ラムについて 0
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【ロン・バルセロ~Ron Barcelo~】僕の大好きなラム、ロン・バルセロ。ブライトで輪郭の整った、バランスの良い味わいが特徴です。今回はこのロン・バルセロについて掘り下げてみます。【ロン バルセロ社の概要】ロン・バルセロはドミニカ共和国の、アルコールス・フィノス・ドミニカノス(Alcoholes Finos Dominicanos)蒸留所で生産されています。始まりは1930年、スペイン人のジュリアン・バルセロが、ドミニカのサントドミンゴにバルセロ&Co,をスタート。すぐに国内で人気のラムになったそうです。「バルセロ・ドラド」と「ブランコ」によるバルセロブランドは、次に「バルセロ・アネホ」をラインナップに加えて、さらに多くの支持を得、ドミニカを代表する企業の一つとなります。その後、創業者のジュリアンはミゲル・バルセロに事業を遺します。そしてミゲルは1980年に、遂に決定打となる「バルセロ・インペリアル」を誕生させます。バルセロ・インペリアルは大成功し、ドミニカで一番人気のラムになっただけでなく、国際機関からの受賞が最も多いドミニカのラムになりました。あの味だから当然ですよね。1990年代には更なる輸出の拡大のため、スペインのスピリッツ企業に輸出権利を与え、バルセロSRLが設立されます。そして2006年には25か国もの国際市場に進出し、バルセロSRLはバルセロブランドを買収、インペリアル、グランアネホとアネホのボトルデザインを現行のモノに変更したそうです。以前はどんなボトルだったのか興味がわきますが、それはわかりませんでした。そして現在ではバルセロは50か国以上に輸出され、輸出規模は世界第4位だそうです。輸出体制の流れもあって、バルセロはスペインで最も人気が高いそうですが、日本へは有限会社オーケストラという会社が輸入元になっているようです。同社は主にスペインのワインを中心に輸入・販売されているようで、バルセロの海外販売戦略の流れを知ると納得できますね。【バルセロ:AFD蒸留所の取り組み】バルセロの蒸留所であるAFD社は、ドミニカで最初に国際ISO 14001環境管理システムの認証を受けた企業で、蒸留所における環境オペレーションの世界的リーダーとして知られているそうです。サトウキビを絞った後のバガスをバイオマス燃料として使用し、ソーラーパネルと併せて年間の電力消費の96%を自社で賄っているそうです。こういった取り組みには、思い切った先行投資への決断が必要なので、その姿勢と実行力は素晴らしいと思います。【バルセロの味わい】バルセロは糖蜜からではなくサトウキビジュースから作られているそうです。サトウキビジュースから作るラムといえば、真っ先に思い浮かぶのがフランス系ラム:アグリコールラムです。フランス系ラム:アグリコールラムには独特の植物風味があるので、好みがはっきりと分かれます。僕もアグリコールラムは苦手ですが、一方バルセロは凄く美味しいので、バルセロがサトウキビジュースから作られているということを読んだ時は、ただの記述ミスだろうと思っていました。でもバルセロの公式ウェブサイトや複数のソースでも同様の記述がみられるので、間違いないようです。ハイチのバルバンクールもサトウキビジュースが原料ですが、クセのない美味しいラムなので、サトウキビジュースから作るとどうしても草風味になってしまうというわけではないようです。とにかく、バルセロはサトウキビジュースが原料で、それを発酵させ、5コラムスティル(連続式蒸留)で蒸留、基本的にはアメリカンオークのケンタッキーバーボンカスクで熟成されているそうです。その味の特徴は、ヘンなクセが全く無く、バニラとカラメル、オークの風味がバランスよく、しかもそれぞれ明確に感じられる、明るい雰囲気が印象的です。まろやかなオイリーさに包まれてコク深く、それでいて後味にはしつこさがない、とても飲みやすい味わいのラムです。【ロン・バルセロのラインナップ】現行のラインナップは、バルセロ・ブランコ(ホワイトラム)バルセロ・アネホ(日本未輸入)バルセロ・グランアネホバルセロ・クリーム(日本未輸入)バルセロ・グランプラティナム(ホワイトラム)バルセロ・インペリアルバルセロ・インペリアル・オニキス(日本未輸入)←輸入されました!バルセロ・インペリアル・プレミアムブレンド30周年記念となっています。バルセロ・インペリアル・プレミアムブレンド21周年記念は、当時の限定品だったようで、現在では販売されていないようです。以前に飲んだインプレッションは上記から、以下はそれぞれの概要です。【バルセロ・グランアネホ】このグランアネホの熟成期間はわずか約4年とのことですが、他社製品からすると、その味わいは驚異的にマイルドです。アルコール刺激は殆ど感じられず、シリーズ共通の特徴であるクリーミーさもしっかりと備わっています。インペリアルよりは少し淡い味わいですが、インペリアルと比べれば淡いというだけで、他の下手なブランドのラムなら8年熟成以上と思えるほどのコクと、充分な濃度があります。ミキサーにするにはもったいない味わいです。【バルセロ・インペリアル】バルセロブランドの看板商品、バルセロ・インペリアル。全体が柔らかなバタークリームに包まれているような豊かなコクに溢れていて、明るい甘さと、バニラ、カラメル、樽の風味がバランスよく備わっています。その輪郭のはっきりしたキラキラ輝くような素晴らしい味わいは格別で、飲んでいる時はフルボディ的な濃厚さを感じるものの、飲み終わるとさっぱりした印象もある、不思議な魅力に溢れています。このバルセロ・インペリアルは、おおよそ7年熟成されているそうです。僕のイチオシのラムです。【バルセロ・インペリアル・オニキス】オニキスは、8~10年熟成物のブレンドで、ヘビーチャーされたカスク(通常よりも内側をよく焦がした樽)での熟成後、フィニッシュはフレンチオークカスクを使用、オニキス(瑪瑙)の小石で濾過されているとのことです。チャーの具合は通常のインペリアルが#3か#4のところ、オニキスは#5か#6とのことです。数値的にはよくわかりませんが、味わいにはかなりの影響があって、格段に奥深く、濃厚さが増していると思います。マウントゲイのブラックバレルも、同じ手法で同様の効果を得ていますね。ぜひ輸入して国内流通させほしいラムです。*後日追記:日本国内での流通ありました!【バルセロ・インペリアル・プレミアムブレンド 30周年記念】30周年とは会社創業30周年かと思ってましたが、バルセロ・インペリアルの登場から30周年ということのようです。バルセロ・インペリアルがいかにエポックメイキングな存在かがわかりますね。プレミアムブレンドというだけあって、かなり気合の入った工程で作られているようです。チャーの異なる樽で10年以上熟成されたラムからそれぞれイイのを選び、それをブレンド、さらにシャトーデュケームなるソーテルヌワインの樽で2年追熟させた、とのことです。とても滑らかでクリーミーなだけでなく、チョコレートや干し無花果などの風味も加わった、非常に複雑で濃厚な味わいです。【バルセロ・インペリアル・プレミアムブレンド 21周年記念】全く詳細不明ですが、30周年記念モデルと同様、インペリアルの発売から21周年だとすると、発売は2000年くらい。なぜ21周年という半端さなのか、なぜニカラグアのモンバッチョに似た味わいなのかなど、僕にとっては謎が多いラムです。しかし味わいは極上で、ダークチョコレートとカカオ、それにバニラやキャラメル、クリーミーな無塩バターの風味と溶け合っていて、濃厚なコク深さが際立っています。これでロン・バルセロの良さが伝わるかどうかはわかりませんが、まだ飲んだことのない方はぜひバルセロ・インペリアルから飲んでみて下さい。間違いない味だと僕は思います。【あす楽】ロン バルセロ ブランコ 37.5度 700ml価格:1710円(税込、送料別) (2019/10/21時点)【あす楽】ロン バルセロ グランアネホ 37.5度 700ml価格:2220円(税込、送料別) (2019/10/21時点)【あす楽】ロン バルセロ インペリアル 38度 700ml価格:3750円(税込、送料別) (2019/10/21時点)【あす楽】ロン バルセロ 30年 インペリアル プレミアム ブレンド 43度 700ml価格:17600円(税込、送料別) (2019/10/21時点)ロン・バルセロ インペリアル・オニキス 38% ラム 700ml価格:5500円(税込、送料別) (2020/4/2時点)
2020.01.21
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【フロール・デ・カーニャ~Flor de Cana~】僕の大好きなフロール・デ・カーニャ。唯一無比の「優しく、優雅な味わい」のラムです。今回はこのフロール・デ・カーニャについて掘り下げてみます。【カンパニラ・リコレラ・デ・ニカラグア(CLN)社の概要】フロール・デ・カーニャはニカラグアのラムです。カンパニラ・リコレラ・デ・ニカラグアという会社で生産されています。ニカラグアで唯一ラムを生産している、130年余りもの歴史を持つ会社です。その昔、ニカラグアに渡ったアルフレッド・フランシスコ・ペラス・カネッサという長い名前のイタリア人が、1890年に大規模なサトウキビ農園を開発し、サンクリストバル火山の麓、チチガルパに最初の蒸留所を作ったのが始まりだそうです。この場所が今日のフロール・デ・カーニャの味わいを決定付ける重要な要素だったようです。火山性の灰を多量に含む土壌とそのミネラルを含んだ地下水が、高品質なサトウキビを豊かに育むのだそうです。その後1937年にCLN社が設立され、フロール・デ・カーニャをニカラグアで販売開始。1959年にはベネズエラやコスタリカにも輸出を開始したそうです。1965年に蒸留所が近代化されて生産を継続しつつ、1973年頃には、なぜか隣国のホンジュラスにも蒸留所が作られたようです。残念ながら、ホンジュラスの蒸留所が現在どうなっているのかはわかりませんでした。その後1980年代はニカラグア革命があったため、フロール・デ・カーニャはやむなく大量に保管されていたそうですが、やがて政情は落ち着きを取り戻し、1996年に蒸留所はさらに近代化されました。創業以来一貫して家族経営とのことで、いくつもの工程を経る微妙な製造技術の伝承は、時間をかけて確実になされてきているということです。そして今日では、フロール・デ・カーニャは世界的に高く評価され、品評会での受賞歴は数知れず、定番ラムとしての確固たる地位を築いています。【土地は先祖から相続した財産ではなく、子供たちからの借金である】また、ラムの味わいとは直接関係はありませんが、CLN社はフェアトレードやサスティナブルといった思想を、ごくごく早い時代から実現・実践していた非常に先進的な会社です。 極めて優秀な労働条件と経済的還元性、それにコミュニティ開発と環境への持続可能な取り組みが高く評価され、スピリッツブランドとして世界で初めてフェアトレードUSAの認証を受けました。10年以上も前から、蒸留所は完全に再生エネルギーで運営されていて、毎年ニカラグア国内に5万本の植樹を継続しています。さらになんと1913年から従業員の子供たちが無償で教育を受けることができる学校が維持されていて、さらに1958年からは従業員とその家族が無料で受診できる病院が完備されていたのだそうです。僕たちがフロール・デ・カーニャを購入すると、労働者のみなさんはコミュニティ開発基金によって自分たちで選ぶプロジェクトにお金を利用できる、とのことです。また同社では、さらに完全なサスティナブル生産システムを目指していて、現在は発酵中に排出されるCO2はすべて回収することに成功し、次は100%リサイクル素材でのクリーンなパッケージを目指している、とのことです。フロール・デ・カーニャの公式サイト【フロール・デ・カーニャの味わい~Naturally Aged, Sugar Free~】僕がこれまで飲んだことのあるフロール・デ・カーニャは、5年、7年、12年、18年、25年の5種類。ラインナップとしてはこの他にホワイトラムやフレイバーラムがあるようです。過去記事:フロール・デ・カーニャ5年過去記事:フロール・デ・カーニャ7年過去記事:フロール・デ・カーニャ12年過去記事:フロール・デ・カーニャ18年過去記事:フロール・デ・カーニャ25年*現在のところ、国内流通があるのは12年と18年だけのようです。これらフロール・デ・カーニャの特徴は、先ず謳い文句にもあるように、自然な熟成、砂糖不使用ということでしょうか。自然じゃない熟成というのがあるのかわかりませんが、とにかく高温な気候によるエンジェルシェアをものともせずゆっくりと熟成させるようです。また砂糖について、僕は添加してても不使用でも美味しければどっちもアリだと思っていますが、このフロール・デ・カーニャは砂糖不使用ながらナチュラルな丸い甘さで、全体の味わいに絶妙にマッチしていると思います。特に12年以上にその傾向を大きく感じます。 製法的には連続式蒸留器(ファイブ・コラム・スティル)で蒸留され、180リットルのアメリカンホワイトオーク製バーボンバレルで熟成させるそうです。基本的には5年以下はカクテルに、7年はロックか上等なカクテルに、12年以上はロックかストレートで飲んで下さい、ということになっています。バターやナッツオイルのようなクリーミーさが印象的で、その柔らかなベールに包まれて、バニラやカラメルの風味が感じられる上品な味わいがシリーズ共通の特徴です。全くクセが無く、甘さは控えめ。熟成年数が増すごとに、マイルドさとコクが増してゆきます。僕の印象では、5年と7年の間に大きな断絶があると感じました。7年は充分ストレートで美味しく飲めるものの、5年はかなり物足らない味わいに思えます。アルコール刺激が強いわけではないのですが、味わいが急に淡くなる感じです。マウントゲイでいえば、フロール・デ・カーニャ7年はブラックバレル、5年はエクリプスという感じでしょうか。僕の中ではフロール・デ・カーニャは7年から、マウントゲイはブラックバレルからが美味しく飲め、それ以下のグレードは少々物足らない味わいです。フロール・デ・カーニャ7年は美味しく、12年はとても美味しく、18年は物凄く美味しく、25年は気絶寸前・悶絶級の美味しさ、といったところです。特に初めて18年を飲んだ時の強い印象は今も忘れることができません。それまで飲んだ他のラムとは全然似ていなくて、あくまで優しく、コク深く、その香りと味わいの深さに衝撃を受けました。まるで、初めてゴーギャンの絵を観た時のような、初めて村上春樹の小説を読んだ時のような、初めてオアシスの曲を聴いた時のような、大袈裟ですが心を揺さぶられたような、そんな気持になりました。こんなに素晴らしいラムを作ってる人たちがいる、ということに感激し、僕も自分の仕事をこれまで以上にしっかりやろうという気にまでなりました。誰が飲んでも僕と同じように衝撃を受けるということはないかもしれませんが、誰が飲んでも美味しいと思えるラムではあると思います。ラムがお好きな方で、もしまだ飲まれていない方は、ぜひこのフロール・デ・カーニャを飲んでみて下さい。【旧フロール・デ・カーニャ18】旧型のフロール・デ・カーニャは、現行とは全然違う形状のボトルでした。丸みを帯びていて持ちやすく、なんとなく男性的な雰囲気があり、ラベルのデザインも昔風です。注ぎ口には「ちょっとづづしか出てこない透明プラスチックパーツ」付き。しかし、違うのはボトルだけではなく、なんと中身も全然違います。現行のフロール・デ・カーニャよりも、オイリーさが少ない代わりに、濃厚なチョコレート風味があり、モンバッチョやサパテラに似ています。同じCLN社製品なので似ているのは当たり前ですが、逆に当時は差別化が難しかったのではないかと思えます。この旧フロール・デ・カーニャの味わいも素晴らしいので、僕としては現在のフロール・デ・カーニャはそのままに、モンバッチョシリーズを再販してほしいところです。そうすれば、ニカラグアンラム:CLN社のバリエーションを楽しむことができます。どこかの会社がモンバッチョを輸入してくれるといいんですけどね。【フロール・デ・カーニャ30年!】2020年にフロール・デ・カーニャ30年が限定発売されるという記事がありました。その数は僅か411本だけ、価格は$1,200の予定だそうです。本数といい、価格といい、ほぼ入手不可能なのですが、例え飲めなくても飲んだ人の話を聞いてみたいです。ぜひどなたか飲んで、お話を聞かせてください!【あす楽】フロール デ カーニャ 18年 センテナリオ (ニカラグア) 40度 750ml価格:4560円(税込、送料別) (2019/10/19時点)【あす楽】フロール デ カーニャ 12年 センテナリオ (ニカラグア) 40度 750ml価格:3240円(税込、送料別) (2019/10/19時点)
2019.12.14
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