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色は、明るい、美しい、ほんのり紫っぽいガーネット。 アロマは、赤色果実(チェリー、フランボワーズ)、バックにバターっぽい感じの樽とココアなど。 ブーケは、ケモノ系、コクが出る。ミントのようなハーブ。時間が経つと、ひそやかに薔薇の香りも。 風味は、フランボワーズにミルキーな皮膜。フィニッシュにまろやかな酸味、ロースト。 穏やかな酸味で、そのなかに青み(ジク)のニュアンス。 一時間ほどで開いてくる。甘み、ピュアな酸味と果実味。 二時間して、ブーケに黒胡椒。風味は、ピュアな赤色果実味、バックにチョコとスパイス。 ビンの中程にさしかかると、澄んだブラック・カラントとミルク・チョコ。ちょっとボルドーチック。ただ、ボルドーチックといっても、トロ・ボーのあの感じとは違う。こっちのグリヴォーは澄みきった感じがとてもブルゴーニュ。 広域名ではあっても、(2002年という例外的なヴィンテージであることから感じられる)チョコやココア、スパイスの香りや風味にちょっぴりヴォーヌ・ロマネの雰囲気、かな? とりたてて突出した個性があるというタイプのワインではない。が、しっとり静かでやさしい、とても良いワイン。 鏡のように静まりかえった水面に、指を・・・触れあった瞬間にひろがっていく波紋。その静謐と繊細、波紋の美しさと完璧性、そんな美質をたたえたワイン。 機会があれば、村名以上も試してみたい。(2007/1/24) 〈マダマのコメント〉 とりたててどうというところはないけど、しっとり落ち着いた、雰囲気の良いワイン。トロ・ボー
2007/01/24
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久しぶりに飲む、シャトー・カルボニュー ブラン。 初めて飲んだのは、2003年の1月、’99年もの。それはとても印象的で、鮮烈なデヴューだった。 シャトー・カルボニュー ブラン 1999 飲んだ日 2003/1/2 初めて飲む、ボルドー辛口白の格付けワイン。 風味は、ソーヴィニヨン・ブランが支配的。 強烈なほど鮮明なイメージを喚起するワイン。 皎々と冴えわたる月光。硬く、背筋がぞっとするほど澄みきったその青白い月光が降り注ぐ森の幻想的な情景。 マダマは、シャガールか「白鳥の湖」。 どっちにしろ、これほど鮮烈なイメージを喚起するワインというのも初めてだった。 風味以外に楽しめるという意味で、ワインのエンターテイメント性をまたしても確認した。香りや味はもちろん、こういうワインが飲みたいんだよね・・・という典型的な僕好みのワイン。 次に飲んだのは、’04年5月。’96年もの。 シャトー・カルボニュー ブラン 1996 飲んだ日 2004/5/31 やや赤みがかった黄金色。 ハチミツ、干し草、パンなどの甘い匂い。 風味は、グレープ・フルーツ、ライム、ナッツ、パンなどが混ざった複雑な味。 もの静かで控えめでやわらかいワイン。セミヨンが支配的。’99のような驚きや感動はないが、’99よりいい。落ち着いてくつろげ、楽しめる。熟成のピークで安定している。ただ、やわらかいとは言っても、ソーヴィニヨン・ブランがほとんどのスミス・オー・ラフィット’99のようなやわらかさではなく、やわらかいなかにも、飽くまでもしゃんとしたところがある。 さて、今回のカルボニュー・ブランの2001年。購入は、’04/5/28。当時の価格で2780円(ちなみに楽天で検索してみると、今では4000円前後するらしい)。冷蔵庫のストック・ルームで貯蔵約二年七ヶ月。ヒュー・ジョンソンの『ポケット・ワイン・ブック』によると今年飲み頃に入る。ほんのり薄青みがかった透明のビンから見える色も、緑っぽさもとれて飲み頃そうな色に。はたしてうまく熟成しているのか? という興味もある。 色は、淡く、やわらかい、おちついた黄金色。てりがあまりないので、黄金色というより淡い麦わら色。 アロマは、熟れた柑橘類、爽やかさの中にほんのりと乳酸とハチミツのニュアンス。そして、枯れ草にかぎわけられるような甘い匂いがとけ込んでいる。そんなアロマを楽しんでいると、ごく自然に、おぼろ月のやわらかい光が降り注いでいる夜の景色が思い浮かんでくる。 以前もそうだったが、カルボニューはどこか月の光に結びつく。若かった’99は、硬い、背筋がぞくぞくするほど皎々と冴えわたった月の光。その月の光に洗われ研ぎだされた針葉樹の森、浮かび上がる下草、その若くみずみずしい下草の匂い、その夜の空気の中には堅固に物質化した天使がふわふわと漂っている・・・・そんな神秘的な光景が浮かんだものだった。 今回の’01は熟成している分、ソーヴィニヨン・ブランのみずみずしさもなく、月光もやわらいでいる。 なだらかな丘陵のような山並み。その山は枯れた芝生に覆われ(若草山のような)、そこにやわらかい月の光が降り注いでいる・・・。 グラスを揺すると、まず立ちのぼっくるケモノ系の臭い匂い。それが薄くなると、何ともいえない甘い香り。それはフルーツというよりは野菜のような匂いの中に、枯れ草や藁の甘みなどをとかしたような複雑な香りだ。 あまい、あたたかい、アロマどおりのやわらかいアタック。寒天のような質感・硬さを思わせるつるつるした舌触り。むろん硬いといっても開いていない硬さではない。熟成でやわらかくなったとはいえもともとこのワインが備えていた密度による張りのようなものだ。酸味はほとんどない。フィニッシュは、ソーヴィニヨン・ブランの植物系の爽やかさ。 それにしても、熟成で穏やかに、やわらかくなっているが、口の中でいつまで転がしていても薄まらない、しっかりとまとまった風味。その心地よさにふわりふわりと次第にこころも解きほぐれてほっとなっている。 シャルドネと違って、重くなく、また、骨格とかいって肩肘を張っていないところがほんとにいい(シャルドネはシャルドネでそういうところがいいわけだけど)。 何度も転がしているとおぼろ月夜はだんだん明るくなり、あの雰囲気。安田靫彦の『飛鳥の春の額田王』のあのぼんやりとおぼろな春の空気。 時間が経つと、香りも風味もまるでトロピカル・フルーツ。フィニッシュに、ナッツも。トロピカルな雰囲気かと思えば、でも、澄んだ、早春のひんやりとした空気。 それにしても、カルボニュー・ブランは、僕にとってボルドー・ブランの典型。スタンダード。ボルドーの辛口白そのもの。気負いがなく、フィネスやエレガンスをさらりと身につけていて、しかも、詩的な部分をしっかり備えている。しみじみとボルドーの良さを満喫させてくれる。価格も・・・・それほど高くない(ことを祈る)。(一方、ブルゴーニュ・ブランのスタンダードは・・・というより、シャルドネの原点O(オー)であり、ブルゴーニュ・ブランの((そしてシャルドネの))輝ける星、ではなく、輝ける臍、それは、ルフレーヴのブルゴーニュ・ブラン。しかし、こっちも今や価格が・・・。価格的にも原点Oであって欲しいのだが)(2007/1/16)
2007/01/16
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たぶん、僕が一生のうちで最も多く食べているだろう、食べ続けるだろう和菓子。 俵屋吉富さん 「雲龍」(うんりゅう)一 包み紙はこんな感じ(うちで一度開けてまた包みなおしたので包み方がちょっとぎこちない・・)。 包み紙をとくと・・二さらに・・・三 箱の龍の絵は、名前の由来になった京都・相国寺の狩野洞春筆の「雲龍図」の龍。この絵に魅せられた七代目留治郎さんが「雲龍」を創りあげ、創作棹物として一世を風靡、「雲龍の俵屋」と言われるようになったと、添付の「俵屋吉富の由来」にある(ニの右上のウラ) そのふたを開けると・・四 切ってお皿に・・五 丹波大納言を練り上げた小倉餡と村雨餡(紫色のそぼろ餡)を重ねて巻物に。この二種類の餡の断面の模様を「雲龍」に見立ててある。 言ってみれば、あんこの塊。 というと甘ったるいと思うかもしれないけど、甘みはあっさり、甘すぎることはなく、餡もえぐみなどは一切なく、丹波大納言という最上の小豆の風味の上澄みだけを濾しとったように澄んだ味わい。しっとりした口当たり、二種類の餡のバランスは絶妙。 まったく、食べ飽きない。(ここ十年ほどの間に400本は食べてると思うけど・・f(^ー^;) この「雲龍」の他にも、 稀少な白小豆を使った「白雲龍」、村雨餡に沖縄の黒砂糖を混ぜた「黒糖 雲龍」、丹波栗を村雨餡で巻いた「龍翔」、(今はないかも)白小豆の村雨餡と小倉餡の「龍鳳」などがある。 白小豆は稀少だけど小豆のコクがなくてやや物足りなく、黒糖は僕には少しくどい感じ。 丹波栗を使ったものなら秋季限定販売の「栗羊羹」が絶品、「龍鳳」は白小豆と小豆色が見た目美しいが白小豆が、やや物足りない。 やっぱり定番の「雲龍」が一番。 また、他店類似のもの(たとえば、鶴屋吉信さんの「京観世」)に比べきっぱりと水を空けている感じ(鶴屋吉信さんは細工物と柚餅がいい)。 さて・・・美味しいお菓子のあとは・・・美味しい抹茶・・・(次回に続く) 一棹 \1260-
2007/01/11
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イタリアのワインってラベルが結構個性的。このキャンティ・ルフィーナも。マダマ曰く、「ボムキング」だそうな。うーん、たしかに・・・いわれてみれば・・・。ラベル買い、といきたいところだけど、キャンティということでちょっと躊躇。イタリアはボルドーやブルゴーニュ以上に不案内なので下調べ。フレスコバルディは、モンタヴィとコラボしてルーチェを出しているイタリアの伝統ある生産者。キャンティ・ルフィーナのリーダー的存在でありトップ生産者。さらに、この「モンテソーディ」はニッポザーノという畑の良作年だけのスペシャルキュベ。これだけならかなり期待できる。ただ・・・ね、キャンティってところが・・・。キャンティっていえば藁ずとに包まれたツボ型のビンがトレードマークのやけに酸っぱい、薄っぺらい、お食事用ワイン、っていうイメージ。確かに、以前飲んだリエチーネのキャンティ・クラッシッコはそういうタイプのキャンティとは一線を画していたけど、なんかボルドーチックで、キャンティの良さのようなものが感じられない。個性を出そうとすれば、酸っぱい、薄っぺらいワイン、逆にそこを脱出したとおもったらボルドー・フェイク、キャンティってそんなワインなの? でも、まあ、ものは試し・・・。やっぱり、ラベルがいいから。 色は思ったより暗い、というより、黒いルビーで、全体にレンガ。キャンティというと結構明るい色を想像していたのでこれは意外。かなり熟成している。若のみのイメージが強いキャンティ。少し不安になる。ただ、透きとおっていて、照りもある。 アロマは、熟れた赤色果実、その果肉を断ち割るように立ちのぼる、シャープな酸味。この酸味はまさにキャンティ。ジクに由来するような青みや苦味をほのかに感じさせるあの酸味。乳酸系。そして、ふわりとただよう甘い腐敗系の香りが、ワインを魅惑的で妖艶にしている。 グラスを揺すると直後に立ちのぼる、白薔薇のニュアンスが添えられた、濁りのない甘いケモノ香。なんとも美しく蠱惑的な香りにうっとりしていると・・・ケモノ香は消えていき、いきなり現れる煮豆の香り。ひじきやこんにゃくやニンジンと一緒に煮た、大豆のあの匂い。なんとも落差のある香り。その煮豆の中に赤色果実がひっそり。 アタックは、キャンティのあの酸味。口にしたとたん無性に食欲をそそるあの酸味(実際、お腹のムシがひと鳴きしたような気がした)。わずかにえぐみのあるような、というか、ちょっと胃薬の中にありそうな苦味、というか、あるいは、ジクの青みを感じさせるような、金属の粉末を思わせるような、あの酸味。ただ、薄っぺらいキャンティのそれとはまったく違う。だが驚くのは、舌触り。キャンティといえばけっこう攻撃的というか、チャキチャキしているというか、クールというか、そんなイメージがあるけど、そんなものとはまったく違う、豊かな生き物のような滑らかさ。その滑らかさをまとった赤色果実がアタックにつづき、キャンティの酸味がしみこんでキャンティの酸味の皮膜そのものになったような舌の上を、ミルキーでシルキーなカフェオレの球体がころころと転がっている感じ。コーヒーの味がするキャンティはよい生産者がつくったよいヴィンテージの証だそうだが、まさにそれ。そしてキャンティの酸味のキレのあるフィニッシュへと続く。 まだまだバランスが整っていないのだろうけど、あの独特の酸味とそのキレの良さ、クールさはそのままに、まるでキャンティには似つかわしくない、滑らかさなど、酸味以外の要素の豊かなヴォリューム。 二杯目、三杯目と時間が経つにつれて、甘い赤色果実やケモノ香を感じさせたアロマには月桂樹の冠、コンポートのような質感が加わり、風味は、月桂樹、スパイスなど複雑な風味がひとつにとけ込んだ、よく熟れた、濃厚な、いきいきとした、豊満な赤色果実の球体に。ただ、あまりにもグラスを揺すりすぎると、時折、ぷっ、ぷっと、かぐわしいアロマからは想像に難くはないとはいえあまり嬉しくない放屁があるのはご愛嬌。肉、月桂樹、スパイスなどのフィニッシュ。およそキャンティとは思えない。キャンティ独特のあの酸味も出しゃばらなくなって、スタイルをスパン!と引き締めている。 そう、このスパン!って感じ。このスパン!ときまったスタイリッシュさ。派手さはないが、スパン!と極まった切れ上がった小股。洗練。 このスパン!と極まった洗練なスタイリッシュさ、これはボルドーにもブルゴーニュにもない。どころか、こんな洗練やスタイリッシュさを見せつけられると、ボルドーやブルゴーニュのフィネスやエレガンスというものが、贅肉のようにさえ感じられる。 この違いは、たとえば、イタリアの色彩とフランスの色彩のあの違い。フォーヴの作家や、あるいは、ゴッホやゴーギャンが南仏でがんばってもイタリアの透きとおった日射しが溢れる明晰な鮮やかな色彩には及ばない。 それ以上に僕に思い浮かんだのは、フィレンツェの建築物のあの輪郭の明晰な調和。初期ルネッサンス建築のあの輪郭、あの稜線、あのライン。まさにそれと同質のスタイリッシュさと洗練。明晰な秩序と調和、大理石のエレガンス。(フランス・ワインが求めるフィネスやエレガンスは、ロココ風? あるいは、ヴェルサイユ宮殿風? それとも、それらを模倣したプティ・ブルジョワ風? なんでもいいけど、フランスのお手本はフィレンツェにあり、って感じがしてくる。といって、いくら頑張ってもフランスはフィレンツェを真似できないし、追いつけない・・・) 紛れもなく素晴らしいワイン! フィレンツェを、ことに初期ルネッサンスのあの明晰な美のエッセンスをそのままぎゅっと凝縮したようなワイン。フィレンツェや初期ルネッサンスの建築物の美、あるいはもう少し範囲を広げて、ピサの大聖堂のあの美に通じるスタイルを持った、フィレンツェを中心としたトスカーナの美を彷彿とさせる、素晴らしいワイン。 ただ、残念なのは・・・・僕がもっとフィレンツェのことを知っていたら。トスカーナ地方の美についてもっと知っていたら。その場所に行き、その雰囲気を呼吸し、大気の温度を直に肌で感じていたら・・・・あのなかにとけ込みその美と一体になるほど親密だったら・・・もっともっとこのワインは美と悦楽とに僕を導き、もっともっと素晴らしいワインになっていたに違いない!!! こんなワインに、また巡り会うことができたら!! 晩はアンコウ鍋。料理との相性がいい、とか、料理を引き立てる、とかいうのとは違う。このワインは、それぞれの食材の本来持っている風味を際だたせる。しかも、フィレンツェの初期ルネッサンス風に、きわめて明晰に美しく。 翌晩は、手羽先・手羽元のクリーム・シチュー。手羽は煮込む前にフライパンで炒めて焼き色をつける。これがとても美味。シチューはハウス。この組み合わせは、・・・ワインがとても引き立った。 ・・・・そうそう、タイトルの「戴冠せし爆発的『吉』」について一言。 ラベルをよく見て・・・王冠、「土」、金の「◎」、魚のひれのように尖った青・・・。「土」と「◎」で漢字の「吉」、尖った青が「爆発」・・・・マダマにはそう見えるのだそうだ。たしかに(「土」は十字架なんじゃないかと僕は思うけど)、いわれてみればそうも見える(「ボムキング」よりはかなり出世した?)。 正月早々おめでたいラベル。 でも、このラベルがほんとに意味するものって何なんだろう? ブルゴーニュのラベルは読んだまま。ボルドーのラベルにシャトーが描かれているのは「身元証明」(このワインはこんな立派なシャトーでつくられましたよ。立派なシャトーがあることがワインの品質証明につながった時代の名残)。 モンテソーディ、謎を秘めた不思議な、魅力的なラベル。(2007/01/08)※ガイアはフランスとのつながりを感じるけど、これはきっぱりとイタリア、って感じ。 ガイア クレメス 1997
2007/01/07
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30日にお節買出し、「元旦まで待つのもね・・・鯖鮨なんか美味しくなくなるし・・・」ということで元旦を一日繰り上げ。 お節料理の用意をし、早速抜栓。 ピノ・ノワール70%、シャルドネ30%。 色は、コクのありそうな、かつ、粘りのありそうな濃い黄金色。泡はどちらかというと弱め。グラスに注いだすぐはきめ細かい天使の冠が盛り上がったが、すぐに消えてしまった。 香りは、コクのあるパンやバター。シャンパーニュだとゆっくり匂いを聞いているよりも、早く飲みたくなってくる。 とても強烈な、厚みのある、複雑で太い酸味のアタックのあとに、濃厚なコクのあるハチミツ、そして口の中で泡立てて、しゅわ~と喉の奥にとけていくのは、ミルクパウダーがけ柑橘類、フィニッシュは酸味とハチミツ。 この酸味のせいで、全体がとても頑丈な印象。いままで球体をイメージさせるワインっていうのは色々あったけど、これは頑丈な、重量感のある巨大な立方体の一部。まるで琥珀色をした水晶の立方体。カドがとれてない?ともいえるのかもしれないけど、アンバランスなごてごてした形はしてない。綺麗な立方体。むしろ丸みなんかなくて、切り立っている辺やとがった角がとても魅力的。 ’06年の元旦に飲んだ、神経組織のような琴線をきらきらと黄金色にきらめく液体が滴って繊細で、洗練された音色を奏でていたアラン・ロベールとはまったく対照的。 また、シャンパーニュの魅力を教えてくれた、モエの’96が、これに比べると何とも頼りなく感じられる。モエのサーベルもこの頑丈な立方体には歯が立ちそうにない。 しかも、余韻がまたとても素敵。何が素敵かって、コクのあるハチミツのなかからじわじわと酸味が蘇ってきて、ついには、「ふぁ~、すっぱ~」と(梅干し食べて・・スッパ・マンではないが)唇をすぼめて身震いしないではいられないほどになるところ。 お節との相性もいい。ことに、煮物。とくに、たらの旨煮(もっとも、酢の物や鯖鮨とはね・・・。それにしても、この蓮根の酢の物、酸味がとても複雑)。 夕食は、ブリしゃぶ。鰤の腹身の薄切りを、鍋でしゃぶしゃぶ・・・。口の中で泡立てると口中に残っている鰤の脂が酸味のうえにのって泡立ち、絶妙。飲み込めば、さっぱり爽快。 個人的には、食事に合わせるのなら白ワインよりシャンパーニュの方が好き。 ただ、鰤でも、背がわで血合いがある場合は、フルーティな軽い赤がいいかも。料理との相性、っていうのは、血との関係っていう気もするから。血の気の多いものには、その血の気の多さに比例して重い、タンニン豊富な赤がいいような。そういえば、鉄瓶で湯を沸かしてお茶を点てるとまろやかな美味しいお茶になる(白湯だけでも鉄瓶で沸かしたものはおいしい)のも、鉄瓶から溶け出した鉄がお茶の渋みであるタンニンと結合してまろやかになるから、ということらしいけど、そういうことなのかな? 鰹のたたきなんかも軽い赤がよさそうな。それから、なぜかトマトをベースにした料理も、赤が飲みたくなる。 血が緑色の魚介類は、白かシャンパーニュ。ただ、トマトソースものは、赤かな。 そういうわけで、ドラキュラ伯爵は白ワインがお好き。血なまぐささをまろやかにしてしまう赤よりも、もっともっと堪能させてくれる白ワインをこよなく愛していた、とさ。(2007/01/05)
2007/01/05
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明けましておめでとうございます。。。新カテゴリ「おたべやす 京都」ということで、京都の食べ物を、気が向いた時にアップしてみよかな、みたいな。その記念すべき第一回目は、お節。我が家恒例、寄せ集めお節です。左端 上から、豆籐(まめとう) 飯蛸煮 豆籐はもとは滋賀県のお総菜屋さん。最近は東京のデパートにも進出してるとか。リーズナブルなお値段。毎年行列もすごい。味はやや醤油辛め。蛸の大きさがナイスなので毎年購入。今年はやや煮しまった感じ。 錦 平野(にしき ひらの) 蕗煮 錦平野は、京都、錦市場のお総菜屋さん。お節だけでなく、ときどきお世話になっています。蕗を煮るとちょっと茶色っぽくなったりするけど、この蕗煮はとても色鮮やか(写真はもう一つよくないけど)。蕗の爽やかさとうすめの味付け具合がgood。 錦 平野 鯛の子 ぷちぷち、というのはおかしいかもしれないけど、噛むたびになんか弾けてるみたいな食感。味付けも僕好み。 湯葉弥(ゆばや) ゆばけんちん巻き 京の湯葉屋さん。このゆばけんちんまきは、湯葉でひろうすを巻きもにした感じのもの。湯葉で豆腐が巻いてあり、豆腐の中には胡麻、キクラゲ、ニンジンなど。中心の紅色の梅花は、ムフフ・・の、生麩。家で煮て味付けします。 二列目 上から 錦 平野 えび芋煮 里芋よりも粘りは少なく、風味は上品。 錦 平野 田作り このごまめを初めて食べた時は、びっくり。目から鱗・・・というか。腹がえぐくない。何とも上品なほろ苦さ。飴で煮てあるものの、身は柔らかい。こんなごまめがあるなんて・・・というわけで、長年のごまめ嫌いが一気に解消。 京・嵐山 錦味(きょう・あらしやま にしきあじ) 鹿子新丈 錦味は嵐山の料亭。ここの味付けも好き。うに(?)と鯛子(?)と三度豆が、かまぼこで巻いてある。 京栗菓匠 若菜屋(わかなや) お多福豆甘納豆 創業は昭和二年と京都の和菓子屋さんとしては新しい。なんといっても看板商品は、「栗阿彌」。でも、僕が好きなのは「栗納豆」。さらに好きなのが、このお多福豆。甘さの中にも、お多福豆の複雑な風味が・・・。なんでも、「年輩の男性」にも人気なのだそうな・・・(このあたり、ちょっと複雑な気分・・・) 三列目 上から 錦 平野 黒豆煮 この黒豆も、甘くなく、上品。なかはしっとり餡のよう。舌で押しつぶして食べられるほど。 錦 平野 金柑甘露煮 これがまた・・・やはり、甘すぎず、ほどよい酸味があり、上品。これはお節の中でもことに外せない一品。 京・嵐山 錦味 たら甘煮 棒鱈(真鱈を干したもの)を戻して煮てある京都近辺では代表的なお節料理。しっかり、中まで味がしみてます。しかもやわらかい。しあわせ~^^ 京・嵐山 錦味 酢蓮根 ただの酢の物と侮る事なかれ、なんて。爽やかで複雑な酸味と味わいは、熟成ヴィンテージ・シャンパーニュにも引けをとらない。しゃりしゃりした歯ごたえもなんとも素敵。 四列目 上から 錦 平野 くわい煮 クワイ自体あまり美味しいものではないようにも思うけど、なんか、お節にはこれがないと・・・。エビ芋のような粘りはなく、ほくほく、というか、ちょっとしゃりしゃりするふかしたサツマイモのよう。サツマイモ、口の中でもごもごしてあんまり好きじゃないけど・・。 京・嵐山 錦味 穴子八幡巻 穴子でゴボウを巻いたもの。やわらかいゴボウから穴子のうま味がじゅわ~んと・・・。感激。。。 茨木屋(いばらぎや) 月しろ(かまぼこ) 初めてここのかまぼこを食べた時・・・かまぼこについての「すべて」を直感した・・・なんて。いうのは大げさだとしても、今まで、「なんでわざわざこんなふうに加工して食べる理由があるんだろう」とかまぼこという食品に対してはなはだ懐疑的だった。存在理由があるとしても、せいぜい、普通の料理法では食べられない魚を何とか食べられるようにするため・・・でも、食糧事情がゆたかな今時の日本でそこまでしなくても・・・。その疑問が解けた。理由は簡単、もとのさかなよりも格段に美味しく食べるため。かまぼこなんて美味しいと思ったことなかったし、つけ足しのような食品だと思っていたけど、ぜんぜんそうじゃない。ここのかまぼこは、いってみれば、ブルゴーニュの素晴らしい作り手がつくった一級ワイン。かまぼこにすることで、もとの魚(鯛など)のままではどうやっても味わえないおいしさや味わいが引き出されていて、そのうえ、上品で、素晴らしい。 それから、蛇足だけど、ここのおでん種は最後に食べること。いままで食べたおでん種がいったい何だったんだろうと・・・全部吹っ飛ぶくらい、美味。 いづう 鯖姿鮨 京都祇園の言わずと知れた鯖鮨の名店。初めてここの鯖鮨を食べた時、ほんとにびっくりした。極端な話、鯖と、米と、昆布と、酢とダシのたったこれだけで、ある意味、こんなにありふれたものをつかって、こんなに美味しくて、しかも、フィネスとエレガンスがある食べ物がつくりだされるなんて!!! これこそ、ほんとの、ご馳走・・・と、その後はもう、うっとり・・・。写真は、昆布にくるまれたまま、輪切りにしたもの。食べる時は昆布をとって食べる・・・けど・・・この、酢昆布が、また、美味しい。分厚いのに、やわらかくて・・・・。 五列目 上から 京・嵐山 錦味 にしん昆布巻 とろりっと口の中でとろけてしまいそうな昆布、歯ごたえはあるけどやわらかいニシン。 茨木屋 クリームチーズ・ロール 今年初めて試してみた。写真ではよく見えないけど、クリームチーズが渦巻き丈に状っている。正直、食べる前は半信半疑。だいたい、かまぼことクリームチーズのコラボ? でも、食べてみると、おどろき。これぞ、京の巧みの技。クリームチーズとかまぼこが絶妙のマッチング。裾ものでも手を抜かないのは一流ドメーヌと同じ。伝統に培われた京都の技と、ただ伝統に甘んじているだけではない京都の奥深さを実感させてくれる一品。 錦 平野 数の子 数の子もあまり好きじゃなかった。でも、この数の子は、えぐみとかなくて美味しい。 伊藤ハム輸入 パルマプロシュート イタリアのパルマ産の生ハム。これは、まったく京都とは関係ない。なんか、無性に食べたくなったので・・・。ただ、しっかり手をかけてつくられた煮物の味と張り合うには、少々力不足だったかな。これだけなら、十分美味しかったんだろうけど。 茨木屋 チーズかまぼこ チーズとかまぼこ。チクワにチーズを入れたチー・チク、これは子供のお弁当の定番。ようするに誰がつくってもそれなりに美味しい、失敗がない。でも・・・と言いたくなる、このチーズかまぼこ。 以上、21品にあわせたワインは・・・。もちろん、お節には、泡・・・・というところで、ワインはまた次回に・・・。
2007/01/04
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