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「明日、渋谷でセミナーがあって、職場の人に誘われたから、一緒に行ってくる」その日の夜、自宅で夕食中に、妻が急に言い出した。明日は土曜日だけど、僕はどうしても出勤しなければならない用事があった。「明日、出勤しないといけないんだけど……美春はどうするんだ?」「私が行きがけに実家によって、預けるから大丈夫」「そう……」「え~、おばあちゃんち行きたくない~」娘は、以前は喜んで妻の実家に預けられていたが、最近は自分がいない間に両親がケンカしているんじゃないかと気になるらしい。「仕方ないでしょ。じゃぁ、美春はひとりでお留守番する?」妻がちょっと強く言うと、娘はいじけて、ダイニングを離れて、リビングのソファーに突っ伏してしまった。僕は箸を置いて、娘のそばへ行き、抱っこした。「ごめんね、ミー、パパお仕事なんだ」「一日だけがまんして?」娘は小さく頷いて、手のひらで涙をふいた。
2009.06.28
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「帰って来なかったんですか?」そう言って、今井さんは、灰皿にタバコの灰を落としかけた姿勢で固まった。「うん、帰ってこなかったよ……」「誕生日なのに?」「そう、誕生日なのにね」僕は1月の寒空に向かって、タバコの煙を吐き出した。煙はゆっくりと空に向かって昇って行き、拡散して行った。僕の心も、微妙に拡散気味で……。今井さんのタバコから灰が落ち、水を張った灰皿から「ジュッ」と音がした。「なんとなく……」今井さんは次の言葉を捜しているようで、灰皿をじっと見つめたままだ。「なんとなく?」僕はその先を促した。「リサーチしたほうが良いのかもしれませんね」「……リサーチ……ね」正直、どうなんだろう。あまり、そういう疑いは抱いていないのだけれど……。「どうなんだろう……ね」「どうなんでしょうね」僕は今井さんの整った顔立ちを眺めていたけれど、彼女の表情からは、何も読み取れなかった。
2009.06.04
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-ルリさん先日はごめんなさい。ルリさんに愚痴を言っても仕方が無いのに、なんだか納得がいかなくて……。「雨の日もあれば、晴れの日もある」って言う、ルリさんの言葉、納得はできます。でも、最近はずっと雨が続いているようです。JUN-
2009.06.01
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