「ブラフマンの埋葬」小川洋子 | らくがんの休日

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2010.11.09

２００４年４月　講談社より

「ブラフマン」という言葉の響きから、何となく宗教家の話かと思っていたら
全然違いました。
「ブラフマン」というのは犬の名前。
ある朝、主人公の下へと現れた怪我をした子犬。
その犬の世話をする主人公と、いたずらだけど賢そうな犬の関係を
独特な雰囲気で描いています。

主人公は『創作者の家』と呼ばれる家の、住み込みの管理人。
『創作者の家』は、古い木造の農家を改造して作られたもので、

社長の死後、遺言によりあらゆる種類の創作活動に励む芸術家たちに
無償で仕事場を提供するための家（宿泊所）となっています。
主人公はそこで、音楽家・画家・詩人などそこを訪れるあらゆる芸術家達の
世話をするのが仕事。

犬以外は誰の名前も呼ばれることがなく、舞台がどこの国か不明。
文化とか習慣から外国らしいのはわかるけど。
最初はそれに気付かなかったので、世界観がイメージできなくて
話に入りにくかったです。

短い話なので、話に馴染んだ頃にはもう終わり。
タイトルから予想できるエンディングで、あまり楽しくなかったです。
ただそれさえも、感情移入できないまま読み終わったので、

何も残る物がなくて残念でした。
あまり私向けの話じゃなかったんだな・・・・。

同じ作者の本で、映画化された「博士の愛した数式」もあって、
次はそれを読んでみようかと思っていたんですが、やめにします。
映画の方がいいかもしれない。

淡々とした静かな切なさがいいみたい。
そして、私はずっと子犬だと思って読んでいましたが、ブラフマンが何の動物か
明らかになっていない、とのこと。
そう言えば、「犬って水かきがあるんだ？」と私も思ったっけ。
でも子犬と思い込んで読んでしまいましたよ。(^^;