ラム酒 インプレ【今日もラムを飲んでます】

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2019.12.14
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【フロール・デ・カーニャ~Flor de Cana~】

僕の大好きなフロール・デ・カーニャ。

唯一無比の「優しく、優雅な味わい」のラムです。

​今回はこのフロール・デ・カーニャについて掘り下げてみます。​

カンパニラ・リコレラ・デ・ニカラグア(CLN)社の概要】

フロール・デ・カーニャはニカラグアのラムです。
カンパニラ・リコレラ・デ・ニカラグアという会社で生産されています。

ニカラグアで唯一ラムを生産している、130年余りもの歴史を持つ会社です。

その昔、ニカラグアに渡った アルフレッド・フランシスコ・ペラス・カネッサという長い名前のイタリア人が、1890年に大規模なサトウキビ農園を開発し、 サンクリストバル火山の麓、チチガルパに最初の蒸留所を作ったのが始まりだそうです。

この場所が今日のフロール・デ・カーニャの味わいを決定付ける重要な要素だったようです。
​火山性の灰を多量に含む土壌とそのミネラルを含んだ地下水が、高品質なサトウキビを豊かに育むのだそうです。​

​​​その後1937年にCLN社が設立され、フロール・デ・カーニャをニカラグアで販売開始。1959年にはベネズエラやコスタリカにも輸出を開始したそうです。​​

1965年に蒸留所が近代化されて生産を継続しつつ、1973年頃には、なぜか隣国のホンジュラスにも蒸留所が作られたようです。
残念ながら、ホンジュラスの蒸留所が現在どうなっているのかはわかりませんでした。

その後1980年代はニカラグア革命があったため、フロール・デ・カーニャはやむなく大量に保管されていたそうですが、やがて政情は落ち着きを取り戻し、1996年に蒸留所はさらに近代化されました。
創業以来一貫して家族経営とのことで、いくつもの工程を経る微妙な製造技術の伝承は、時間をかけて確実になされてきているということです。

​​そして今日では、フロール・デ・カーニャは世界的に高く評価され、品評会での受賞歴は数知れず、定番ラムとしての確固たる地位を築いています。
​​



【土地は先祖から相続した財産ではなく、子供たちからの借金である】

また、ラムの味わいとは直接関係はありませんが、CLN社はフェアトレードやサスティナブルといった思想を、ごくごく早い時代から実現・実践していた非常に先進的な会社です。

 極めて優秀な労働条件と経済的還元性、それにコミュニティ開発と環境への持続可能な取り組みが高く評価され、スピリッツブランドとして世界で初めてフェアトレードUSAの認証を受けました。

10年以上も前から、蒸留所は完全に再生エネルギーで運営されていて、毎年ニカラグア国内に5万本の植樹を継続しています。
さらになんと1913年から従業員の子供たちが無償で教育を受けることができる学校が維持されていて、さらに1958年からは従業員とその家族が無料で受診できる病院が完備されていたのだそうです。

僕たちがフロール・デ・カーニャを購入すると、労働者のみなさんはコミュニティ開発基金によって自分たちで選ぶプロジェクトにお金を利用できる、とのことです。

また同社では、さらに完全なサスティナブル生産システムを目指していて、現在は発酵中に排出されるCO2はすべて回収することに成功し、次は100%リサイクル素材でのクリーンなパッケージを目指している、とのことです。

フロール・デ・カーニャの公式サイト


【フロール・デ・カーニャの味わい~Naturally Aged, Sugar Free~】

​​僕がこれまで飲んだことのあるフロール・デ・カーニャは、5年、7年、12年、18年、25年の5種類。
ラインナップとしてはこの他にホワイトラムやフレイバーラムがあるようです。

過去記事:​ フロール・デ・カーニャ5年
過去記事:​ フロール・デ・カーニャ7年
過去記事:​ フロール・デ・カーニャ12年
過去記事:​ フロール・デ・カーニャ18年
過去記事:​ フロール・デ・カーニャ25年

*現在のところ、国内流通があるのは12年と18年だけのようです。

これらフロール・デ・カーニャの特徴は、先ず謳い文句にもあるように、自然な熟成、砂糖不使用ということでしょうか。
自然じゃない熟成というのがあるのかわかりませんが、とにかく高温な気候によるエンジェルシェアをものともせずゆっくりと熟成させるようです。
また砂糖について、僕は添加してても不使用でも美味しければどっちもアリだと思っていますが、このフロール・デ・カーニャは砂糖不使用ながらナチュラルな丸い甘さで、全体の味わいに絶妙にマッチしていると思います。
​​特に12年以上にその傾向を大きく感じます。​​

製法的には連続式蒸留器(ファイブ・コラム・スティル)で蒸留され、180リットルのアメリカンホワイトオーク製バーボンバレルで熟成させるそうです。

​基本的には5年以下はカクテルに、7年はロックか上等なカクテルに、12年以上はロックかストレートで飲んで下さい、ということになっています。​

バターやナッツオイルのようなクリーミーさが印象的で、その柔らかなベールに包まれて、バニラやカラメルの風味が感じられる上品な味わいがシリーズ共通の特徴です。
全くクセが無く、甘さは控えめ。

​熟成年数が増すごとに、マイルドさとコクが増してゆきます。​

僕の印象では、5年と7年の間に大きな断絶があると感じました。
7年は充分ストレートで美味しく飲めるものの、5年はかなり物足らない味わいに思えます。
​​アルコール刺激が強いわけではないのですが、味わいが急に淡くなる感じです。​​

マウントゲイ ​でいえば、フロール・デ・カーニャ7年は​ ブラックバレル ​、5年はエクリプスという感じでしょうか。
​​​​​​僕の中ではフロール・デ・カーニャは7年から、マウントゲイはブラックバレルからが美味しく飲め、それ以下のグレードは少々物足らない味わいです。
フロール・デ・カーニャ7年は美味しく、12年はとても美味しく、18年は物凄く美味しく、25年は気絶寸前・悶絶級の美味しさ、といったところです。

特に初めて18年を飲んだ時の強い印象は今も忘れることができません。
それまで飲んだ他のラムとは全然似ていなくて、あくまで優しく、コク深く、その香りと味わいの深さに衝撃を受けました。

まるで、初めてゴーギャンの絵を観た時のような、初めて村上春樹の小説を読んだ時のような、初めてオアシスの曲を聴いた時のような、大袈裟ですが心を揺さぶられたような、そんな気持になりました。

こんなに素晴らしいラムを作ってる人たちがいる、ということに感激し、僕も自分の仕事をこれまで以上にしっかりやろうという気にまでなりました。
​​​

誰が飲んでも僕と同じように衝撃を受けるということはないかもしれませんが、誰が飲んでも美味しいと思えるラムではあると思います。
​​​​​​​ラムがお好きな方で、もしまだ飲まれていない方は、ぜひこのフロール・デ・カーニャを飲んでみて下さい。
​​​​​​​

​​​​​​ 【旧フロール・デ・カーニャ18】

旧型のフロール・デ・カーニャは、現行とは全然違う形状のボトルでした。
丸みを帯びていて持ちやすく、なんとなく男性的な雰囲気があり、ラベルのデザインも昔風です。
注ぎ口には「ちょっとづづしか出てこない透明プラスチックパーツ」付き。

しかし、違うのはボトルだけではなく、なんと中身も全然違います。

現行のフロール・デ・カーニャよりも、オイリーさが少ない代わりに、濃厚なチョコレート風味があり、​ モンバッチョ ​や​ サパテラ ​に似ています。
同じCLN社製品なので似ているのは当たり前ですが、逆に当時は差別化が難しかったのではないかと思えます。

この旧フロール・デ・カーニャの味わいも素晴らしいので、僕としては現在のフロール・デ・カーニャはそのままに、モンバッチョシリーズを再販してほしいところです。
そうすれば、ニカラグアンラム:CLN社のバリエーションを楽しむことができます。
どこかの会社がモンバッチョを輸入してくれるといいんですけどね。
​​​​​​


【フロール・デ・カーニャ30年!】

2020年にフロール・デ・カーニャ30年が限定発売されるという記事がありました。
その数は僅か411本だけ、価格は$1,200の予定だそうです。
本数といい、価格といい、ほぼ入手不可能なのですが、例え飲めなくても飲んだ人の話を聞いてみたいです。
ぜひ​どなたか飲んで、お話を聞かせてください!​







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最終更新日  2019.12.14 20:20:07
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