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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2010年08月26日
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大祭当日は、神殿前の大通りも大混雑だった。


チェックを通った参拝客の中に、足をひきずっている老婆がいた。
どうやら一人でここまで来たものの、人混みに押されて転んでしまったらしい。

「おい、ばあちゃん歩けねえのか? 大丈夫か?」
「ありがとうねえ、軍人さん。たいしたことはないから。今年は大神官様の大事な神事の年だもの、本殿に入れるっていうのを逃すわけにはいかないよ」

気丈に老婆は言ったが、足元がおぼつかない。
大神官の関わるメインの神事は奥院で行われる秘事であるため、礼拝堂に入れたからといってそれが直接見えるわけではない。

しかし聖歌のほとんどはここで歌われるし、広がった神事のエネルギーはまっさきにこの礼拝堂に届くのだというから、楽しみにしている老婆の気持ちもわからないではなかった。


ざわざわと落ち着かない礼拝堂の、右の奥ほどに目立たないように陣取る。

やがて儀式が開始される時間になった。
神官の祝詞から始まり、女性神官たちの歌、少年聖歌隊の歌と続いて、場の調整をしつつ、波動を少しずつ上げているようだ。

前奏のような歌が終わって、続いて現れたのは一組の男女だった。

(おや? あれは……)

オーディンは思わず眉をひそめた。あれは、先日の作戦で大活躍していたクレインヴァー少尉じゃないか?
あいつ、戦場だけじゃなくてこんなところでも能力を発揮できるのか。

二人の歌が始まると、まるで金色の波が押し寄せて、天井や神殿の隅々まで行き渡って行くようだった。
オーディンにはサイキック能力はほとんどないが、先ほどの聖歌隊の歌とは、曲も実力も段違いだとわかる。

(こいつ、とんでもねえ奴だな)

彼は思わず付き添いの名目をすっかり忘れて聞き惚れた。




控室で見た巫女正装姿のティーラはそれは綺麗で、それだけでもこの一週間の苦労(?)が報われた気がする。

広い礼拝堂には参拝者がぎっしりと入っていた。
色々な人のエネルギーを感じる。
ほんの急造とはいえ神官の修業もさせられた為、今まで以上にエネルギーに敏感になっているようだった。

エル・フィンは呼吸をととのえ、一瞬目を閉じた。


この星に歌をささげること。

ティーラと二人で指示された位置につき、深く大地と繋がる。しっかりと不動の中心と繋がるほどに、声は高く遠く伸びてゆくのだ。

澄んだ楽器の音が礼拝堂いっぱいに響き渡り、そして二人は静かに歌いだした。

礼拝堂の立ち位置は、エネルギーを同調させ増幅させてゆくような設計になっているようだった。
曲の力も最大限に開放されて、歌うとものみなの響きが感じ取れる。

心の底から、すべてを解き放って。
この世界と星とすべてに同調して、平安を祈る歌を。




神殿のすべてを見えぬほどに揺らがせながら、奥院に聖歌の波動がやってくる。

時を同じくして、各地のすべての地方神殿でも祭祀は行われているはずだ。
地表にちらばった星々が光を発しはじめ、それが中央大神殿へと向けられる。禁域の森を含む広大な敷地全体の波動が徐々に上げられ、螺旋を描いて奥院へと集まってくる。

始まった。

小さいドームのような奥院の、中央に描かれた幾何学模様の上に立っていたアルディアスは、手に持っていた錫を軽く床に突いた。
しゃらん、と鈴のような澄んだ音色が響く。

その音はめぐる聖歌のエネルギーを集める中心部分として機能し、すべての響きはその錫の先端を目指してくるようにも思えた。

前奏が終わり、エル・フィンの歌が始まる気配。
ものみなを響かせるエネルギーが急激に高まり、濃密にドームに満ちてくる。

アルディアスは幾何学模様の端に立つリフィアの方をちらりと見やると、同じ歌を唇に乗せた。
慣れぬ大きなエネルギーに、彼女が揺らされることがないように。

幼い頃から、聖歌は何度も聴いて覚えているのだろう。
彼の喉から紡がれたのびやかな歌声が、自分の周りをやわらかな膜のように包みこんでゆくことにリフィアは気づいた。
エル・フィン達の届ける強い響きがやってくるが、中庭で聴いたときのようにぐらぐらしたりはしない。

二重の聖歌が奥院に満ち始める。

長身の前に錫を立てて両手を添え、歌を紡いでいるアルディアスの声は、けして大きくはない。
けれども伏せられた青い目はエネルギーの流れを完璧に読み、無理なくそれに乗り、また共振しているように思えた。

うねり満ちてゆく光の粒子の中で、長い銀髪が風になびくかのごとく揺れる。
白い祭祀の服を纏い、目元と唇に紅を刷いたその姿は、いつもの彼とは全く違う。

男性でもない、女性でもない……いや、もしかしたら、人ですら。

神秘の力に満ちたこの奥院で、自分だけが異質なもののような気がして、リフィアは思わず身体を硬くした。
未知なるものが大きく口を開け、彼と自分とを隔ててしまうような錯覚に陥ってしまう。
その長身に駆け寄りたかったけれど、彼女の立ち位置はここと決められていたことを思い出し、ぐっと我慢する。

その気配に気づいたのだろうか。

歌っていた人が目をあげ、彼女を見てふと微笑んだ。
その笑顔は何も変わらない。

(大丈夫。一緒にいるよ)

短く届けられた心話に、リフィアはほっと小さく息をついた。



















【銀の月のものがたり】 道案内

【第二部 陽の雫】 目次



こんなペースでアップしたら、自分の首を絞めてるのは確実なんですけど 爆
どうやら、惑星ヒーリングの間に大祭神事の部分を終えたいらしい… ←


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最終更新日  2010年08月26日 22時44分48秒
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