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2016年07月18日
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カテゴリ: 日々の仕事雑感
 昨日、神奈川オルタナティブ協議会主催の「高齢者医療と介護の今後を考える3ー精神薬の使用<ゼロ>を目指す特養から学ぼう!-」という学習会に参加した。午後1時から5時までの4時間は、衝撃の4時間だった。

 これまでも、ずっとずっと「こんな看護師でいいのか」という自問を繰り返してきた私はいつもいつも現場で出会う患者さんの姿を目の当たりにして、自分の力不足を自覚してとにもかくにもその都度その都度学んできた。

 「認知症」に対しても自分の力は全く足りない。たとえ暴言、暴力を受けたとしても、その方を尊重してケアをするためには自分がどのように変わればよいのか。挨拶をするところからどのような接し方をすればよいのか、私の存在を認めていただけないときにはどう対応してその方が私を認識してくれるまで待つかなどなど、自分自身を変えなければならないことは山ほど。

 つい最近NHKスペシャルで「介護殺人」について取り上げられていた。たまたま私が看護師としてかかわってきたご家族からはまだそのようなことは起こらないでいるけれど、それは全くの偶然に過ぎない。超高齢者社会になり、高齢者の二人に一人は認知症との報道もある。

 医療の現場では、高齢で入院される方が多く、自宅から病院という生活環境の変化もあり認知症症状が顕在化したり、一時的に精神症状が認められることもある。残念ながら、医療現場では一人一人の患者さんにじっくり対応する余裕がない。そこで、夜間の「不穏」を避けるために向精神薬で一時的に鎮静せざることもしばしば。そうしなければ夜間に40人、50人の患者さんを看護師が二人ないし三人で看なければならない夜勤業務はできない。

 つまり、看護体制を理由としてやむなく鎮静を図らなければならない。向精神薬を使うことに対して医師も看護師もそのことが患者さんの身体能力を低下することを十分承知していてもさえ、そうしなければ医療を継続できないという現状があるのだ。肺炎の治療をするための抗生剤の点滴のために、四肢を抑制したり非人間的なことをせざるを得ない。点滴をしない代わりに抗生剤の内服をして自宅で治療をするという選択もあるが、誤嚥性肺炎を繰り返して抗生剤の内服治療を繰り返せば今度は耐性菌が発生してしまうということも起こる。

 医療の現場は矛盾に満ちている。しかし医療に携わっている限り、その矛盾に抗しながら少しでもベターの方法を模索しながら医療を行わなければ患者さんを救うこともできない。その苦しさに耐えながら現場で働いている医師や看護師も多いと思う。

 在宅で介護(看護)をされているご家族にとって、ご自分の大切な肉親であっても夜間に眠らずに独り言を大声で繰り返したり、トイレの場所が分からなくなって居間で排泄したり、失禁を繰り返したりすることが続けば、「何とかしてほしい」と医師に訴える。やむなくご家族の介護負担を減らすために、比較的副作用が少ないと言われている入眠導入剤や向精神薬を処方する。高齢の方は腎臓の機能が異常値でなくても成人期に比べれば低下しているので、副作用が予想以上に出現して意欲低下や嚥下障害などが起こることもある。

 だからと言って、向精神薬を使わない病院は先ほどの記述のように医療機関はその対応ができないし、精神薬を使わない特養も数少ないうえに、そもそも特養施設にすぐ入居できない。



 残念ながら、在宅でも入院施設や入所施設でも向精神薬は使われている。酷い例では、精神科と心療内科を受診して何種類もの向精神薬を服用してすべての薬を中止したら、一年ほど時間はかかったが食事ができるようになった、この方は私共のステーションを利用されている方なのだが。


 自分は昨日の4時間で知った事実に深い衝撃を受けた。一つには、認知症の周辺症状にたいして、看護師として一人一人の患者さんの個別性に応じた対応ができないこと。それゆえ、その方を看ていらっしゃるご家族の相談に的確にこたえられないこと。二つ目は、様々な事情を抱えて在宅で介護をされているご家族の困難は分かっていても、一時的に非難してその方が向精神薬を使わないで症状を安定して再び自宅に戻るようなことができる施設がほとんどないということ。

 そして、精神科医でも心療内科の医師でも、向精神薬について使用を最小限にするというスタンスがないということ。

 薬に依存しないためには、患者自身が食事、睡眠、休養、生活環境の整備などセルフケアが不可欠。即時的に医療では対応しきれないことが山ほど。何もかもをいっぺんに変えていくことが難しいことは承知しているけれども、でもどこから手を付けていけばよいのか。

 昨日、学習会が終わってからおいしいものを食べたりして見たけれど、私のため息は止まらない。 





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最終更新日  2016年07月18日 10時23分07秒
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