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2006.10.15
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カテゴリ: カテゴリ未分類

秋だからというわけでないが、一日1冊のペースで本を読む。

活字中毒。本は私にとってかけがえのないものだ。音楽と活字があればなんとか生きていけると思う。

最近読んだ2冊の本、「私という病」中村うさぎ 「グロテスク」桐野夏生は、いずれも東電OL事件に思いを馳せて書かれた本だ。「グロテスク」は以前読んでいたが、文庫化された機会に手元に置いていたいと思って購入。再読した。

中村うさぎは、買い物依存症・ホスト狂い・整形狂いと自らを実験台にあらゆる現代の病理的現象を体験その奥に潜む女の精神構造を分析してきた。

今回は、なんとデリヘル嬢となって、風俗業界に身を置く体験している。そして、ひいては昼は、エリートキャリア夜は、娼婦となって最期は死体となって発見された東電OLの心の軌跡を辿っている。

作家だった身分からデリヘル体験を表明した途端、世間の男性の態度は、豹変したらしい。格下の女に対する態度となり、「マイ●●・ダイエット」のダイエット大会の審査員も下ろされたとのこと。

それにしてもここまで大胆にフィールド・ワークを行うのは、すごいと思う。秘境探検は、尊大で、風俗は堕落とは・・・・。女性・おかま達からは、そんな勇気は無いけど、蔑みは無かったとのこと。

いまだに大手新聞に「マテ」とかいういつまでたっても男性としての自信を持とうという薬の広告をみると呆然とする。男性の自信とはその一点に未だ集約されているものか。

男性を誇示することに腐心しているのが滑稽でもあり、哀しくもある。

何か一つの固定観念が世間としてまかり通る。男性の目線がまかり通る会社で、キャリアの女性が、優秀であればあるほど、やっかみの対象になっただろう。それを埋めるために「女」の価値を誇示するため娼婦になる。ちょっと極端だけど、バランスの取り方を間違えてしまってのだろう。男社会で生きる女性達は少なからず苦しんでいるらしい。

中村うさぎは、ほんの3日間の風俗体験でも世間が自らを見下し、同じ人間として扱われなくなった体験こそが今回の一番の収穫だと語る。

「グロテスク」は、東電OL事件を絡めて、四人の女性を描いている。女なら誰かひとりに共感して読みすすむことができると思う。

物語の語り部は、ハーフながら美しくない女性。その妹は、絶世の美女。友人のひとりは、東電OLをモデル。あと一人は、医者となりながらテロを興した宗教集団の幹部。

私は語り部の女性の圧倒的に歪んだ性格に非常に近い感情の持ち主だと感じながら読み進めていった。そして、そのゆがみ具合がとても懐かった。

文学の役割の一つとして、こういう犯罪者にも成り得る恐ろしい魂を鎮める効用がある気がする。もしくは、娼婦になって被害者になるスレスレの読者に具体的なイメージを与えて、危険を回避する役割も。スキャンダラスな彼女たちを見つめる視線が「みんな同じなんだよ」「みんな紙一重なんだよ」と言っているように温かい。桐野夏生の小説は、異様な女を孤独にしない。






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最終更新日  2006.10.15 12:10:49
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