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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2009年07月23日
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顔を出したツインの上司に、陽気な酔っ払い達がわーきゃーと盛り上がって何度目かわからない乾杯をしてくれた。

部門のセキュリティの仕事は時間もきりもなくて激務だが、皆暖かくて気のおけない人達ばかりだ。職場から動けなくてもさほどの不満がないのは、皆の人が好くて楽しいからだとトールは思う。
二人はそのまま、二次会にも少しだけつきあってルキアに帰った。


翌朝、マリアの作った朝食を皆で食べる。ダイニングには明るい朝日が満ちて、手作りの野菜がとても美味しかった。

「後でまた糸屋に行くわね」

紅茶を飲みながらマリアが微笑む。糸の質がいいと褒められて、緑の少女はありがとう、と笑った。
食事を終え、いつものように食器を片づけるとトールが言った。

「これからステーションに戻って、いくつかの異常個所の処理をするんだけどね。ひとつ面白そうなのがあるんだよ。一緒に行かないかい?」

「うん、行く」

マリアと別れ、二人は一度ステーションへ移動した。そこからけっこう遠く、ステーションの外側の結界のあたりまで、羽だけで飛んでゆく。

途中、トールはドラゴンを使わずに羽で飛んでゆくときのアンカーの仕方や、自分へのバリヤーの張り方などを少女に教えた。

少女は言われるままに即座にやってのける。
トールが魔法陣を書いて行うバリヤーの部分を、そんなんわかんない、めんどくさい、と思いながら、気だけ感覚でつかんでつくる。

「よし、これで同じ」

「そうだね。ちょっとこれとは方法は違うけど、まあ安全性と効果の面では問題ないからそれでいいよ」

少女が作ったバリヤーを見ていて、トールはうなずいた。
そうこうするうちに、結界の破れ目にたどり着く。

「うわああああ、かわいいいいい!」

見た途端に少女は叫んだ。
そこには、小さな赤子のドラゴンがひっかかって、動けなくなっていた。
その子がみーみー鳴いて発しているエネルギーで、周囲の結界を破壊していたのだ。

トールはもちろんそういう赤ちゃんドラゴンがいるのを知っていて、少女が喜ぶだろうと思って誘ったのである。結界を補修して助け出すと、少女の両の手の平に乗るくらいの小さな赤ちゃんドラゴンは、ちょこんと少女の肩に座った。

身体は青緑のまだらに羽のふちが赤、という色かと思っていたら、どうやら色がころころと変わる。首をかしげて少女を見上げる、大きな目がとても可愛い。

後で下の娘に聞いたところによると、普段連れ歩くのが危険というわけではないが、とても力の強い子であるらしい。サイズはあまり大きくなるタイプではなさそうだった。

「ねえ、この子、もらってもいい?」

頬ずりして目を輝かせる少女に、トールはいいよ、と微笑んだ。
そういえば彼女が最近連れ歩いているのは、結界を食う15匹のドラゴン軍団である。それに加えて、さらに気で結界を破壊する赤ちゃんドラゴンなんて大丈夫なんだろうか、と思わないでもない。
だがまあ、破壊された結界を修復する責任者はトールである。どうにかするより他はないというか、上もそのあたりを見越してこの仕事につけているのかもしれなかった。


それからトールは、胸ポケットから封書を取り出した。
昨日みつけた断れない筋の招待状。7月22日の皆既日食の日にある式典のものだったのだが、少女が了承したので出席の返事を書いたのだ。

「私はこれから他の仕事に行かなくちゃならないんだ。招待状の返事を書いておいたから、アシュタールじゃなくても、あそこの幹部のマスターや大天使なら誰でもいいから届けてくれるかな」

「わかった。じゃあね」

緑の少女は封書を受け取って手を振った。
誰のところに行こうかと考えて、ミカエルやラファエル以外で一番行きやすい、そして楽器をもらってからまだ顔を出していない、サンダルフォンの部屋に向かった。

封書を渡して出席の返事をすると、サンダルフォンはにっこり笑った。

「式典で音楽演奏してもらうから、あげた楽器をもっておいで。いきなりじゃ自信がなかったら教えてあげるから、楽器をもって今度私のところに来るんだよ」

「ええええ! やだよそんなの!」

思わず後ずさって少女は首をはげしく横に振った。

「まあ、そう言わないで」

「やだよ! 挨拶回り途中で放り出したからって、なんでそうやって好奇の目にさらされなきゃならないんだよ」

サンダルフォンは柔らかな動作で首を振った。音楽的な、歌うような声で続ける。

「そうじゃない。私たち天使にとってはね、君とトールというのは大戦のときに負った、天界の傷の象徴なのだよ」

「象徴……?」

「そう。ルシオラのことは誰もが覚えているからね。永の時を経ての二人の復縁は、私たちにとっては、あの辛い戦いの時代がようやく終わった、ということの象徴でもあるのだよ」

サンダルフォンが昔の傷を見つめるような悲しい瞳をしたので、緑の少女は顔をしかめた。同じような目にあった魂はたくさんいたはずなのに、なぜ自分達が象徴と呼ばれるのかわからない。
しかし同じく戦いの時代が終わったという話を、先日カイルとアエルとして出席した会議で聞いたばかりではあった。

「ひとりや数人で演奏しろとは言わない。壇上の後ろにいる楽団の中でいいから」

サンダルフォンに懇願されて、少女は仕方なくうなずかざるをえなかった。


















*************

>>【銀の月のものがたり】  目次1  ・  目次 2

>> 登場人物紹介(随時更新)



結局昨日は、リアルでは日食を見れずじまいでした orz
上で嫌ってーほどエネルギー浴びまくりだったので、これ以上浴びるなとかミカエルに言われますた・・・でもちょっとは見たかったよう。しくしく。

で、たしかに昨日の上の式典はすごかったです。
すごすぎてまだ解凍できないけど(爆
ようやくちょっと落ち着いてきたかなあ~



おひとりずつにお返事できず、本当に申し訳ございません。
どれも大切に嬉しく拝見しております♪
続きを書く原動力になるので、ぜひぜひよろしくお願いいたします♪


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最終更新日  2009年07月23日 14時42分46秒
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