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本当に大切なものって何?今、そう考えている間にも草木は枯れ、空気は淀んでいく。優しさの答えも知らず、「今までもこうしてきたから」と、今にもはち切れそうなビーチボールの上で、肉を焼き、たれに付け、口に放り込むんだ。それは、最後の一枚だ。君の自由にすればいい。上カルビ、君の大好物だ。裏も表も無い。そこにはルールも答えも存在しない。焼け過ぎなんて事も無い。牛だからといって、遠慮する必要なんて全くないんだ。君自身が焼けたと思った瞬間が一番の食べごろなのだから。ちなみに僕の食べごろは五秒ほど前に過ぎ去っていった。けれど、不思議ともったいないとは感じはしなかった。素直に、君の好きなようにすればいいよ、と思えた。君は嬉しそうな顔をしながら、確かめるように何度もひっくり返す。そして、ゆっくりと網から離し、たれが入った皿に浸した。読んだ通りの流れだった。何度も肉をひっくり返す事、嬉しそうな顔をする事、君が焼けたと思うであろう瞬間。今こうして上カルビが僕の皿に入っている以外は。困惑する僕を見て、「どうぞ」と君は微笑んだ。人の争いは未だに終わりを見せようとはしない。終わりなど無いのかもしれない。「戦争はなんで起こるんだろうね」答えのない答えを君にぶつけた。「譲れないものがあるんじゃないの?」と、君。「譲れないもの・・・」と、僕。「食べるまでが長い」と、君。「ごめんなさい」と、僕。本当は君が食べたいはずのカルビを、僕は君に譲らずにひと思いに食べた。
Jan 30, 2007
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