ユウ君パパのJAZZ三昧日記

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syoukopapa

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2006.12.04
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カテゴリ: 私の小説集
  「僕は君がもう一度バレーが出来ることを信じている。」


  ちょっと涙ぐんだアンジェリーナ。きらきら光る涙が頬を伝う。そのけなげで、かわいらしい気持ち。思わず僕は自分を振り返る。自分自身がやっていることに対して、純真で真直な気持ちを持てなくなってしまった。なにか大事なものを失ったのだ。このように自分を素直に見つめることを拒否することがいつの間にか身に付いた習慣。アンジェリーナの清列な表情、しぐさ、言葉。僕にとても大切なものを確かに思い出させてくれた。

  「ひとつお願いがあるんだけど。いいかな?」
  「ええ。」

  少しずつ落ち着きを取り戻すアンジェリーナ。その紅潮した表情もとてもキュートで魅力的。

  「僕の前でこのバレーシューズを履いて、踊ってもらいたいんだ。」
  「是非そうしたいいんですけど・・・。」

  また不安で揺らめく彼女。


  「いや、僕は今日みたいに君のことをここで待っている。勝手にね。勝手にと言ったら、ちょっと無責任すぎるね。ごめん。僕は君が僕の目の前で美しく踊るのを信じて、ここで待っている。焦らなくてもいいんだ。君が自信を持って踊れるようになるまで。」
  「本当に待っていてくれるんですか?」

  アンジェリーナの驚いた表情。いや、それだけではないようだ。きらめきも取り戻しているようだ。自信めいたものが彼女の中に徐々に広がる。「本当だよ。なにせ、今までこのバレーシューズを抱えてあの公園のベンチに座り込んでいたんだ。今日こうして君に会うこともできた。ルンルンした気持ちで、君のバレーダンスを待っているさ。ルンルンなんて言ってしまうのは、僕には似合わないけど。」
  「そこまで信じて下さって、本当に嬉しいです。何かわからないけど、私はっきりともう一度踊れるんだという自信が湧いてきました。」
  「そうさ、絶対大丈夫だよ。また、踊れるさ。」

  こうしてまた、僕は公園に来て彼女、アンジェリーナを待ち続ける。冬の寒さは容赦なく厳しさを増す。それでも、僕はとても優しい気持ちになる。アンジェリーナが僕の目の前で美しい踊りを見せてくれることを信じているからだ。





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最終更新日  2006.12.25 12:16:33


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