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雪風ジョルノ

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2005/02/15
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伊藤仁斎、東涯親子を祖とする伊藤家累代の著作群、古義堂文庫。
(古義堂とは、仁斎が京都堀川で開いた私塾古義堂のことです。)


昭和16年(1941年)12月8日、奇しくも日米開戦のこの日、その古義堂文庫が動きました。


江戸時代から約300年にわたり蓄積された一大蔵書群の大移動。

行く先は、奈良天理教の天理図書館です。

内容の評価から売り手探しまで。その大役を果たしたのは弘文荘、反町茂雄氏。

価格が高額にもかかわらず、依頼通りの一括購入を決心したのは天理教第二代真柱、中山正善氏。
(真柱とは一般に言う教祖のコト)


反町茂雄と中山正善。

「定本天理図書館の善本稀書」(反町茂雄/八木書店:古書価\2,000くらい)
に詳しいのでソチラをどうぞ。(^^
古義堂文庫の大移動についても一章を費やして述べられています。
(良書ですので、日を改めて本HPで紹介します)


さて、天理に古義堂がやって来ました。

待ち構えていたのは天理図書館司書、中村幸彦氏。

氏は膨大な古義堂文庫の調査に取り掛かります。


ここで古義堂文庫の概要を説明すると、

★古義堂は、孔子・孟子の教えを実践、彼らの上を行かんとする(これを祖述という。)学派である。
☆開祖仁斎の有名な著作に、「童子問」、「孔孟字義」、「論語古義」等があるが、
 実際に書として完成させたのは、その子・東涯である。

☆素晴らしいことに!下書き(書き損じ含む)の類まで捨てずに保存してある!(□ ̄ マジカヨ!!

大体こんな感じでしょうか。(筆者は専門家ではないので受け売りです。。。(_^;)


そこで、中村氏の実施した調査は、
・どんな書物(著作)があるのか?
・誰が記したのか?


殊に著者の特定。

書によっては、複数人の書き込みがあります。
本文を訂正するにも、原文を残して横に書き込むというスタイルを取っていたそうです。
気に入らないから塗り潰すとか、そんな事はしません(笑)。
が、それ故に!複数の書き入れが存在します。
但し、誰が書いたとか、そんな親切なコトは併記されておらず。

それはもう、後世の人間が筆跡で判断するしかないのです。

300年分ですよ?

誰が出来るのか?

それが中村幸彦氏であり、その結実の書が古義堂文庫目録。

本書刊行は昭和31年ですから、15年掛かっています。

ハッキリ言って、魂の著作です。

江戸時代から300年の歴史が一冊に凝縮されている。

歴代の蔵書を完全に保存してきた伊藤家。
時代の情勢か、それらを手放さなければならなかった古義堂文庫。
分散することなく一括で天理に移り、それらが目録として広く世間が見聞出来る形になった。

本当に凄いですね。

書物を大切にするという伝統は、日本の誇りだと思います。


→次回は「購入の記」です♪





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最終更新日  2005/02/16 12:44:49 PM
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