PR
Keyword Search
Freepage List
Calendar
送電鉄塔の鉄塔設計。
送電鉄塔を作るまでには幾つかの検討を経て建設に至ります。
クリアランスダイアグラムを検討する基本設計、また径間に基づく弛度計算、
また鉄塔形状とそれに基づく構造設計、製作図面作成、鋼材製作、工場組立、
現地組立 ・ ・ ・。
今の時代は鉄塔設計を行う為の設計専用ソフトウェアもあり、また図面にしても
CADを使えばいくらでも作図・印刷できる便利な時代です。
しかしながら、昔はというとコンピューターもありませんし、もちろん作図ソフト(CAD)も
ありません。すなわち、クリアランス検討や鉄塔構造計算などの技術的検討は
すべて人間の手が行われ、設計条件の変更が発生すると、その都度、計算の
し直しを行って、何度も検討を繰返しながら、設計していたそうです。
また、図面を作るにしても、CADなど無い時代ですから、製図担当者が
手書きで製図し、一部毎に青焼きしていた訳です。
今の時代に生きる私から見ると、昔はとてつもなく途方も無い労力が必要であったのだと
思われ、昔の技術者には畏敬の念を抱かざるを得ません。
以前、戦前から送電線の建設を担当されてきた技術者の方から
技術的な指南を頂いた事がありますが、その方は90歳近いにも
関わらず、電卓で計算するのと同じ位のスピードで暗算で技術計算を行い、
また、計算する前でも各数値のオーダーをある程度予測して
厳密な計算とは別に、予測を立てて技術検討されていました。
その様子を見ながら、「昔の技術者(畏敬の念を込めて・・)」は
現代に生きる者と違うセンスを持っているし、たくましいなぁ・・・と強く思った記憶があります。
計算機や便利なソフトウェアに頼りきった現代人(私もその一人)にはとても真似できない
ことがあると痛感するとともに、自分はまだまだ甘いなと痛感した時でした。
便利な時代であっても、時には原点に立ち返って、本当に技術の理解と実践に
注力する必要があるのかな?と思うばかりです。