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2015.06.05
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カテゴリ: 読んだ本
上巻・生き残った者
下巻・還って行く者 2014年09月 角川書店より

強大な帝国・東乎瑠(ツオル)にのまれていく故郷を守るため、
絶望的な戦いを繰り広げた戦士団<独角>。
その頭であったヴァンは奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われていた。
ある夜、一群れの不思議な犬達が岩塩鉱を遅い、謎の病が発生する。
その隙に逃げ出したヴァンは幼子を拾い、ユナと名付け、育てるが------!?
厳しい世界の中で未曾有の危機に立ち向かう、父と子の物語が、いまはじまる------。

(上巻表紙裏 紹介文より)

不思議な犬たちと出会ってから、その身に異変が起きていたヴァン。
何者かに攫われたユナを追うヴァンは、病の背後にいた思いがけない存在と
向き合うことになる。
同じ頃、移住民だけが罹ると噂される病が広がる王幡領では、医術師ホッサルが懸命に、
その治療法を探していた。
ヴァンとホッサル。ふたりの男たちが、愛する人々を守るため、
この地に生きる人々を救うために選んだ道は------!?

(下巻表紙裏 紹介文より)


中世ヨーロッパに似たファンタジー世界を舞台とする話。
東乎瑠(ツオル)帝国は強大な軍事力で周囲の国々を制圧し、領土を広げています。
属国とされたアカファ王国は、東乎瑠の中央政府から派遣された王幡候の管理下に置かれ、
辺境を中心に東乎瑠人の移住者を受け入れている、という社会情勢。

主人公は2人。

東乎瑠軍の侵攻してきた時、辺境のユカタ平原に暮らす火馬の民、沼地の民、山地の民達は
隷属の危機にありました。
その時、山地の民であるガンサ氏族は降伏を前提とした戦いを挑みました。
独角という勇猛な戦士団を持つガンサ氏族は、徹底抗戦により
容易く支配できる氏族ではないこと、味方にすれば使える戦士がいることを思い知らせ、
有利な条件で東乎瑠の兵になると交渉することにしたのです。
独角は普通の暮らしからはぐれてしまった男達で構成される戦士団で、
何かの折には氏族の盾となって死ぬことを誓い、その代わり氏族の掟に縛られずに生きる
ことを許されています。
飛鹿(ピュイカ)という鹿を馬のように乗りこなし、山地を自由に駆け巡って戦う独角は、
思惑通り東乎瑠軍から恐れられ、ガンサ氏族は有利な停戦条件を示される。

狂信的な戦士達を演じ、その役割を十分に果たして全滅。
唯一の生き残りとなったヴァンは東乎瑠軍の捕虜となり、岩塩鉱に連れて行かれ
死ぬまでの重労働を課せられていたのでした。

物語のスタートは、岩塩鉱へ山犬が入り込み人々を襲うところから始まります。
襲われた人々は次々と病で死んでしまいますが、ヴァンも発症したものの

岩塩鉱にいた全ての人々が死に絶えた中、ヴァンは竈の中に隠されて生き残った
2歳くらいの幼い女の子を発見。
その子・ユナを連れて岩塩鉱を逃げ出します。
交易都市を目指していたヴァンは、途中、怪我で動けなくなっていたオキ氏族のトマを
助け、トマの氏族へと身を寄せることになります。

もう1人の主人公はオタワル聖領の貴人として畏怖されているホッサル。
古オタワル王国は医術・土木技術・工芸に優れた豊かな帝国でしたが、
伝染病の流行により、統治していた貴人達が早死にしてしまったため国は衰退。
オタワル王国はアカファ人に王国の統治権を譲って、オタワル聖領へ移り住んだと
いう歴史があります。
ホッサルは貴人の血筋の優秀な医者で、依頼されて岩塩鉱を襲った奇病を調査します。

奇病からなぜか生き残ったヴァンと、奇病から人々を守ろうとする医者ホッサル、
そして奇病の流行にまつわる陰謀をめぐる物語となります。

緻密な設定と構成、しっかりとしたキャラクター達による魅力的な物語でした。


以下、粗筋と感想になります。ネタバレに注意。

























岩塩鉱を襲った山犬(とヴァンは判断している)が、一人また一人と確実に噛みついては
次の人間を襲う様子を見て、ヴァンはまるで訓練された兵士のようだと思う。
まるで病気(黒狼熱)を広めるために噛んでいるよう。

岩塩鉱の事件からしばらく後に、大事件が起きます。
王幡候とアカファ王が出席する御前鷹狩りに、同じ犬達が乱入し、人々を襲ったのです。
噛まれた人々は黒狼熱を発症するのです。
黒狼熱は治療薬がなく、狂犬病に似た致死性が高い伝染病。
ノミやダニ、ネズミなどを媒介して広がることもある恐ろしい疫病です。

懸命に治療するホッサル。
しかし有効な治療薬がない現状では、助けられない人も多い。
そして、東乎瑠人は死に、アカファ人は助かるという現象が現れるのです。
王幡候の長男・迂多瑠(ウタル)も死んでしまう。
黒狼熱は『アカファの呪い』と噂され、王幡候はアカファ王による陰謀を疑い出す。

ヴァンもユナも噛まれて生き残りました。
理由は、辺境民は黒狼熱に対して免疫があるからなのです。
元々、アカファの辺境に生息するダニが病原を持っていて、ダニは赤馬や飛鹿を噛んで
病原が入るのですが、馬も鹿も発症しない。
発症しなかった赤馬や飛鹿の乳を食べて育った辺境民達は、それによって免疫を得ている。

でも、そこまで医学が進んでいるわけではないので、辺境民達には理屈はわからない。
そのため、これは神の意思だと思うのです。
憎い東乎瑠を自分達の土地から追い出せとという、神の意思だと。

仕組んだのは火馬の民。
彼らは火馬という赤毛のすばらしい馬を飼育する放牧民。
しかし、東乎瑠人の移住者達との諍いで、ユカタ平原から追放され
山地の民を頼って生きている。
でも火馬にとって山地は寒すぎて、弱って衰えていく一方なのです。
火馬の民の怒りと絶望は深く、そのために黒狼熱の病原を持った犬達を操っているのです。

犬を操ることができるのは、特殊な能力を持った人のみ。
黒狼熱を病んだ犬に噛まれて生き残った人が、その能力を得ることがあるようです。
ヴァンもその能力を得てしまう。
そのために、火馬の民の若い族長・オーファンに自分達に荷担するよう要求されます。

でもヴァンは、それが東乎瑠人であっても、病で死なせるのは間違っていると思う。
ヴァンが共に暮らすオキ氏族は東乎瑠の移住者。
国の政策のために慣れない土地での貧しい暮らしで苦労している。
元々はトナカイを放牧して生計を立てる種族ですが、政府がトナカイから飛鹿へと
飼育対象を変えれば減税すると言われ、飛鹿を飼い始めたばかり。
でも、トナカイと飛鹿では性質がまったく違い、飛鹿を飼い慣らすことができず
このままでは次の年を生きて越せないかもしれないくらいに追い詰められている。
また、自由を好む飛鹿たちも不慣れなオキ氏族によって、つながれて暮らしている。
ヴァンは飛鹿・オキ氏族両方の苦しみを見過ごすことができず、トマ達を助けて
飛鹿の育て方を教えるのです。
やがて互いに心が通うようになり、オキ氏族達を自分の家族だと思えるくらいに
親密になっていくのです。

オーファンとヴァンが会った時、オーファンはヴァンに火馬を見せてくれる。
伝染病で多くの人々を殺そうと企てている火馬の民ですが、火馬と共にいる時の
無邪気な少年のような振る舞いや表情。
ヴァンが飛鹿に向ける想いと、彼らが火馬を愛する想いは同じものとヴァンにもわかるので
彼らの悲しみはヴァンにも理解できる。

このあたりを読んでいて哀しかったです。
政府の命令で故郷を離れて移住させられた東乎瑠民達もつらい思いをしている。
その移住民達に追われて先祖伝来の土地を奪われた火馬の民の悲しみもわかる。
黒狼熱は伝播の途中で変質したり、アカファ人達の食生活が変わったりが理由で
東乎瑠人・アカファ人を選ばない死病となっていく。
その犠牲となる人々。
誰が悪いんだろう、誰もが犠牲者と思うと切なかったです。

誰が悪いと言えば、王幡候の長男・迂多瑠かな?
火馬の民をユカタ平原から追放するのを決めたのは迂多瑠なのです。
次男・与多瑠は厳しすぎると反対。
辺境の支配はこれからずっと長く続いていくものだから、力ずくで押さえつけるだけでは
うまくいかないと与多瑠は考えていたので。
でも傲慢な迂多瑠はせせら笑って聞かなかったんです。

オーファン達は、東乎瑠の中央から視察に来ていた王阿候を襲う計画を立てる。
その計画はアカファ王も知っていて容認していたんですが、アカファ人も黒狼熱に罹ると
知り、途中でオーファン達を裏切るのです。
見捨てられたことを知った火馬の民達は、計画を変更し、アカファ王の網(諜報活動を
行う種族。戦闘の実行部隊でもある)を襲わせる。
その中には、ヴァンと行動を共にしたサエもいる。
ヴァンは自分の飛鹿・暁(オラハ)に乗り、犬達を導いて深い森へと消えていく・・・という
最後です。

タイトルである「鹿の王」。
飛鹿の群れには群れを率いる「鹿の長」の他に、「鹿の王」と呼ばれる個体がいる。
鹿の王はかつて頑健であったが、今は盛りが過ぎた牡鹿で、群れが危機に陥った時に
命をかけて群れを逃がす役割を果たすのだそう。
ガンサ氏族では、そういう役割を果たす人を敬意を込めて「鹿の王」と呼ぶ。

それはガンサ氏族にとっての独角がそうだったし、アカファと東乎瑠の両方を救って
森へ消えていくヴァンの姿そのものでもある。

鹿の王について、ヴァンの父親が語った言葉があるのです。
敵の前にただ一頭飛び出して踊ってみせるような鹿は、それが出来る心と体を天から
 授かってしまった鹿なのだろう。
 才というのは残酷なものだ。ときに、死地にその者を押し出す。そんな才を持って
 生まれなければ、己の命を全うできただろうに、なんと、哀しい奴じゃないか。

 助けられた者が、そいつに感謝するのは当たり前だが、そういうやつを、群れをたすける
 王だのなんだのと持ち上げる気持ちの裏にあるものが、おれは大嫌いなのだ

そして、そんな才を持たない者は、必死に逃げて命をつなぎ、子を産み増やすのが努めだ、
と大人になった儀式を終えたばかりの若いヴァン達に言ったのだそう。

そんな才能を得てしまったが故の哀しみ。
サエが「弓が下手だったらよかった」と嘆いたのにも通じます。
犠牲をもてはやすのではなく、生きることを第一に考えよという教えです。
ヴァンのお父さんは深くものを考える人だったのだなと思います。


救いはあります。
森へ消えていったヴァンを、トマ達とサエ、ユナが追っていくこと。
きっとヴァンに追いつき、裏返って獣になっていってしまうヴァンの魂をつなぎ止め、
森の奥深くで家族として暮らしていくかもしれない。
ツピとオラハが番い、飛鹿達も増えていくかもしれない。
トマ達の行き来により他の人達の出入りも始まれば、家族は小さな氏族へ発展し、
ピュイカの乳から作った乳製品で黒狼熱に対して免疫を持ち、犬達とも共存していける
氏族として増えていくかもしれない。

火馬の民達も救われるかもしれません。
与多瑠が今度の事件を機に、残された火馬の民達が、謀反を企てるより、この国で
なんとか生きていける方がいいと思えるような処置が必要だと考えているのです。
辺境にある国境を守るためにも、火馬や飛鹿が必要なことは理解しているはず。
もしかしたら、彼らをユカタ平原に戻してくれるかもしれない。
火馬達も元の平原で、たくましく美しくりっぱに育っていけるようになるかもしれない。
やがては、火馬の民達も東乎瑠の移住者達とわかり合い、やがては血が混ざり、
新しい民族として強くその地に根付いていくかもしれない、と願わずにはいられません。





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Last updated  2015.06.05 12:52:58
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