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Rakugan is Kitten

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2010.03.01

２００５年９月　朝日新聞社より

美女の肉体を借りて七日間だけ『現世』に舞い戻った！
親子の絆、捧げ尽くす無償の愛、人と人との縁など、「死後の世界」を
涙と笑いで描いて、朝日新聞夕刊連載中から大反響を呼んだ感動巨編、
待望の文庫化！
（裏表紙紹介文より）

デパートの現場責任者の椿山は、重要なセール期間中に過労で突然死してしまいます。
気が付くと、あの世と現世の中間地点のような場所にいる。
ここで極楽に行くか地獄に行くかが決まるわけですが、ここがお役所みたいな場所。
生前に悪いことをしていても、講習を受けて反省ボタンを押せば、
みんな極楽へ行くことができるというシステム。
しかし、建てたばかりの住宅のローンや家族、デパートのセールの行方などが
気掛かりな椿山は、あっさり極楽へ行くことを拒んで、現世へ戻ってきます。

そして、正体を明かしてはならない、復讐をしてはならない、期限は必ず守る、
という条件付きで、これを破ると恐ろしいことになると言い渡されます。
既に死んだ身なので、正体がバレないように、生きていた頃とは似ても似つかない
仮の肉体（＝美女の体）を借りて現世に戻ってくるのです。

椿山同様、仮の体で現世に戻った人が他に２人います。
１人はヤクザの武田勇。
もう１人は小学校２年生歳の利発な男の子・根岸勇太。
この３人の現世での心残りを何とかするために奮闘する様子が描かれていきます。

結構うるっとくる箇所が多かったです。
椿山が老いた父親と会うところとか。
この父親が生真面目でまっすぐ、清廉潔白な人。

あとは武田勇がらみ。
武田勇は昔ながらの仁義に篤いヤクザの親分で、生前から私欲を捨てて
親のない子の世話をして更生させるといった事をしていたんです。
若い子分達が、慕っていた親分を亡くして嘆く様なんて、もううるうる。(T_T)

椿山も武田も勇太も、普通に善人で、普通に優しい人物として書かれています。

人の心の美しさを感じたかったら、浅田次郎だなあと思う。
大好きです。(^^)