが,とにかく話のツボがイタすぎる。マジメに書いているのだろうか?

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長編「リベルタスの寓話」は,取り上げている要素が複数あるので,ところどころに,さすが島田荘司と感じさせる魅力はあった。ボスニアの過去を歴史物語タッチで描く部分などは,相変わらずの力強さだ。

前編でいくつもの伏線とストーリーラインが投げられていて,ほとんどをきちんと後編で拾い上げているのも律儀さを感じられる。だが幻想的なストーリーラインのいくつかには説明が無かった。登場人物の幻想あるいは混乱,ということだろうか?

ただしなぜ犯人が「リベルタス」を模したか,という部分の説明は,イタイとまでは言わないが,どう考えても犯人の苦労が実益に見合っていないので,ありえないよなー,という感想。

後書きを読んでみると,見立てに使われたハズの「リベルタス」の物語さえもが島田荘司の創作だと言うことで,ちょっとだまされた気持ち。

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例によって御手洗潔は登場せず,電話でワトソン役に指示を出しているだけだ。せっかく重いテーマを扱おうとしているのだから,御手洗潔に感じの悪い態度ばかりを取らせず,現地入りをさせるべきだと思った。

せっかくの島田荘司の気概も,ミステリー部分の手抜きのような展開のおかげで台無しになっていると思う。








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Last updated  2010.05.13 12:35:37
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