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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2010年12月14日
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「おい、准将は飯食ったのかよ」

銀髪の上司とセラフィトが敵の目をひきつけている間に、まんまと衛星の外郭部に入り込んだオーディンが、油煙に汚れた顔を腕で拭いて隣の青年を見た。

Aaは元々、敵惑星の守備として配された砲台の一つだった。
武装が旧式になったのを全面的にリフレッシュするには金がかかり過ぎたのだろう、ただ廃棄されることもなく情報の中継地として有効活用されているのだ。
当然ユニットの入れ換えは必要であったため、その際に仕様の変わったところが幾つかあるが、他で防壁のフォローがなされている部分については、そちらで充分と判断されて元から眼のない場所がある。
オーディンとニールスが取りついて居た場所はそういう所だ。

「知らねえよ、多分また召しあがってないんじゃないか? 俺は見てないぞ」

同じく黒い顔をしたニールスが、油断なく周囲に目を配りながら答える。

ここまでは上司殿のサイキックに護られていた。

しかも当の上司殿は宇宙空間を挟んだ場所で部隊の指揮をとっている真っ只中、いくつもの対サイキック結界や防御壁を潜りぬけて、である。

(外郭部に侵入成功だね?)

ふわりと心話が届けられる。
そのしっかりとした感触に姿が直接見えるような錯覚に襲われて、二人は思わず目を合わせてしばたたいた。
ニールスのサイキックは近場での心話程度、オーディンに至ってはほとんどない。しかし二人揃うと上司殿の受発信機になれるようだというのは、部隊での偶然から判明し、その後訓練して高めてきたものだった。

(はい、ありがとうございました)
(今セリーの隊が巡航艦を落とした。我々もそちらへ向かう)
(了解しました。侵入を開始します)

ニールスが答え、うなずくような余韻を残して上司殿の暖かな感触が退いてゆく。
いつまでも頼ってばかりではいられない。ここからは守護はないのだと、奇襲部隊の面々にぴりりと緊張が走った。

敵国のものであっても、一般的な設備の仕組みは皆頭に叩き込まれている。


「お前いっつも准将が飯食うように話を持って行ってるだろ。副官も大変だな」
「他人事みたいに言いやがって」

中の配線をあらためながらニールスが呟いた。
そこから衛星の伝達網に偽情報を流す為、ラインの選り分けをしてユニットを取り付ける。腕時計を確認すると蝕まであと1分だった。発動まであと少し。

無駄話をしているのは、自分達も含めて同行の若い者達の緊張をほぐしておくためでもあった。


基地にいるときなどニールスはいつも、自然に食事にもってゆけるよう話に気をつけているのだが、臨戦態勢の今はそうもゆかぬ。
まして今回の作戦行動では、隊員達ですら準備から実地に至るまで、ほとんど寝る暇もない。
しかしここで手を緩めると今までの努力が無駄になる、いや勢いを削ぎたくない。
彼等はそれをしっかりと分かって、司令官の意を汲んで動いていた。

それでも隊員達はわずかな時間に食料を詰め込んだり、立ち食いしたりはしていたが、あの上司殿がうっかり忘れている可能性は大きかった。

「帰還したらとりあえず食堂に連行するか……」

ニールスが言いかけたとき、衛星の反対側で爆発音が起こり、電源が落ちて一瞬真っ暗になった。
すぐに予備電源が働いて薄暗い中に非常灯が浮かび上がる。

「よし、今だ」

ラインに取り付けたユニットを稼動させ、どさくさに紛れて偽情報を流させる。これで内部のエネルギー供給が必要最低限のセーフモードから回復することはない。

あれは彼らをここまで運んできた別働隊の艦が、蝕とほとんど同時に衛星の攻撃設備を爆発させた音だ。生きている砲台に僚艦が攻撃されては元も子もないし、外からの攻撃に監視の目がそらされている間隙をついて、本格的な侵入に移るための時間稼ぎでもあった。
今なら攻撃しても、それが敵本国に知られることはない。

他のパネルをいじっていた者たちのうなずきを見て、ニールスは声をあげた。

「突入するぞ。皆安心しろ、敵方の攻撃はみんなガーフェル軍曹が防御してくださるそうだ」
「はあっ?! おま……」

うっかり大声を上げかけた口を自分の掌でふさいだオーディンに、ニールスはにやりと笑う。

「違うのか? しょうがないな。じゃあ、勝ったらこないだ飲んだ店ごと買い上げの宴会ってことでよろしく」
「ばっ……」

ば、か、や、ろ、と口だけぱくぱく動かしているオーディンを尻目に、さっさとニールスは背を向けた。緑色の非常灯がぽつん、ぽつんと点いているだけの薄暗い中をすべるように進んでゆく。
盛大なため息をついたオーディンもそれに続き、廊下の奥でニールスが「敵しゅ…」と言いかけた人間の顎を一撃して気絶させたのを、足をひっつかんであっという間にそこらの空き部屋に放り込んだ。長年の間に培われたこのあたりのコンビネーションは、余人の真似できるところではない。



「予定外の巡視艇を発見!」

先行して衛星に近づく偵察艇に乗るエル・フィンが艦内に叫んだ。
通信スイッチは切っている。

折しも蝕の直前。
ニールス達を降ろした移動艇が敵衛星の砲台を攻撃しようとしていた時だった。
突如その背後に巡視艇が現れたのだ。
巡視艇のルートは当然調べて予測範囲に入っていたが、急遽航路を変更してきたらしい。
本隊がセラフィト隊を迎えて応援に向かっているが、この距離では間に合わない。

2機の小型偵察機を意識で操るエル・フィンは、当然その範囲の宙域を把握している。

「データ捕捉。一隻で間違いなさそうだぜ。俺たちでやっちまうか、エル・フィン?」
「勿論だ。一隻くらい落とせなくてどうする」

技術的な補助をしているマルスに返す。

セラフィトの任務が終了したため、彼は今衛星周辺を主に見張っている。小型偵察機にはある程度の攻撃機能もついているが、セラフィトの方向に出していたものが戻るまでは残りの1機を動かすしかない。

「攻撃準備!」
「了解」
「おう、行くぜ!」

よく通る声に、隊員たちが口々に応じる。

「砲台および駆動部、通信部を狙え。邪魔できないよう、完全に足止めするぞ」

正式参加は初とはいえ、エル・フィンもまたアルディアス隊の一員である。無駄な死者を出さないよう一点集中攻撃をするのは同じだが、上司よりも猛攻の印象が強いのは、彼自身の剣筋にも似ていた。

偵察艇は、巡視艇に比べるとかなり小さい。
その不利を逆手にとって、エル・フィンの艇は敵の死角をかいくぐり、的確に砲台に攻撃をお見舞いしていった。
砲台に積まれた火気物が誘爆を引き起こし、大きな巡視艇そのものの動きが封じられてゆく。

「よっしゃあああ!」

完全に沈黙し、魚の子のように脱出艇を放出する巡視艇を大型スクリーンに見ながら、隊員たちが鬨の声をあげた。
通常の偵察任務に加えて攻撃を見守っていたエル・フィンが額の汗を拭う。

「よし、これでOK。しかし偵察機が1機では不安だな。マルス、シェーン、補助してくれ。3機めを……」

金髪の青年が予備に準備してあった3機目の小型偵察機に意識を繋げようとしたとき、静止の声が入った。

(それは許可できない、エル・フィン)
(マスター! しかし)
(気持ちは嬉しいが、君の焼き切れを賭ける程ではない。今ここで生死がかかっているわけではないのだからね。巡視艇の始末をありがとう。助かったよ)
(……はい)

「……3機目はなしだ。現状続行とする」
「准将に止められたんでしょう。少佐も無茶ばっかりするから」

心話があったことに感づいた隊員の一人がにやりと笑う。無表情ながら口の端をかすかにあげてエル・フィンは返した。

「准将ほどの無茶じゃない」

彼自身、作戦が開始してから銀髪の上司が寝ているところも食べているところさえ目にしていない。
焼き切れを賭けるほどではない、それはこちらの台詞だ。

調理人の愚痴を思い出しながら、帰ったらお説教しようと彼は心に決めた。






















【銀の月のものがたり】 道案内

【第二部 陽の雫】 目次


隊員の皆様のご活躍をお楽しみくださいませ♪
ニールスさんの無茶振りとかwww

最近更新遅くってすみません orz
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最終更新日  2010年12月14日 11時05分57秒
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