ユウ君パパのJAZZ三昧日記

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syoukopapa

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2006.12.01
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カテゴリ: 私の小説集
  僕はいまから書くことが本当に起こったのかどうか、実ははっきりしない。そう、彼女、アンジェリーナとの不思議な出会いが現実にあったのかどうなのか。しかし、僕にとってはそんなことはどちらでもよかった。なぜなら、僕には彼女と過ごした時間はとても素敵なものであったからだ。他の誰かが、僕とアンジェリーナの物語を否定したとしても、僕はなんとも思わない。

  僕はその日かなり落ち込んでいた。僕がかなり長期にわたって研究してきたことを発表したのだが、かなり手厳しく批判された。批判だけならまだしも、僕のリーダは勝手に全く新しいテーマをやることを決めてしまった。自分でも今のところあまり研究成果が出ていないなとは思っていたが、まさか完全にシャットアウトとは自分自身の存在を否定されたかのように思えた。

  もう冬も本番直前で、最後の紅葉が輝いていたはずだ。「はずだ」としか言えないのは、その時僕は周りを見回す余裕など全くなかったからだ。ただ下をうつむくばかりで、いつもの電車に乗り込んだ。普段は気にならない乗客たちの態度もその日の僕には妙にとげとげしく思えた。たまらなくなった僕は自分の降りる駅の大部手前で下車した。どこに行くというアテがあったわけではない。ただ自分の思いついた方向に歩き出した。かなり歩いたと思う。夜気を帯びた風の冷たさに僕はコートの襟を立てる。公園についた。緑の多い、でもかなりさみしい公園だった。すると少女が(後ろ姿しか見えなかったので雰囲気だけから判断しただけだが)何かをその公園のゴミ箱に
入れるのを見た。少女はその何かをゴミ箱に入れると、逃げるように走り去った。リスが何かに追い駆けられているかのように。

  ゴミ箱に捨てたものなど普段は全く興味の対象ではないが、彼女のしぐさが随分変だったのでゴミ箱に近付いてみた。ゴミ箱には白い靴箱が一つあるのみだった。明らかに彼女が捨てたのはこの箱だった。僕はこの箱を開けてみる。ピンクのバレーシューズ。真っ赤なかわいらしいバラのワンポイントがキュートだ。かなり練習で履きこなしている。ピカピカとはいかないけれど、大事に使っていたことはなんとなく分かった。僕は彼女がナゼこのバレーシューズを捨てたのか、想像してみた。親か誰かに言われて、バレーを辞めることにしたから?でも、何でこんな人気(ヒトケ)のない、夜の公園に捨てに来たのか?しかも、何からか逃げるように。

  僕はそのことがとても気にかかって、なんと驚いたことにそのピンクのバレーシューズを部屋に持って帰った。このバレーシューズが僕とアンジェリーナの物語の幕を開けることになった。





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最終更新日  2006.12.25 10:46:27


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