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トキワ荘」はかつて豊島区にあったアパートで、手塚治虫、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄といった著名な漫画家たちが集まり住んだことで有名です。
そのトキワ荘を舞台に、事件が起こります。
手塚治虫は、「漫画少年」編集部の紹介でトキワ荘に住み始めます。案内してきた加藤は『イナゴ身重く横たわる』という変わったタイトルの本を持っていました。
時を経て、トキワ荘には、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄といった漫画家たちが住み着いています。
「少女マガジン」の手塚番編集者、丸谷がやってきて、行方不明の手塚の代わりにみんなで漫画を描いてくれないかと依頼します。漫画家たちは丸谷と手塚先生のために原稿を完成させたのですが、わずかな隙に紛失してしまい…。
登場人物はほとんどが実在の人物で、忠実に歴史を描写しながら、フィクションを交ぜています。
キーワードになるのが『イナゴ身重く横たわる』という題名の本。
SF作家フィリップ・K・ディックが、日本・ドイツが第2次大戦で連合国に勝ったという設定の世界をSF小説『高い壁の男』に書いています。作中で、「高い壁の男」という謎の男が、連合国が戦争に勝利していたらという仮定の(こちらが史実ですが)世界を書いた小説が『イナゴ身重く横たわる』です。
古典的(しかし、現代でも重要な)漫画、SFのタイトルが多く出てきて、何が史実で、何が創作か、たどりながら読むのも楽しいです。
現代日本の漫画・アニメカルチャーが誇らしく感じられる作品でした。
参照元:田中啓文『シャーロック・ホームズたちの新冒険』東京創元社
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