8月1日、米国による新たな関税措置が発動されました。特に日本の製造業にとっては無視できないニュースですが、株式市場では意外にも、日本株は堅調に推移しています。これはなぜでしょうか?
一般的に、関税は輸出企業の業績を悪化させ、株価の下落要因となります。しかし、今回、日本株が底堅い背景にはいくつかの理由が考えられます。
今回の関税は、すべての製品に一律に課せられたわけではありません。特定の品目に限定されているため、 関税の対象外となっている分野 や、 国内需要が中心の企業 は直接的な影響を受けにくいのです。また、グローバルにサプライチェーンを構築している企業は、生産拠点を変更したり、関税の影響を受けにくい国を経由したりすることで、影響を最小限に抑える戦略をとっている場合があります。
トランプ政権が保護主義的な政策を志向していることは、以前から広く知られていました。そのため、今回の関税発動も、市場ではある程度 織り込み済み だった可能性が高いです。投資家はすでに、関税による影響を株価に反映させているため、実際に発動されても大きなサプライズとはならず、急落につながりにくかったと考えられます。
関税の懸念がある一方で、足元では 円安 が進行しています。円安は輸出企業の収益を押し上げる効果があり、関税によるマイナス要因を相殺している可能性があります。特に、海外売上比率の高い企業にとっては、円安の恩恵が関税の影響を上回っているケースも少なくありません。
とはいえ、安心はできません。今後、株価が急落する可能性も十分にあります。投資家は以下の点に注意を払う必要があります。
現在の関税は限定的ですが、今後、対象品目が拡大される可能性は常に存在します。もし、日本の基幹産業である自動車や電子機器などが本格的な関税の対象となれば、企業業績に深刻なダメージを与え、株価の急落を招く可能性があります。
関税は、最終的に消費者の負担増につながり、米国経済全体を減速させる可能性があります。米国の景気後退は世界経済に波及し、日本の製造業にも大きな打撃を与えることになります。米国経済の動向は、今後も注視すべき重要な指標です。
関税が企業業績にどの程度の影響を与えているかは、今後の 決算発表 で明らかになります。各企業が発表する業績見通しや、経営者の発言には、関税リスクに対する具体的な対応策や、今後の見通しが示されることが多いため、注意深くチェックすることが重要です。
現状の株高は、関税の影響が限定的であること、市場が織り込み済みであること、そして円安効果などの複数の要因が重なって生じていると考えられます。しかし、今後の 関税の拡大 や 世界経済の減速 といったリスクは依然として残っています。
投資家としては、個別企業の決算発表をしっかりと確認し、関税の影響度合いを把握することが不可欠です。目先の株価の動きに一喜一憂するのではなく、企業の ファンダメンタルズ (企業の経済状況や財務内容)を重視した、冷静な投資判断が求められるでしょう。
内海造船(株) (7018) :
造船関連の銘柄で、株価が急上昇しました。受注の増加や、特定のプロジェクトに関するポジティブなニュースが好感されたと考えられます。
(株)ティラド (7236) :
自動車部品関連の銘柄で、株価が大きく上昇しました。EV関連の技術開発や、既存事業の好調な業績が評価された可能性があります。
(株)ダイヘン (6622) :
溶接機や産業用ロボットなどを手掛ける銘柄で、株価が上昇しました。FA(ファクトリーオートメーション)需要の増加や、半導体関連市場の活況が追い風となっている可能性があります。
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