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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2010年01月24日
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少しどきどきしながら、リフィアはアルディアスの官舎の鍵を開けた。

あの襲撃の後、彼はいつ来てもいいよ、居ないときでも、と言って鍵を渡してくれた。
今日アルディアスは任務で不在。いないことがわかっていて入るのは、まだ少し緊張する。

玄関に入ると、少し埃っぽい匂いがした。
主が数日不在だからだろうか。

「リフィア、あなたお付き合いしてる人いるわね」

実家に帰っていて、姉達にいわれた言葉が脳裏によみがえる。

(まったく姉様たちったら早耳なんだから)

殺風景な玄関を意味もなく見回しながら彼女は思った。さすが商家の娘というか、姉達のネットワークのすごさときたら計り知れない。流行のサーチなどもぬかりなく、その情報網は軍を凌ぐときさえある。



書斎以外はすべてハウスキーパーが入っていることをリフィアは知っている。
彼女は廊下を進み、リビングの窓を開けた。
夕方とはいっても、すこしでも換気をしたほうがいいに違いない。

斜めに入ってきた金色の夕焼けに目を細めていると、離れた場所でなにかが落ちる音がした。思わず背後を振り返った鼻先に、また埃のような砂のような匂いがかすめる。

これは……悪意?

狙われていたアルディアスの脇にその匂いがあったことを思い出し、リフィアはばくばくと踊りだした心臓をなだめながら探検に行ってみた。

玄関からすぐの部屋のドアが薄く開いている。音と匂いはそこからのようだ。

リフィアはそっとその部屋に入ってみた。
小さな窓から射しこむ夕日に舞い上がった埃が光り、掃除されていないことがすぐにわかる。

端に置かれた木製の机の上に、封筒や紙束が放り出してあった。いくつかは山としてまとめてあるところを見ると、自重で崩れて音を立てたものらしい。

そこにあった写真をちらりと見て、リフィアの目が凍った。


足首の切断シーン、それも4~5枚連続している。血の出ていないその画像は死体を解体しているものなのか、人形のようでありながら妙に生々しかった。

机にあるものはアルディアスの職務上のなにか、それも極秘に近いようなものだと気づいて、リフィアは息を止めたままドアに後ずさりした。
書類はいじらず、崩れたのもそのままにして部屋を出る。

廊下には薄い最後の夕日が細長く伸びてきていた。
もうすぐ日も落ちる。


さきほど換気に開けたばかりだったが、ささっと窓を閉めて戸締りすると、リフィアは足早に自分のテラスハウスに帰った。



アルディアスが任務から戻ったのは翌々日だ。
作戦終了を聞いたリフィアは、早めに仕事を終えて官舎に向かい、暖かな食事をつくって待っていた。

戦場から戻ってきた彼が、ドアを開けてやさしい気配の満ちる家にぱっと微笑む。
その嬉しそうな笑顔を見て、リフィアはここで待っていてよかったと思った。

たわいもない、しかし積もった話をしながら食事をする。
夜も更け、久しぶりに会えた気持ちもようよう落ち着いてきた頃合に、リフィアはあの部屋のことを告白した。

「アルディ、ごめんなさい。私……その、第三者が見ちゃいけないものを見ちゃったみたい」
「?」
「玄関入ってすぐ左のお部屋。このあいだ、ちょっとここに寄ったら、書類の崩れる音がしたものだから」
「覗いてみた?」

リフィアはこくんとうなずいた。アルディアスは腕をのばすと、金茶の髪をそっとかきあげて穏やかに言った。

「困った人だね。あの部屋には入らないでくれと言ってあったのに。……結界も張ってあったんだがな」
「ドア、開いてたわ。閉まってるのを開けようとは思わないもの」

うん、とアルディアスは呟いて考えるような目をした。彼女の言うとおりだろうと思う。あの部屋にかけてあった結界は妖精系のものだったが、主から正式に玄関の鍵をもらったリフィアが、同じく主として認定されたという可能性があった。

「だけど気持ち悪かったろう。あそこにあったのは、ある地方都市で起きている凄惨な事件のファイルだから」

画像を思い出したリフィアがかすかに震える。その身体を抱き寄せて、しばらくしてからアルディアスは言った。その長い銀髪に月光がきらめいている。

「リン、頼みたいことがあるんだけど」

そう切り出して、彼はリフィアに事件の概要を説明した。

とある地方都市で、多くの子供達が誘拐殺人の被害にあっていること。それも殺人の様子、その後まで、スナッフムービーとして商品にしたてあげられ裏で売りさばかれていること。
それなのに地方評議会で大きな問題になっていないこと、など。

「それって……」
「そう。評議員の中に、犯人グループと癒着している人物がいる。そこの警察も抱き込まれているようなのでね、私は水面下でその捜査にあたっていたんだよ」

なんてこと。リフィアは急に寒気がして、両手で自分の肩を抱いた。

「もしかして……あの襲撃もそうなの?」
「うん、まあ繋がりはあるね。実際に襲ってきたのは、以前話題になっていた暴行集団だったんだが……」

アルディアスはそこでいったん言葉をとめた。ムービーを見る限り、実行犯のほとんどはかなりの実戦経験者で、その上趣味が彼らと似通っている、というのが理由のひとつだが、そこまで言ってわざわざ気味悪い画を思い出させることはない。
仕事として見た彼自身ですら、そのえげつなさに眉をひそめずにはいられない代物だったのだから。

「もう2年になるが。エル・フィンという青年をリーダーにして、数人その都市に潜り込ませてある。彼らからの報告によって、その癒着している相手と主犯格が、そろそろ割れそうでね」
「エル・フィンさん……。ああ、あの降格人事のときの方ね」

リフィアは記憶をさぐった。
エル・フィンの左遷は、それなりに総務の同僚達の間で話題になったのだ。
もっとも主な理由は、知り合いではないがエル・フィンを見知っている子がいて、美形よ、という話からだったが。

同僚のカノンがこの中にあるはずなんだけど、とフォトアルバムや未整理の写真を見せてくれ、そこに一枚、懇親会で彼女の背後に金髪碧眼の青年が写っているものがあった。
その迫力の瞳を見て、(こういう瞳をコバルトブルーって呼ぶのかしら)と思ったことを覚えている。

その後周りの盛り上がりについていけず、話の輪からは抜けてしまったが、そういえばアルディアスの写真もあったわ、とリフィアは思い出した。
准将になって帰ってきたときのものだろうか、屋外の離れたところから撮影していて、スクリーンが一枚挟まっているように少しぼやっと写っていた。
これは完全に隠し撮りだろうが、懇親会の写真だって、自分達を写しているようで背後の人物にピントがあっているものがほとんどだった。要するに気になる青年士官を撮っていたものらしい。
そのことをついでに話すと、アルディアスは笑った。

「へえ、私の写真も? それは光栄。殺気がなければ気づかないか、気にしないかだからね。わからなかったよ。だけど、エル・フィンの名前を知っているなら話が早い」

真面目な顔になって彼が言ったのは、かの地方都市の財政における正規帳簿を出してほしい、ということだった。
すべての自治体の正規帳簿は、自軍の能力を測るために写しが軍部中央にも保管されているのだ。

「まだ相手に動きを知られたくないのでね、できれば秘密裏にやってもらいたんだけど……できるかい?」
「もちろんよ。正規の帳簿なら手続きもたいしたことないし、それにね、将官命令でしたら他の業務に優先される上、極秘扱いもまったく問題ないんですのよ、フェロウ准将」

この人自分の地位をほんとにわかってるのかしら、と藍色の瞳を見つめてリフィアは笑った。いいえ、責任という意味ではともかく、権力という意味ではわかっていないに違いない。そう思うとおかしい。

そんなリフィアを不思議そうに見やりながら、じゃあお願いします、と彼は言った。
























【銀の月のものがたり】 道案内

【第二部 陽の雫】 目次



先日、火のエレメントのヒーリングのとき「物語のご感想でもいいですからお願いします」と書いたら
意外にたくさんの方からコメントをいただいてほくほくです♪ ありがとうございます♪♪

ヒーリングはもうすでにほとんど体質なので(爆)、物語を褒めていただくとものすごく嬉しかったりする私です。。w
なんででしょうねえ、自分でもよくわからないんですけど、意識的に頑張ってる感がこっちのほうが強いからでしょうか。
どちらかというと顕在意識をみっちり使うからかな?

ともあれ、ご感想いただくとすごく嬉しいです。
どうもありがとうございます♪



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最終更新日  2010年01月24日 00時20分56秒
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Re:【陽の雫 24】 事件  
撫~風~羽~♪ さん
おお~♪
読み始めるとぶわっと入り込んでしまって思わず自分が今いる周りの感覚が一瞬分からなくなってしまいました…(笑)さつきのひかりさんの文章力ってすごいなぁ~♪
悪意を感じた瞬間ってゾッとしますよね…なんだかシンクロしたように黒くよどんでそこにある悪意の情景が目に見えるよう…。
アルディアスさんとリフィアさんのやさしい時間に和みます♪ (2010年01月24日 07時08分17秒)

Re:【陽の雫 24】 事件(01/24)  
たまねぎ さん
本当にさつきのひかりさんの文章力ってすごいですよね♪
ひとつひとつの言葉や表現が、各場面にふさわしいように厳選されて
繊細に織り上げられている作品なんだな~と思います。
(感想を書くこちらの文章力がこんなんでスミマセンorz)

エル・フィンさん、そんな大変で大切な任務に就いてるんですね~
早くひどい事件が解決してシェーン君とも再会できる日が来ますように……

(2010年01月24日 12時22分58秒)

Re:【陽の雫 24】 事件  
*水音(みおん)* さん
いつもドキドキしながら拝見させていただいてます(*^_^*)
リフィアちゃんの心境に読みながら入っちゃって、大変な中でもらぶっだからでしょうね、元気もらってます(*´艸`*)
エル・フィンさん、早くドラゴンさんと逢えますように
PS、遠足では大変お世話になりました!おかげさまで無事(笑)卒業できて良かったですo(^-^)o (2010年01月25日 10時22分09秒)

おへんじ  
>撫~風~羽~♪さん
おお~ありがとうございます♪
そう言っていただけると、泣けます(涙
これからも精進いたします!


>たまねぎさん
うわ~ありがとうございます~~(照
しっくりする言葉を捜すのに、何週間もかかることもありますので。。
とてもありがたいです♪


>*水音(みおん)*さん
リフィアさんは元気ですよね♪
小さい頃からそんな感じだったみたいでw
それから遠足ご卒業、本当におめでとうございました♪♪

(2010年01月25日 17時57分54秒)

Re:【陽の雫 24】 事件(01/24)  
あんず さん
いつもありがとうございます。

前回でほっとした~、と思いきや、まだまだ事件は解決していないのですね。ドキドキしながら読みました。
いつも読みながら映像が浮かんできます。たまに帰ってこられない時も(笑)

これからも楽しみにしていますね♪
(2010年01月26日 00時10分35秒)

おへんじ  
>あんずさん
ありがとうございます~♪
とっても嬉しいです。
でもちゃんと帰ってきてくださいね!
続きが読めなくなっちゃいますからww

(2010年01月26日 17時48分27秒)

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