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10月14日のデジタル版朝日新聞に、トルマリンを組み込んだ殺菌機能付きシャワーヘッドの記事が載っています。トルマリンと聞いただけで怪しさ満点ですが、新聞記者というのは、そのような感覚はないのでしょうか。記事を要約すると以下のような感じです。福岡のメーカーがトルマリンを組み込んだ殺菌機能付きシャワーヘッドを開発した。財団法人「東京顕微鏡院」の検査でも、殺菌効果があることがわかった。厚生労働省はシャワー水が感染源になり得るとして、シャワーヘッドやホースを定期的に点検・消毒することを呼びかけている。 トルマリンを組み込んでも殺菌作用などあるとは思えませんから、「東京顕微鏡院」 というのも怪しげな機関だと思ったら、どうやらまともなようです。 こんなお知らせが出ていました。以下に引用します。 標記の件につきまして、当法人は、有限会社田川化工社様から依頼された、シャワーヘッドを通した水の、レジオネラ属菌の検査を実施しましたが、殺菌・滅菌効果の有無に関する評価には関与しておりません。レジオネラ属菌に対する殺菌・滅菌効果が確認されたと言うためには、レジオネラ属菌に汚染された水をシャワーヘッドに通したらレジオネラ属菌が激減したというような結果が必要です。あるいは、同じ条件で通常のシャワーヘッドと新開発のシャワーヘッドを長期間使用し、両者のレジオネラ属菌による汚染度に差があることを確認する必要があります。上記の「お知らせ」を見る限り、東京顕微鏡院は田川化工社が持ち込んだ検体のレジオネラ属菌の有無を調べただけなのでしょう。 はじめからレジオネラ属菌の汚染のない水道水などを新しいシャワーヘッドに通し、それを調べてもレジオネラ属菌が検出されるわけがありません。当然、シャワーヘッドに殺菌効果があるとは言えません。結局、朝日新聞の記者は取材に値することは何もせず、業者の言い分をそのまま記事にしたもののようです。これでは、記事と言うより、CMですよね。
2015.10.24
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まっとうな分野で第一人者になるのは大変です。でも、荒唐無稽な分野を開拓すれば、自分が第一人者です。必ずしもオリジナルである必要はありません。誰も見向きもしない既存の「トンデモ理論」を声高に主張するだけでも良いのです。第一人者になって、ある程度目立つようになれば、信者がつくようになります。うまくいけば、マスメディアも食らいついてきます。こうなれば、まっとうな世界では手にすることの出来ない収入も保証されるでしょう。相場のトレンドと反対の売買行動をとることを逆張りと言います。そこから転じて、社会常識に反する主張に賭ける行為をここでは「逆張り」と呼びましょう。逆張りは安易ですが、どれだけ馬鹿馬鹿しくても一定の信者はつきます。医療に限っても、少し考えただけでO-リング、ホメオパシー、「癌放置療法」などが浮かびます。これらは医学知識がなくても、社会常識さえあれば「そんな馬鹿な」と言えるレベルです。でも、それなりの教育を受けたマスメディアの人々も騙されます。*かくして、逆張り芸人は今日も安泰です。その陰で被害を受けている人がいても、報道されることは滅多にありません。逆張りが商売になることに気づけば新たな逆張り芸人が出てくるのは当然ですが、中身だけでなく、ネーミングでも吹いたのが、「おまたぢから」です。名前だけ聞けば笑ってしまいますが、実は笑い事ではなく、医療否定から新たな被害を生み出しかねません。酵素健康法、EM関連、カイロプラクティックなどになると、批判には多少の知識は必要と思われるので、ここでは取り上げません。また、逆張り芸人は医療の分野だけでなく、政治・経済など、様々な分野で鋭意活躍中です。それらの分野でも、いろいろと害悪を振りまいているのでしょうね。*分かっていても視聴率のために取り上げるのかも知れませんが
2015.10.10
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女優の川島なお美氏が54歳という若さでなくなりました。肝内胆管癌だったということです。ご本人はもとより、ご家族、ファンの方々はさぞかし無念であったことでしょう。心中お察し申し上げます。でも、川島なお美氏を貶めるつもりは更々ないのですが、少々気になることもありました。2014年03月27日のブログに出てくる「とんでもない医者」と「素晴らしい民間療法」です。「とんでもない医者」の下りを引用してみます。そこに至るまでにはとんでもない医者もいました「とりあえず切りましょう」私「いいえ良性かもしれないのに外科手術はイヤです」「ならば抗がん剤で小さくしましょう」私「悪性と決まってないのに?仕事が年末まであるのでそれもできません」「ならば仕事休みやすいように悪性の診断書を書いてあげましょう」は~~???(病理検査もしてないのに!)もうここには任せられない!!すたこらさっさと逃げてきました 検診で見つかって要検査とされてはいても、自覚的には全く健康な人がいきなり手術を強く薦められれば不信感を抱くのは無理もないことです。でも、医師である私には、この医師の気持ちも分かります。想像に過ぎませんが、以下のような気持ちだったのではないでしょうか。画像診断からは十中八九肝内胆管癌だな。顕微鏡で見る組織診断は出来ないから確定診断ではないが、ほぼ間違いないだろう。手術できても五年生存率は三割台だが、検診による早期発見だから治る可能性はもっと高いかも知れない。出来るだけ早く手術に持って行くようにしよう。確定診断が付いていないので仕事を断れないのなら、悪性という診断書を書こう。 想像とは言っても、当たらずといえども遠からずではあると思います。せっかく患者のためを思って手術を勧めているのに、「とんでもない医者」呼ばわりされてお気の毒です。ブログのコメント欄でもひどい言われようで、読んでいて辛いものがありました。もちろん患者の立場からしたら簡単に手術に応じられないことは当然で、このことで川島氏を非難するつもりは全くありません。医師には医師の言い分があることを理解して貰いたいだけです。もう一つの「素晴らしい民間療法」の方ですが、調べてみると「ごしんじょう療法」と言って純金製の棒で体をさする療法のようです。もちろんこんなものに効果があるわけありません。気安めになるならあえて否定することもないのですが、これに頼って手術が遅れたのだとしたら、やはり選択としては間違っていたと思います。手術をするのであれば、見つかったときに直ちに手術していればと悔やまれます。この選択に関して、川島氏を揶揄するような発言もネット上では見受けられますが、もちろんそのような発言は不当です。溺れる者が藁をも掴むのは当然で、藁を高額で売りつける輩が悪いのです。非難されるべきはインチキ療法を行っている方でしょう。参考肝内胆管癌は手術して摘出標本を調べて診断が確定する。手術以外に有効な治療法がない。進行が早いので早期の手術が望まれる。
2015.10.04
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