2006年10月31日
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10月12日の朝、目覚めると私は恋人の部屋で寝ていた。こんなはずじゃなかった。 恋人に別れを告げてから約二週間。毎日がぼんやりと辛かった。 そんな状況をやり過ごすには、やはり誰かとセックスするしかないという私の乏しい本能。お馴染みのその本能に身を任せ、数日で二人の知らない男と会った。 しかし彼らとのセックスは最悪。体が恋人との濃厚なセックスに慣れてしまっている分、1ミリも満たされない。体の記憶は鮮明で、あーこれを忘れるのは時間がかかるなぁ、やだなぁといったことばかりを思っていた。 会った男二人のうちの一人にそこそこの好意を持たれ、付き合ってくれと言われたけど断った。なんとなく、数年前の誰とも付き合わなかった時期の感覚で断った。体を提供している分、ちょっとやそっとじゃ離れていかないだろうし、片思いされているという優越の錯覚を少しでも抱いていたかった。また、ラクな関係が良かった。さすがに1年付き合ったので、恋人と別れたばかりだというのもある。彼に対してピンとこなかったというのもある。 しかし彼は良い人で、仕事帰りにわざわざ私の最寄り駅まで来て1時間お茶だけするとか、そこらを一緒に軽く散歩をして笑って帰るとか、電車で送ってくれるとか、そういうことが自然にできる人であった。恋人の「気遣い」の概念が嫌というほど染み付いていたので、なんだか新鮮だったし、彼が余計に良い人に見えた。 私が「別にセックスをしたいときだけ誘ってくれればいい」という、いかにも都合の良い女の雰囲気を出しているのは、私が馬鹿であるという理由だけでなく、こういった計算外の出来事を期待しているからかもしれない。底辺に留まっていれば、大抵それ以上の事は起き、多少の喜びは得られる。 しばらくこの人に相手してもらえばいいか、とは思いながらも空虚だった。でもそんなことに気が付いている場合ではなかった。とにかく、何としてでも空いた時間を埋めなくてはどうしようもなかった。 過去の恥ずかしい経験や発言を思い出すとき、アーアーと言いながら何かを塞ぐように記憶を断ち切る。それと同じように、私はアーアーならぬセックスをし、集中と睡眠を愛した。走り抜けるような埋め方。彼を忘れられる一コマ。 こんな感じで二週間が過ぎた。一年という期間の終止符は、重い。二週間でチャラになるはずもなく、いつどこにいても彼の記憶が私を纏った。彼がいればと思った。だけどその反面、数々の嫌な理由から彼と別れたという事実に納得できてもいた。対極的な思いに挟まれ、曖昧さを拭え切れてはいなかったものの、彼のいない生活をやっていくしかなかった。時間が解決してくれるという月並な答えを出し、一日をやり過ごした。 10月12日の前日の夜、恋人から着信があった。目を疑った。心拍数が上昇した。 電話に出ると、私のマンションの下に来ているという。彼の車内に置きっぱなしだった私のCDを返しに来たそうだ。 階段を駆け下り、マンションの扉を開けると、見慣れた車と馴染み深い彼の顔を見つけた。CDを受け取ったものの、私にはすぐにここで「じゃあね」と言って彼を振り切る強さなど当然ない。私たちは、しばらく無言で見つめ合った。「元気だった?」と彼が言った。何と答えていいのかわからず、ただ涙ばかりが流れた。「ごめんね」と彼が言った。抱きしめられた。 彼と再び付き合うという選択肢が、受身の立場で与えられていることに気付いた。しかし私の頭はそれを飛び越え、「ここで折れることは一時的な回避でしかない」という思いと、「この人ともう一度セックスしたい」という思いの二極でしかなかった。 私も私だが、彼も私がいなくなって、セックスとマッサージに困ったのだろう。代わりなどいくらでもいると思うが、慣れているのと新たに探すのが面倒なのと、刹那的ではなく長期的に「サービス」を受けたかったのとで私にアプローチをかけてきたのだろう。「長期」をちらつかせれば女は喜ぶし、自分も新たな女を探す手間が省ける。 「この人ともう一度セックスしたい」が、もう一度セックスしたらすなわちもう一度付き合うということになる。この人、そしてこの人の嫌な面を知ってしまったこの時に限っては、「長期」が嬉しくない。 瞬時にこれらを考えたものの、彼に抱きしめられながら出した答えは無論決まっている。私が落ちることなど、彼には初めからわかっているのが悔しい。 久々の助手席に乗り、久々に彼とセックスをし、気が付けば冒頭の朝だ。しかし彼とのセックスに、思っていたほどの感動はなかった。久々なせいかもしれないが。 そしてそれから、口で言わずとも私たちの関係は復活してしまい、今に至る。せっかく別れたのに、別れてからやっと二週間が経って落ち着き始めたというのに、元に戻ってしまった。復活してからも別れを切り出そうとは思ったが、以前のままの上下関係やらタイミングやらが絡み、言えなかった。やはり「彼氏彼女」という関係性はやっかいである。最初から私たちが「セックスフレンド」でしかなければ、こんなにも面倒ではなかったと思う。 また、一応彼から謝ってきたのだし、何かしら反省点を見出して関係に反映させてほしいのだが、そういうことは一切ない。危機感を持てと言いたい。 相変わらず、私は使用人でしかない。しかしそこはまだ我慢できた。 彼と復活してから、何回かセックスをした。私は彼と別れてからピルを飲んでおらず、最後は外で出すものの避妊をしなかった。復活してから一度目のセックスのとき、ピルを飲んでいないと彼に忠告した。そのときは早目に彼は性器を抜き、完全に外で出した。しかし二回目のセックス以降は、私がピルを飲んでいるときとほぼ同じような感覚で彼は性器を抜いた。完全ではない(そもそもこういった方法は避妊とはいえないのだけど)。 私が一々忠告しなかったのと、ピルを飲んでいないのにも関わらず、セックスを許してしまったのが悪いのだけど、なんなんだよ。私がピルを飲み初めるとき、彼は心配するフリをして「俺かなりピルのこと調べたよ」とか言ってたけど、お前どんだけピルのこと調べたんだよ。いつでも好きなときに飲み始められるわけねーだろうが。周期が決まってることくらい知れよ。それを知らなかったとしてもだよ、私はもう何度も、何度も何度もピル飲んでても中に出すなって言ってんじゃん。お前のせいで飲みたくもないピル飲んでたのに、どうしてそれさえ守れないんだよ。全部中に出さなかったら妊娠しないとでも思ってんの?お前仮にも父親だろうが。 彼のそういう点をわかっていながら、許してしまった私が悪い。最後に会った日のセックスが特に不安に思ったので、次の日婦人科へ行き、緊急避妊薬を飲んだ。最後のセックスは薬を飲んだので大丈夫だとは思うが、それ以前のセックスに妊娠の可能性がある。今の時点で生理が特別遅れているわけではないが、そろそろ来てもいいはずなのに来ない。更には薬を飲んだ数時間後、強烈な吐き気に襲われ、眠れないくらいだった。この吐き気は薬のせいだと思うが、「つわり」という言葉をしきりに調べている自分がいる。不安が大きいせいか、お腹が痛くなったり頭痛がしたりと更に「つわり」っぽくて本当に不安である。 それを彼に話そうとすると、あの「喧嘩」の前兆のような空気になる。私はこれさえも話してはいけないのか。 何度か緊急避妊薬のことや生理が来ないことなどを話しかけたが、もう辞めた。無駄だ。彼は聞く耳を持たないし、当然それについて聞いてもこない。 家具を買った話や、おもしろい話をする余裕があるならまず聞けよ。心配しろよ。土下座して謝れよ。 本当にもう、ダメだと思った。彼は人を大切にできない人だと実感した。たとえそういう人でなくても、少なくとも私は大切に思われていないとわかった。残念だった。 生理がきたら、本当に彼に別れを告げようと思う。





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最終更新日  2006年11月01日 01時55分00秒
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