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2012.09.20

共著：ポール・ケンプレコス
訳：土屋　晃
２００４年執筆
２０１０年０８月　新潮社より

スコットランドの孤島で撮影していたテレビ番組出演者とクルーがいっせいに消えた。
そして、古代都市があったとされる海域で発見された謎の酵素をフランスで研究していた
生物学者に続く不審な死。
ＮＵＭＡのオースチンは大量の水がトンネルに流入し、絶体絶命の危機に陥ったアルプスの
観測所救助のため現地に入った。奇跡的にラベル教授らの救助に成功するが・・・・。
シリーズ第５弾。
（上巻裏表紙紹介文より）

鍵はアルプスの氷河に１００年前から眠るパイロットの遺体とその兜にあった。
兜の調査を行っていたソルボンヌ大学の考古学者ラベルは、それが何世紀も続く武器商人一族に
関係していることを突き止めるが、直後に何者かに兜を強奪されてしまう。
謎の生物、酵素、兜・・・・すべてをつなぐ糸とは？
武器商人一族の末裔に会うため、そのシャトーへと向かったオースチンを襲う衝撃の真実！
（下巻裏表紙紹介文より）

『タイタニックを引き揚げろ』に引き続き、カッスラーです。
『タイタニック～』ではあまり伝わらなかったダーク・ピットの魅力を知ろうと

Wikiで見たら、ファン・カブリーヨ・シリーズとかファーゴ・アドベンチャー・シリーズとか
いろいろあるらしい。(^^;

次々と事件が起きて、『タイタニック～』よりスピード感があり面白いです。
そのためか、今のところ私の中の魅力度では、ダーク・ピットよりカート･オースチンに
軍配が上がっています。
ダーク・ピット、頑張らないと。(笑)
ただ著作が多くて、どの本を選んだらいいのか迷いますね。

１００年前に墜落してアルプスの氷河に閉じ込められた謎のパイロット。
その遺品をめぐって、調査していた美人考古学者スカイ･ラベル教授に迫る魔の手。
孤島で怪物に襲われて姿を消したテレビ番組出演者＆クルー達。
仲間が次々と殺され、自分も命を狙われて逃亡生活をする生物学者。

すごくアメリカっぽい印象なのは、タイタニックの時と同じ。
アメリカンジョークに慣れてきたのか、こっちの方がわかりやすいジョークが多いのか、
いろいろ理解しやすく、読みやすいです。
スピード感もあり面白かったです。

以下、ネタバレとなりますので間を開けておきます。

プロローグで挿入されてるいのは２話。

孤島で襲ってきた怪物と生物学者の死は、見た瞬間にバイオハザードだ！と思いました。(笑)
生物兵器つくってたんだろうな、と。
もっとも、上巻の紹介にある『謎の酵素』が出て来たのは下巻。
謎の酵素による藻の突然変異で、世界の海が汚染されるかもしれないという危機が
下巻の中心になってました。

アルプスに墜落したパイロットは、追っ手により撃墜されて氷山の中へ落ちたもの。
現代まで冷凍状態で遺体が残り、それと共に謎を秘めた兜が発見されました。
その調査に呼ばれたスカイ･ラベル博士。
ここでカート･オースチンと出逢い、互いに恋心が芽生えます。

スカイは、兜を取り返しに来たフォシャール家の用心棒により、
調査チームと一緒に氷山の下の調査トンネルに閉じ込められ、
窒息間際でカート・オースチンに救出されるのです。

その後、スカイとオースチンは一緒に冒険をするんですが、時々別行動を取る。
・・・・なんで？
調査チームの責任者が殺されたり、スカイの部屋が荒らされたり、
兜の調査のために兜を預けたスカイの友人が殺されかけたところをオースチンとスカイで
助けたりと、すごく危険な状況に会っているのに、なんで単独行動を取るかな？
そして案の定、誘拐される。
ドラマのお約束ってヤツですか？(笑)

結局、怪物も謎の酵素による藻の大量発生も、武器商人フォシャール家へと集約していきます。
フォシャール家は由緒正しい(？)武器商人の名家で、第一次大戦の発生を促したのも
この一族という噂がある。
冒頭のパイロットはフォシャール家の当主であったジュールでしたが、珍しく正義感があり、
一族を告発するために証拠書類と兜を持って脱出しようとして失敗したのでした。

フォシャール家の現当主はエミール･フォシャール。
傲慢で、さほど大人物ではないようです。
実権を握るのは、母であるラシーヌ・フォシャール。
驚くことにジュールの１歳上の姉。
フォシャール家では不老不死に関する研究を重ねていて、ゆっくり老いていったため
本当は１００歳を超えているんらしい。
このこと、エミールって知らなさそう。
見た目は品の良い老婦人です。

誘拐されたスカイを取り戻しに行ったオースチンと友人＆仲間のザバーラは
フォシャール家のシャトーに乗り込んでいって、マダム・フォシャールと対峙。
すると、遂に完成した不老不死の薬の効果でマダムは若返り、絶世の美女となって
２人の前に現れるのです。

美しく優雅で品の良い、でも残虐な武器商人。
息子エミールの死を知っても、オースチンにむしろ邪魔な存在だったと礼を言うような女性。
カッコ良かったです。
人としてという意味でなく、完璧な悪党役として存在していて物語が引き締まるという意味で。
ザバーラはその美しさにうっとりしているし、オースチンも作戦を心に隠しつつも
貴婦人に対するように丁寧な対応で、なんか見ていて爽快でした。

結局、不老不死の薬は失敗（というより、作らされた生物学者が仕掛けた罠？）で
最後の薬を飲んだマダムは、これまで巻き戻していた時間が一気に襲いかかり
たちまち老いて死んでしまいます。
スカイを取り戻し、３人とも脱出。

怪物の研究をしていた島も暴かれ、最後は藻を撃退する酵素も発見してハッピーエンド。
エンターテイメントとして楽しく読めました。(^^)

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