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2016.10.11

２０１１年０２月　角川書店より
２０１４年０１月　文庫化

県下有数の高級結婚式場では、４組の結婚式が行われることになっていた。
だが、プランナーの多香子は、クレーマー新婦の式がつつがなく進むか気が気ではない。
白須家の控え室からは大切な物がなくなり、朝から式場をうろつくあやしい男が一人。
美人双子姉妹はそれぞれ、何やらたくらみを秘めているようで------。
思惑を旨に、華燭の典に臨む彼等の未来は？
エンタメ市場最強の結婚式小説。
（裏表紙紹介文より）

高級結婚式場で結婚式を挙げる４組のカップルの話を、オムニバス形式で描く話。
主人公となるのは、わがままで高飛車なクレーマー新婦の担当である
ウェディング・プランナー多香子。
母の妹・りえちゃんの結婚式に出席する７歳の男の子・白須真空。
美人双子姉妹の姉・加賀山鞠香と妹・妃美佳。
夜の時間帯に結婚式を挙げる予定の鈴木陸雄。

私、この作家さんと相性悪いみたい。
２冊目ですけど、２冊とも今ひとつなんですよね。
残念・・・・。

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本日は大安なり [ 辻村深月 ]
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以下、粗筋と感想になります。ネタバレに注意。

問題を含んだ結婚式だけに、登場人物の多くが感じが悪くて驚きます。

多香子は、結婚式直前まで準備が進んでいたのに、相手の男の心変わりで
結婚が中止となった過去があります。
相手の女性に「空気読んでください。彼を自由にしてあげて」と迫られ、
彼には「あいつは俺でないとダメなんだ。死ぬとまで言っている」と告げられて
そう言って本当に死ぬ人はいないと答えたために、冷たい女だと言われ
結局別れてしまいました。
半年後、彼はその女に捨てられ、復縁を申し込んできましたが、断って現在も独身。

多香子のことは覚えておらず、わがままで高飛車で文句ばかり。
多香子はプロに徹して頑張って対応していますが、「客だから」という横柄な態度が
感じ悪いです。

真空の家は、父が婿養子で入っており、祖母・両親・りえちゃんと同居中。
りえちゃんと真空は仲良しで、幼い頃には大きくなったらりえちゃんをお嫁さんに

りえちゃんが連れてきた結婚相手の東(あずま)は、バイト生活のフリーターで
口下手な、見た目ももっさりした人。
母と祖母は悪口をずっと言い続けているので、りえちゃんは泣くし、
真空も良い印象を持てないでいます。
ある日、りえちゃんの職場に行った時に、東が職場の女性と楽しそうに
話しているのを見ます。
話の内容が「りんごに仕込んで」「りえは白雪姫になる」などで、真空に気付いた
東が口止めしたことで、真空は東の浮気＆２人によるりえちゃんの毒殺を疑い、
でもどうすることもできず、結婚式でも気が晴れずにいます。
母と祖母、子供の前でそういう悪口言ってちゃダメだろ。

双子美人姉妹は屈折した性格。
まだ子供の頃に、何を思ったのか親が鞠香を『お姉ちゃん』と呼び始め、何かあると
「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」とか「お姉ちゃんはしっかりしているもの」的な
発言を普通にしています。
年の差があってもタブーな発言と思いますが、これを双子に対してやる親が
まず普通じゃなくて気持ち悪い。
そのせいで、屈折した姉妹達。
一卵性双生児なので外見はそっくりなのに、妹・妃美佳は自分は姉には敵わない、
地味でブスで恋愛はもちろん無理だし、一生処女のままと悲しくも異常に強く
思い込んでいます。
姉・鞠香は妹が好きで好きで、独占欲と支配欲の塊みたいになっています。
どちらも異常な執着と思い込みがすごくて、気持ち悪いです。
妃美佳が結婚相手に望む条件に「姉ではなく私を大事に思ってくれる人」というのが
あります。
婚約後、鞠香の「映一（妃美佳の結婚相手）ったら、私の事、妃美佳と間違えたのよ」
の一言にショックを受け、結婚式当日の花嫁の入れ替わりを鞠香に頼みます。
映一が気付かなかったら結婚しない、とまで心に決めて。
この子達、ちょっと頭おかしいと思う。

鈴木陸雄は男としても人としても、まあ最低なヤツです。
若い頃から、好きでもなんでもない相手でも、美人だったり人気があったりすると
狩猟本能がそわそわして落とさずにはいられない、という性格。
なまじ顔がよくて狩猟できてしまうため、反省もしません。
運命の女、と感じる相手に出会って結婚したのに、その性格は直らず。
浮気相手のあすかにつきあって、趣向の変わったデート気分で結婚式場を回っている内に
式場の予約がされてしまい、あすかの両親にも紹介されてしまい、まだ引き返せると
思っている内に結婚式当日を迎えてしまいます。
結婚式にかかる費用は500万円以上。
結婚式をキャンセルさせるために、結婚式場への放火を画策して時間より早く
式場にやってきました。
夏休み明けに、学校燃えちゃえばいいのに、を実行してしまう小学生並みの馬鹿です。

そして、結婚式場では本当に火災が発生します（陸雄の放火ではない）。
これによっていろいろ変化が生じます。

多香子は責められると思っていた新婦から、火災発生直前にハンカチのプレゼントと
熱心に助言してくれたことへの感謝の言葉をもらっていました。
火災発生後も、激怒する新郎の横で「火災発生時に、新郎が真っ先に私の手を
ひいてくれた。私の旦那様、いいでしょ？」と笑ってみせたので
新郎の怒りも収まった、というめでたし系。

真空は、東がりえを毒殺しようとしているのではなく、サプライズプレゼントで
指輪を渡そうとしている、と知り合った東の友人から教えられます。
火災発生時には、もっさりとしていると思った東が大声で「非難してください！」と
叫び、実はしっかりした人なんだと知る。
そして真空と東は友人になり、真空は母の悪口を批判するという成長ぶり。

妃美佳と鞠香は、入り替わりに気付いていないと思った映一が、
実は最初から気付いていて、２人の茶番に付き合っていたことを知ります。
鞠香は、自分が妃美佳の一番の理解者だと思っていたのに
「妃美佳は僕がもらいます、お義姉さん」と言われ、ショックを受けつつも
現実を受け入れる。
と思いきや、後日の食事会の時に、性懲りもなく入れ替わりを画策する双子。
変な人達です。

陸雄は浮気のことも、今日も結婚式のことも、隠し通せていたと思っていた妻に
全部バレていたことを、妻の依頼で放火を止めにきた男に知らされます。
この男、実は真空に「東はいいやつだ」と教えてくれた東の知人。
そして、妻が妊娠していると聞かされて、号泣しながら電話で妻に許しを請い、
あすかに「俺は結婚している。だから結婚できない」と告白。
後日、妻と子と結婚式の写真を撮ったり、披露宴代わりの食事会をすることになる。
なんか、このエンディングはちょっとシラけました。
こういう性質って、そんな簡単に矯正されるものでもないと思うんだけど。
「子供ができた」の一言で、そんな都合よくハッピーエンドにされてもねー。

最後はムリヤリの大団円。
うーん、なんかイマイチな展開だった気がします。
多香子の結末もなんとなく読めたし、映一は入れ替わりに気付いているんだろうなと
いうのは最初から察せられたし。
人間にあまり魅力が感じられないので面白さに欠け、ちょっと残念でした。

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