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サイド自由欄

nmcard_128128.gif
トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2010年01月13日
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机の上の書類を整理し、端末の電源を落としてリフィアは肩をすぼめた。ふっと落として息を吐いてみる。
なんだろう。
仕事中はごまかしていたものの、何かいつまでもそわそわして気分が落ち着かない。
何かが変だ。
なんだろう、この感覚は。

(あんな事故に遭ったせいかしら?)

帰り支度をしながら考えてみたが、埒があかない。迷ったものの、リフィアはそれをアルディアスに伝えてみることにした。

ついでに、昨日自宅に帰ったとき、誰かがさっきまでいたような奇妙な違和感があったことも伝える。
そう感じて部屋のものを見ると、出勤前とは少し位置が変わっているような気もしたのだ。


もしかしたら、気のせいだよ、と言われるかもしれないと思っていたが、彼は思いのほか厳しい雰囲気で考え込んでしまった。

(リン、仕事はもう終わりかい?)
(え? ええ、そうだけど)
(じゃあ、ちょっとこちらに来てくれるかな。帰り支度をして)

リフィアが執務室に行くと、人払いがされていて彼はひとりだった。
窓際のソファに並んで座り、もう一度最初からさっきの話をする。

「母か姉妹か従姉妹の誰かきたかな? とも思ったんだけど。でも私が居ないと分かっている時間にわざわざ訪ねてくるなんておかしいし、第一そんな暇な人居ないのよ。みんな仕事や家事やなんかで忙しい人ばかりだから」
「そうか」

言葉少なにうなずくと、アルディアスは目線を落として黙り込んだ。
なにか事情があるらしい、と見守っていると、やがて彼は顔をあげ、ちょっと困ったようにリフィアを見た。

「……リン、実はね、どうやら私は今狙われているんだけど、その累が君に及んでいる可能性がある」

「極秘事項に関することだから全部は話せないが、まあちょっとばかり恨まれているのさ。
それだけならよかったんだが……リン、急だけどこれから上司に話を通すから、しばらくうちから出勤するといい。どうせ狙われているなら、近くにいたほうが守りやすい」

リフィアが何も言うことができないうちに、アルディアスは立ち上がって手をさしのべた。
ほとんど条件反射でその手をとった瞬間に、ふっとテレポートの体感がある。

「失礼いたします、元帥閣下」


深々と礼をするアルディアスに続いて、訳もわからぬままリフィアも頭を下げた。何ですって、元帥閣下? 軍の最高責任者じゃないの。

「はい。概略はさきほど心話でご説明したとおりです」
「承知しておるよ。そのように、細部は任せる」
「ありがとうございます。では恐縮ですが失礼を」
「気をつけてな」

アルディアスはもう一度頭を下げると、あっという間に自分の執務室に戻った。
呆然としているリフィアを連れ、彼女の荷物を持って駐車場へ急ぐ。
小走りで彼についてゆきながら、ようやくリフィアは聞いた。

「車で行くの?」
「ああ、私が運転する。君は歩くほうが好きなのは知っているけどね、リン、今は我慢してくれ。先に君の家に寄るから、当座に必要なものだけ持ってきてほしい。替えがきくものはあとで買い足せばいいから」
「は、はい」

アルディアスのオーラが戦場のものに近いことを感じて、リフィアはごくりと唾を飲み込んだ。
彼の周囲に、細かな氷晶がちらちら漂いだしたように見える。ダイヤモンドダストのようなその輝きに、思わずリフィアは見惚れた。


歩いてもそれほど時間のかかる道行きではないから、車ならばあっという間だ。
テラスハウスの玄関前に停めた車から急いで降りようとすると、アルディアスが片手をつかんだ。

「待って。私が開けるから」

そう言って彼は運転席から降り、助手席にまわってドアを開けてくれた。その眼が油断なく周囲に注がれている。

玄関まで来ると、今度は鍵を開ける前に少し待つように言われた。
中の気配を探っていたのかもしれない。五秒ほどののちにうなずかれたので、リフィアはドアをあけた。
出勤前と変わらない、ように見える。
アルディアスがいいと言ったのだから、今は中に誰もいるはずがない。それでもリフィアは心なしかどきどきしながら、旅行用の鞄に着替えと貴重品など入用なものを詰めこんだ。

管理人さんに挨拶もしておかなきゃ、とテラスハウスのすぐ隣の敷地に建っている家にも寄らせてもらう。
エンジンをかけたまま門前に停めた車の外でアルディアスが立って待っている間に、リフィアは急いでインターホンを押した。

玄関を開けて出てきた太った婦人は、リフィアを見ると相好を崩した。幼い頃から見てきた親戚の娘だから、自分の子のように可愛い。

「おばさん、夜にごめんなさい」
「いいのよ。急な出張かなにかなの?」
「ええ、そうなの。准将の長期出張についてゆくことになったから、悪いんだけど家の管理と、実家からの連絡の取次ぎをお願いしたいんです」
「わかりましたよ」
「ありがとう。またこちらから連絡しますから」

婦人は車の横に立つアルディアスを上から下まで眺めると、ぱちんとリフィアにウィンクした。

「しっかりおやりなさいよ、リーファ」
「な、なによおばちゃん、そんなんじゃないったら」
「わかってます、わかってますよ」

婦人はうんうんとうなずき、頼んだわよ、とでもいうようにアルディアスに軽く手を振った。銀髪の男が頭を下げて目礼を返す。それにもう一度うなずいて、婦人は楽しげに声をひそめた。

「おうちにはうまく言っておいてあげるからね。若いっていいわねえ。私もあと二十歳若ければねえ」
「おばちゃん!」
「はいはい。じゃあ年寄りは消えることにしますよ。身体には気をつけてね」

リフィアを軽くハグして、何かを誤解したまま、婦人は笑いながら家に帰っていった。

「まったく、おばちゃんたら何を誤解してるのかしら」

車に戻ってからも、リフィアはしばらくぶつぶつ言っていた。そういう場合ではないような気もするのだが、慌しく色々決まってなかば呆然としているため、なにか実感がわかない。

官舎の駐車スペースに車を入れ、アルディアスがドアを開けたときにそれは起こった。

パアン、と音が聞こえたと思ったのは気のせいだったのだろうか。
一瞬の光、そして巻き起こった風に長い銀髪がぱっと広がり、リフィアは助手席で息を呑んだ。

シールドで銃弾を阻止したアルディアスが顔をあげる。その表情は完全に戦場のものだった。厳しい眼をして立ち上がり、きっと弾の飛んできた方角を見やる。
目線を固定したままポケットから携帯機器を取り出すと、口早になにか伝えた。
遠い陰の中でなにかやりあう気配がして、やがて静かになる。

しばらく経ってから、アルディアスは助手席のドアを開けた。

「アルディ、あれは……狙われているって……」

官舎の玄関をくぐり、ほっと息をついてから呟くようにリフィアは言った。実際に銃弾が飛んできてはじめて、事の重大さが身に染みる。
しかしアルディアスは微笑んだ。

「ああ。ちょっとやそっとじゃ当たらないから大丈夫。そんなところに突っ立ってないで、早くおはいり。寝るだけの場所だから殺風景で申し訳ないけど、お茶くらいは出せるよ」
「あ、ああ、ええ」
「この家には何重にも結界を張ってあるから安全だ。中で話せることは話すから」

キッチンで湯をわかしはじめたらしいアルディアスに答えながら、リフィアは今更ながら気がついていた。
ここに入るのは彼の引越し後初めてだ、ということに。



















<Lifia - raid・illustration -> リフィアさん
http://blog.goo.ne.jp/hadaly2501/e/806c32e65b2998febbcb588d1fdc6f4a







【銀の月のものがたり】 道案内

【第二部 陽の雫】 目次




・・・と、いうわけで狙われたりしてました~。


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最終更新日  2010年01月14日 14時37分25秒
コメント(7) | コメントを書く


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緊迫の…  
ゆうあ さん
今日の物語は緊迫してますね!
今まで結構ニヤニヤしながら読んでたのですが…。

>巻き起こった風に長い銀髪がぱっと広がり
のところで鋭い顔したアルディアス様が浮かびましたよ~そんな顔でもかっこいい!

とはいえ、さつきのひかりさんのあとがき、

>・・・と、いうわけで狙われたりしてました~。

に力が抜けて、ちょっと笑ってしまいましたw

どちらかというと、トールさんのイメージよりアルディアス様のほうが好きかも…(/ω\)キャー (2010年01月13日 15時01分42秒)

Re:【陽の雫 21】 標的  
撫~風~羽~♪ さん
狙われたりしてました~って(笑)
なんだかあっという間にお泊まりへ~♪
アルディアスさんにとってとても大切な人だから狙われたりしてたのね…敵さんにとっても公認ですか~♪
うふふ…♪ (2010年01月13日 15時16分16秒)

Re:【陽の雫 21】 標的  
茉風 さん
ねっ…狙われていたとは(´;ω;`)
私の想像では…ですが、リフィアさんも結構可愛らしいかたですもんね…。
アルたん、私の代わりにリフィアさん守って下さいっ><w (2010年01月13日 15時40分20秒)

Re:【陽の雫 21】 標的(01/13)  
たまねぎ さん
なんて頼もしいボディガード様!!
すごく緊迫した展開でドキドキしながら読んでいたら、
危機感ゼロのおばちゃんの言動(事情を知らないから当然なのですが)に不意打ちを食らって
思わず笑ってしまいましたwww
でもおばちゃんの誤解、100%的外れってわけでもないと思う。。。
(2010年01月13日 18時20分38秒)

Re:【陽の雫 21】 標的(01/13)  
ばるこ さん
19話の伏線は、この出来事だったんですね。
20話からsweet路線が続くかと思ったら、サスペンスッw( ̄△ ̄;)w
緊迫感はあるのに、二人の雰囲気がやわらかい感じなのはリフィアの個性によるものなのかなぁ...見習いたい(^^;

おばちゃん、ステキですね。大陸っぽい感じがします^^
おばちゃんも見習うべき方という感じです。

(2010年01月13日 21時24分41秒)

Re:【陽の雫 21】 標的  
るちあ さん
『アナタヲマモル』
苦しい幸せ感が刹那です、、。
過ぎ去った過去のお話だというのに
その場に居る様な臨場感デスね。。
タイミングはかられたような流れです、、。
ひかりさんの文章力にも圧倒されます(;^_^A
(2010年01月13日 22時38分37秒)

おへんじ  
>ゆうあさん
緊迫の場面になりました~。
銃弾が飛んできた場面のイラストを、リフィアさん本体さんが描いてくださってます。
よかったら見に行かれてみてくださいね♪


>撫~風~羽~♪さん
そうですね~。あっという間にそんな展開に 爆
計算してるわけじゃないんですけどねえ。。


>茉風さん
リフィアさん可愛いですよ~♪ ←
何があってもアルディアスは彼女を護ると思いますw


>たまねぎさん
おばちゃんいい人ですよねwww
リフィアさんのご親族は、そんな感じの明るい親しみやすい感じの方が多いんですよ。
あったかい一族です^^


>ばるこさん
サスペンス・・・確かに 笑
いったいジャンルは何になるんでしょうね、この物語はwww
ほのぼのも好きなので、漏らさず描きたいです。


>るちあさん
緊迫してますからね^^;
文章を褒めてくださって、どうもありがとうございます♪
これからもぜひおつきあいくださいませ~♪


(2010年01月14日 18時18分40秒)

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