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2020.09.04
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矢作俊彦の名作を復刊させた文庫本を読んだ。

〇ストーリー

人気女優の依頼は、かつて男に宛てたラヴ・レターを取り返すことだった(LOVE LETTERS)。玉の輿のプロポーズをされたコール・ガールが飛び降り自殺をした(DOXY)。―金のある女が、切羽詰った男が、刑務所帰りの前科者が、息子を喪った老夫婦が、今日もさまざまなトラブルを持ち込んでくる。春から夏へ、移りゆく大都会マンハッタンの季節を背景に、名無しの探偵の活躍を描くハードボイルド短編集第1弾。17篇を収録。


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普通の厚さの文庫に17もの短編が収録されているので,1編1編は短い。けれどもそれぞれ味わい深く,ハードボイルドの魅力にあふれている。

場所はニューヨークのマンハッタンで,時代は恐らく1960年代だ。主人公は元地方検事で,たった1人で小さな探偵事務所を経営している”名無しの男”だ。幸いに費用の安さに惹かれて多くの人が仕事を依頼する。

何よりも重要なのはスタイル。生き方,服装,女性への接し方,そして酒の飲み方。まるでお手本のような本だ。


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ソフトバンクの文庫では3冊に再構成されているようだ。このシリーズはもともとラジオストーリーで,3年間放送されたというから,毎週1話だとすると150話あってもおかしくない。3冊合わせても50話にしかならないと思うけれど,このギャップはどう考えれば良いのだろうか?ちょっとWeb検索しただけでは分からなかった。




町の一番上から一番下まで,警察からも裏社会からも足を引っ張られながら,それでもどこまでも真相に肉薄する,ハードボイルドの教科書がここにある。





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Last updated  2020.09.06 18:24:42
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