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「おおお!!痛てててて~~~~~~!!」
またもやデブリンバトと呼ばれたトットさんが怒り心頭で駆け寄り飛び乗った足の上。
思い鉄球を落とされたような激痛に、今までジョンピーたちを脅していた僧兵の大男は足を抱えてしゃがみ込んだ。
そしてあろうことか、怒りくるかと思いきやあっさり土下座してトットさんに家来にしてくれと頼みこむ始末。
話しを聞いてみればこの男、かの有名な武蔵坊弁慶の末裔という。
それなのに何だこの意気地なし。
彼の言うには、あまりにも有名な祖先のようになりたいと思いつつ、生来の意気地なしのせいで、ちょっとでも痛い事、怖いことがあるとすぐに謝って「家来にしてくれ」と許しを請うのだそうだ。
そもそも弁平 ( ) という名前、あまりにも間抜けではないか?
「この人、さっきの勢いどうしちゃったの?」
今までデブリンバトたちを守ろうと必死に立ち向かっていたジョンピーも拍子抜けして言った。
「ねえ、ねえ、弁慶ってあの牛若丸と五条の大橋で戦ったていうあの弁慶だよね?」
三猫の末っ子連は目を丸くした。
「そうあの義経に従って、生涯を伴にしたあの弁慶だ。」
次男坊の千代坊も頷いた。
「おいおい、ご先祖様は英雄でもこの弁平はお世辞にも勇敢とは言えないぞ。」
長男格の雷は二人をたしなめた。
その時、毎度お邪魔虫の益比仙人が突然こんなことを言い出した。
「義経か?弁慶か?わしは会うたぞ。鎌倉に入る前の山の中じゃった。聞くところによる、兄貴の頼朝に足止めを食らわされて鎌倉に入れてもらえんそうじゃった。そう言えばカミさんのしずかさん、別嬪さんじゃったのお。」
まったくこの仙人は、ほんとに仙人なんだろうか?八百年生きて来たそうだから、義経たちに会っていても不思議はないけど。
これはみんなの共通した感想だった。
その時、五条の大橋の下から陽気な歓声が聞こえて来た。
橋の上から見下ろすと、いつのまにかデブリンバトたちが川で水浴びして大はしゃぎ。
まったくこのデブリンバトってやつらは、いつも呑気で、無邪気で、能天気なんだから。
だがこのデブリンバトを早く短気で爆発しそうなタンキ―の元に連れて行き、短気を中和しないと、タンキ―は爆発して日本中、世界中が大変なことになってしまう。
だがトットさんと三猫の一行、すでにタンキ―のげっぷを吸いこんで尾張のおおうつけ、甲斐の猛将、足利将軍の家臣、遠くは中国の三本の矢を握る三兄弟と、既に戦国への歯車が回り始めているのをまだ知らない。
急げトットさんたち!!