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2007.06.04

２００６年２月　（株）宝島社より。
２００５年９月　第４回『このミステリーがすごい！』大賞受賞。
加筆、タイトル変更して単行本化。

図書館に行ったら、人気予約リストというのが貼ってあって、その上位にあった、という
理由だけで予約してみました。
内容を知らなかったので、何となくスポーツチームの話と思い込んでいて、
本が来たら、表紙の絵が注射器やメス・鉗子などで「あれ？」と思いました。(^^;

表紙絵を裏切らず、病院が舞台です。

主人公・田口公平は神経内科で不定愁訴外来を受け持つ講師。

チーム・バチスタというのは、バチスタ手術を行う心臓外科手術チームのこと。

バチスタ手術というのは、正式名称を「左心室縮小形成術」といい、拡張型心筋症に対する
手術のこと。
創始者Ｒ・バチスタ博士の名を取って、バチスタ手術と呼ばれるそうです。
具体的には、肥大した心臓を切り取り小さく作り直す、というもの。
成功率平均６割という、高い技術を要求される難易度の高い手術。

その手術を連続２７回成功させている手術チーム「グロリアス・セブン（栄光の７人）」。
中心となる執刀医は、ミスター・パーフェクトと呼ばれる天才外科医・桐生恭一助教授。
その奇跡のチームが、突然３件連続の手術失敗が起きる。
心臓手術の失敗、すなわち患者の術死。
主人公は、それがたまたま不運が連続しただけなのか、医療事故なのか、それとも悪意による殺人

おもしろいです。

特に、後半になって登場する白鳥圭輔。
名刺の肩書きは「厚生労働省大尽官房秘書課付技官」。
そこは不祥事官僚などが一時的に配属される省庁内部の一時拘留所みたいな部署で、
問題児が放り込まれるところ。

理由が「彼が通ったあとはぺんぺん草も生えない荒れ地になるから」。

一言でいうと天才。
そして天才の例に漏れず、世間の常識も他人の視線もいっさい気にしない、自由奔放な精神の
持ち主。

読んでいて、奥田英朗の「インサ・ザ・プール」に出てきた伊良部を思い出しました。
破壊力とかフリーな生き方が共通している感じ。(^^;

院長に招かれてやってきた白鳥と、その白鳥に振り回される田口医師との２人で調査を進め、
謎を解明していきます。

栄光のチーム・バチスタ内のそれぞれの個性や過去、人間模様などが白鳥の手によって
白日の下に晒されていきます。
その強引なやり方が、読んでいて爽快でした。

次は何が明らかになるんだろうと先が気になって、途中でやめられなくなる本でした。